【2019年】おすすめのリーガルテックまとめ まったく知らない人のための契約実務支援サービス
契約書専門の行政書士の竹永です。
まだリーガルテックをご存じない方のために、
私のおすすめリーガルテックを紹介します。
今回は契約実務に的を絞って、どんなリーガルテックがあるのか、どんな風に良いのか、を伝えたいと思います。
(注:あくまでも個人的な感想を中立な立場でご紹介していますため、サービスの具体的な内容が実際と違っている可能性もあります。)
契約実務を4つに分けて考える
まず、契約実務といってもおおきく4つの段階があります。
①作成(契約書を作ったり編集する)
②チェック(契約書に問題がないか確認する)
③締結(契約書を相手と取り交わす)
④保管・管理(いつでも必要なときに取り出せるようにしておく)
そしてリーガルテックもそれぞれのパートに部分的に対応するものから、全体を管理するものまであります。
つまり自社の業務フローのなかで、一番ボトルネックになっていると感じる部分をリーガルテックに置き換えると、効果を実感しやすいはずです。
では早速おすすめの紹介をします。
「締結」におすすめなのはクラウドサイン
真っ先におすすめしたいのは、締結部分を電子化するサービス、「クラウドサイン」です。
いわゆる電子契約が簡単に導入できるサービスで、まるでメールを送り合うかのような感覚で、契約締結が完了します。
「電子契約」というと「なんだか難しそう」という反応が常でしたが、ここまで導入がシンプルな電子契約サービスは他に見当たりません。
しくみは、契約書・発注書などの書類がアップロードされると相手方と共有でき、これに相手方が同意することで、電子署名が施される(イメージとしては、クラウドサインが両者の立会人になってくれる)ものです。
当然、クラウドサインで締結した契約書はログが残りますから、履歴の管理もサービス内でできることになります。
また、電子的に契約するので紙に印刷する必要がなく、それゆえ印紙税も必要ありません。印紙を貼るのかどうか、その負担をどうするかで迷う必要がなく、プリントアウトして製本して郵送して・・・という時間や手間もかからなくなります。
リーガルテックの良さを、最も体感できるサービスだと思います。
デメリットを挙げるなら、まだ紙の契約書の方が「締結した」という実感がともないやすく、実印に印鑑証明書を添付するといった「重み」が感じられないといった理由で、導入に足踏みする実態が根強くあります。また、一部の要式契約(紙の契約書でなければ有効に成立しないとされる一定の契約)については、現段階では紙で契約せざるを得ないため、活用できません。
「チェック」におすすめなのはAI-CON
契約書のチェックを飛躍的に改善してくれるのが、「AI-CON」 です。
契約書のチェックは、専門的な知識と業務理解の両方を必要とするため、普通の文書のチェックよりも時間と集中力の要る業務です。
「もしもアップロードするだけで、自動的に契約書のチェックができたら・・・。」
そんな夢のような話を大きく実現に近づけてくれたのが、AI-CONです。
弁護士の知見を学習したAI(人工知能)が、契約書を不利・やや不利・中間・やや有利・有利の5段階で評価して、修正例、修正意図までも表示してくれます。機械的なものだろうとあなどっていると、その精度の高さには毎度驚かされます。
特に「不足している項目」の指摘が秀逸で、契約書に記載すべき事項の見落としを無くしてくれます。
デメリットとしては、極端に非定型な契約だと、まだ判定できないことくらいです。
逆に言えば一般的な契約書を大量に締結する企業にとっては効率化の決め手になるでしょう。たとえばNDAを頻繁に取り交わす企業であれば、一次チェックにAI-CONを使い、それを通過したものを人間の目で確認する、といった業務フローを用いることで、これまで契約のチェックにあてていた時間は、悪くても半分以下に短縮されるはずです。
是非一度使ってみてください。
テンプレート探しには「AI-CONドラフト」
契約書の作成に活用したいのが、先ほどのAI-CONのシリーズ版、「AI-CONドラフト」です。
これはビジネスに役立つ契約書のテンプレートを無料でダウンロードでき、一定の類型についてはAIによる自動作成のオプションもあるという、作成支援サービスです。
契約書を新たに作成する場合、テンプレートの検索をすると思いますが、AI-CONドラフトにはあらかじめ有利なもの、中立なもの、といったタイプ別の書式がダウンロードできるようになっており、なおかつ簡単な質問に答えるだけで自動で下書きしてくれるサービスもあります。
業務委託契約書を作成したいけど、自社にちょうどいい書式がないかな? というときに、まずは使ってみたいサービスになっています。
作業効率を高めるリーガルエディタのLAWGUE
また、契約書作成時の入力作業そのものを支援するサービスも出始めています。その一つを挙げると、リーガルエディタ「LAWGUE」です。LAWGUEは契約書の作成作業そのものを、効率化してくれます。
特徴のひとつは、アップロードした契約書を読み込んでくれて、条文ごとに短冊のように「ばらして編集」ができるところです。
契約書の各条文をブロックのように、あるいは付箋や短冊のように、ばらして編集できるので、「ちょっと条文の順序を並べ替えたいとき」や、あとから「条文を追加したい」、あるいは「条文ごと削除したい」といったときの編集が楽に行えます。
短冊状に扱えた方が直感的でわかりやすいし、なにより短冊を入れ替えたときに、それにともなって条文番号も自動的に更新される(つまり「第〇条」の数字が正しく入れ替わってくれる)ので楽なわけです。
こうしたリーガルエディタの利用により、契約書のこまかい(けれど重要な)ミスの多くは劇的に減らせるはずです。
デメリットは特にありませんが、 間接業務につきものの、コストとのシビアなバランスでしょうか。ドラフティングや編集そのものは、効果が数字であらわしにくいので、どうしても導入コストが課題になります。
バージョン管理ならhubble
管理に関してもリーガルテックは威力を発揮します。
まずは契約書のバージョン管理にうってつけなのが、「hubble」です。
hulbbleによるバージョン管理とは、ようするにどれが最新の契約書なのか、新旧でどこがどのように、なぜ変わったのか、担当者がどうかかわったか、といった履歴を自動的に保存し、共有できるようにしてくれるものです。
Word環境で動かせるので、いつもどおりローカルのWordを使いながら、クラウドのメリットも得られることになります。
契約実務の全体的な管理にはHolmes
さらに契約実務のフロー全体を管理してくれるのが「Holmes」です。
契約書の作成、承認、締結、管理など、契約書にまつわる業務の全てを、ひとつのデジタルプラットフォームで管理するという、もはや業務管理ソフトの領域になっています。
承認フローや変更履歴の共有、紙の契約書も電子契約と同様に管理できるなど機能が豊富なうえ、組織全体の契約実務を最適化する「Project Cloud」というタスクマネジメントツールも提供を開始しています。
契約書はそれ自体の品質(有利とか不利とか、フィットしているかなど)が問題にされることはありましたが、それはいわば点のマネジメントでした。
しかし、契約書には交渉から締結、管理までの時系列、さらにはその後の修正や更新、担当者の変更など、時間軸上でさまざまなイベントが発生するものです。
つまり本来は「線」でマネジメントすべきものだともいえます。さらにいえば、一つの契約書はそれだけが相手方との関係を規律するわけではなく、別紙、覚書、参考資料、関連契約、直前に締結したNDA・・・等々、複数の書類によって複合的に規律されているものです。
つまり実際の契約実務はプロジェクト単位でとらえるべきであり、その課題に一筋の光をもたらしたのがHolmesだと思います。
まとめ
いろいろ紹介したのでまとめますと
- 締結部分を電子化するのが「クラウドサイン」です。
- 契約書のチェックを飛躍的に改善してくれるのが、「AI-CON」 です。
- 契約書のドラフト作成に活用したいのが、「AI-CONドラフト」です。
- 入力作業そのものを支援するサービスが「LAWGUE」です。
- 契約実務のフロー全体を管理してくれるのが「Holmes」です。
リーガルテックの今後に期待
先日(2019年6月4日)の日経新聞の見出しに、
“「リーガルテック」 契約書をAI点検 紙中心の日本 導入に遅れ ”
とありましたが、日本のリーガルテックは歴史も浅く、まだまだこれから質的にも成長する分野です。
ベストな選択は、まさにこれから日進月歩で変わるはず。
それゆえ今後もリーガルテック分野を観察し、契約管理に悩めるお客様に最適なサービスを紹介していきたいものです。
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行政書士 竹永 大