契約書業務マニュアル

平成15年から契約書だけをつくり続けてきた契約書専門の行政書士

覚書のつくりかた

誰しも一度は ご経験があると思うが、

「言った、言わない、聞いてない」、

というのは、 本当に困りものだ。

悔しい思いをする。

特に お金に関することを 口約束にしてしまうと、 高い確率で揉めることになるから、 注意したい。

世の中には、 くちばっかりの人間というのが、 意外とたくさんいるものである。

もちろん、 仕事のうえで努力したけれども達成しなかった ということはよくあることであって、 ここでいいたいのはそういう種類のことではない。

うまい話をもちかけたり、 お金を集めてどこかへ消えてしまう人のことだ。

そういう人に限って、 最初は善人にみえたり、 やさしそうだったり、 仕事がものすごくできるようにみえたりするのだから、 やっかいである。

あれもできる、これもできるなどと、 ずいぶんと調子がいいが、 やがてほころびが出る。

口で言うほどには、 実際の行動は起こさないのである。

こういう人にはなぜか、 共通する口ぐせがある。

すなわち、 最初は意気揚々としているが、 待っていても結果がでてこない。

それを指摘すると、 まずたいていは、

「忙しかった」

を繰り返す。

本当はこの段階で気がつくといいのだが、 この段階では、 みきわめがつかなくて放置しまったりする。

本当に忙しかったんだろうな、 ということで流されてしまうのである。

次にでてくるのは、

「その件は今、○○に依頼することにした」

というもので、 あの仕事はこの人にふったから、 いまは報告を待っているなどといいだす。

やがてさらに事態が悪化してくると、

「引越しをしていた」

「パソコンがこわれた」

と冗談のようだが、 本当に不思議とこういうことを言い出すのである。

こういう単語がでてきたら ほぼ後の祭りであって、 いくら指摘しても追及しても、 ひらきなおられておしまいである。

本当に悔しい思いをさせられることになる。

こんなことにならないためには、 できるだけはやく相手のおかしな言動に気が付き、 躊躇なく離れることが一番だが、 そうもいかない場合、 金銭の絡むことには、 かならず、事前に書面にしていただきたい。

その書面を、 便宜的に、 ここでは覚書(おぼえがき)と呼ぼう。

ようするに僕がいいたいのは、 悪いことは言わないから、 覚書をつくりましょう、 ということだ。

覚書は、 書類のタイトルのひとつで、 ようするに契約書のことである。

ただ、 契約書 というタイトルは商取引に使われるイメージがあり、 ニュアンスがそぐわないと感じられることがある。

あくまでも付随的な、 合意書として作成したことをあらわしたくて、 覚書、と呼ぶことが多いのだ。

もちろん、 念書、 合意書、 協定書、 などといってもいい。

明日から少し、 覚書のつくりかたについて、 説明してみたいと思う。

だれにでも簡単につくれて、 費用もかからず、 きっとあなたを守ってくれる書類になるはずだ。