契約書業務マニュアル

平成15年から契約書だけをつくり続けてきた契約書専門の行政書士

契約書には印紙を貼るのですか? 

契約書には印紙を貼ることもある。

とういわけで、 昨日に引き続き 印紙の貼り方である。

契約金額を変更する契約書には、 印紙を貼るのかどうかという話であったが、 考え方は以下の通りである。

国税庁のHPによると、

[平成25年4月1日現在法令等]

契約金額を変更する契約書の記載金額については、 変更前の契約金額を記載した契約書が作成されていることが明らかであるか否かにより、 次のようにその取扱いが異なります。

1 変更前の契約金額を記載した契約書が作成されていることが明らかな場合

例えば、変更契約書に変更前の契約書の名称、 文書番号又は契約年月日など 変更前契約書を特定できる事項の記載があるような場合

(1) 変更金額が記載されている場合 これには、変更前の契約金額と変更後の契約金額が記載されていることにより変更金額を算出できる場合及び変更前の契約金額と変更後の契約金額との差額が記載されている場合も含みます。

イ 変更金額が変更前の契約金額を増加させるものであるときは、その増加金額が記載金額になります。 (例) 当初の売買金額90万円を110万円とすると記載した文書、あるいは、当初の売買金額90万円を20万円増額すると記載した文書。記載金額は20万円。

ロ 変更金額が変更前の契約金額を減少させるものであるときは、その変更契約書の記載金額はないものとなります。 (例) 当初の売買金額90万円を70万円とすると記載した文書、あるいは、当初の売買金額90万円を20万円減額すると記載した文書。記載金額のない文書。

(2) 変更後の金額のみが記載され、変更金額が明らかでないときは、変更後の金額が記載金額となります。 (例) 当初の売買金額を90万円に変更すると記載した文書。記載金額は90万円。

2 変更前の契約金額を記載した契約書が作成されていることが明かでない場合

(1) 変更後の金額が記載されているときは、変更後の金額が記載金額となります。 これには、変更前の契約金額と変更金額とが記載されている等により変更後の金額を算出できる場合を含みます。

(例) 当初の売買金額90万円を110万円とすると記載した文書、あるいは、当初の売買金額90万円を20万円増額すると記載した文書。 記載金額は110万円。

(例) 当初の売買金額90万円を70万円とすると記載した文書、あるいは、当初の売買金額90万円を20万円減額すると記載した文書。 記載金額は70万円。

(2) 変更金額のみが記載されているときは、変更前の金額を増額するもの及び減額するもののいずれもその変更金額が記載金額となります。

(例) 当初の売買金額を20万円増額すると記載した文書、あるいは、当初の売買金額を20万円減額すると記載した文書。  記載金額は20万円。

(印基通30)

ということだ。

本質的には、 増額したら増額した分が記載金額となり、 印紙税額も記載金額によって貼らなければならない。

しかし、 金額変更前の契約書が無い場合は、 変更契約に記載される金額での判断となる。

ようするに 変更前の契約書がないと、 判断がかわってきてしまう。

変更金額が 前の契約書との関係や記載方法から明らかになっていれば、 変更金額についてのみ印紙税を考えればよい。

変更前の契約書がなく、 変更金額のみが記載されていると、 変更金額が記載金額となってしまう。

まああとになって金額を変更するかどうかは、 契約当初は分らないというか予定していないのだろうけれど、 やはり契約書は常に作成しておきたい。

それから、 収入印紙を貼り付ける位置について、 悩まれる方もいる。

収入印紙は、 契約書のどこに貼ればよいだろうか?

これはどこでもよいのであるが、 たいていはその契約書の最初のページで、 タイトルの左ななめ上あたりに 貼ってある例が多いようである。

もちろん、 右はしの場合もあって、 どちらが正解というのはない。

どこに貼ってもいいといわれると、 これはいささか居心地の悪い感じもするのだが、 しかたがない。 まあタイトルの近くに貼っておけばいいように思う。

重要なのは、 貼付の位置よりは、 消印を忘れないことである。

消印は、 別に実印でなくてもかまわないし、 手書き(署名)によってもすることができるので、 忘れないうちに済ませてしまいたい。

消印を忘れると、 貼り付けしなかったことにされてしまい、 理論的には過怠税の対象になる。

これも国税庁のHPによると、


[平成25年4月1日現在法令等]

印紙税の納付は、通常、作成した課税文書に所定の額面の収入印紙をはり付け、印章又は署名で消印することによって行います。  この印紙をはり付ける方法によって印紙税を納付することとなる課税文書の作成者が、その納付すべき印紙税を課税文書の作成の時までに納付しなかった場合には、その納付しなかった印紙税の額とその2倍に相当する金額との合計額、すなわち当初に納付すべき印紙税の額の3倍に相当する過怠税が徴収されることになります。  ただし、調査を受ける前に、自主的に不納付を申し出たときは1.1倍に軽減されます。  また、「はり付けた」印紙を所定の方法によって消印しなかった場合には、消印されていない印紙の額面に相当する金額の過怠税が徴収されることになります。  なお、過怠税は、その全額が法人税の損金や所得税の必要経費には算入されませんのでご注意ください。

(印法20)

やはり消印しないだけでも 過怠税の対象になる、とある。

気をつけたい。