契約書業務マニュアル

平成15年から契約書だけをつくり続けてきた契約書専門の行政書士

デザインはだれのものか?

デザイナーさん、 クリエイター、 ホームページなど、 制作物を担当する方々にとって、 デザインは商品だ。 商品だから、 依頼主から発注を受けて、 お金をもらって制作する。 めでたく納品し、 お金ももらったあとは、 そのデザインはどうなるか。 当然、 取引先のものになり、 あとはその発注者が自由に、 勝手に使ってよいものになる わけではない。 まあ初歩的な問題だけど、 ここが結構トラブルのもとだ。 要するに制作物の著作権は、 代金を支払ってもらったかどうかではなく、 譲渡や使用許諾など、 どんな契約内容で合意したかによる。 下請法的にも、 いわゆる買いたたきが禁止されていることもあり、 デザインの権利を買い取るなら、 それなりの対価を支払い、 書面でも権利を移転する旨の記載が必要となる。 ただやっかいなことに、 デザイナーさんたちがいちいち契約書を用意していたり、 発注者がデザイナーに配慮した契約条項を つくってくれたりはしないことが多い。 また、 デザイナーによっては、 買取(権利譲渡)にしてもらったほうが、 高く売れるのだから、 あまり面倒なことはいわないで、 さっさと買ってもらったほうがいいと 考えるむきもある。 もちろん それだって一種の合意だから、 両当事者が納得のうえでするのであれば問題はない。 一番良くないのは、 権利譲渡なのか使用許諾なのか、 当事者にもよくわからなくなってしまうことだ。 だから 使用許諾の場合だったら 納品時には ○万円、 契約期間中は毎月末日までに使用料を○万円 支払う、 とか、 こういう簡単な文言でもいいから、 書面をかわしてしまうのがおすすめだ。 あるいは 買取(権利譲渡)でもいいのなら、 デザインの代金には、 権利譲渡の対価が含まれるものとする、 などと 一筆メモ書きでもいいので、 取引先との間で確認しておけば、 これも便利な証拠となる。 取引先にとっても、 あとで二次利用をしたくなったり、 同じデザインを他社でつかわれることを防ぎたいだろうから、 買取なら買取と、 はっきりわかるのにこしたことはないはずだ。