まだ決まっていないことも 契約書に書いたほうがいい?
■決まっていることは契約書に書けるけれど・・・
契約書は
相手との約束を書いた書類です。
では、
相手と約束することはしても
まだ具体的でないことは
書かないでいいのでしょうか?
たとえば
業務委託契約書で、
委託する業務の内容が
空欄になっていることがあります。
まだ委託の具体的な内容までは、
決まっていないからです。
このように契約書は
普通は決定したことがらのみを
記載していくことになります。
でももし、
まさにその業務の内容のことが原因で、
言った
言わない
聞いてない
が起きたら、
リスクがあるわけですので、
もったいない話です。
とはいえ契約書に、
「決まってない」とは書きにくい。
どうすればいいでしょうか。
■決まっていないことをどう表現するか?
パターン①
「あとで協議して決める」
と定める。
やり方ですが、ひとつは、
「後でお互いに話し合って決めればいいよね」
と書いておく方法です。
当事者が比較的良好な関係だったり、
利害が一致しているようなときは、
これでも大丈夫かもしれません。
たとえばグループ会社内で
取引契約を締結するときとか。
すでに何度も同じ相手と同様の契約をしたことがあって、
過去においてトラブルと無縁だ、
といった場合ですね。
しかし通常の外部委託の場合、
必ずしも相手と仲良くやっていけるわけではありません。
ときには、
受注後に仕様でこじれて、
補償問題に発展する可能性もあります。
そうなってから、
具体的にどういう仕様だったのか?
なんて契約書で確認しようとすると、
ほとんど何も書いていなかったりする。
契約書があるのに肝心なことは書いてない、
ああもったいない。
ということもありえます。
でも確定してないのだからしょうがない。
「システムの仕様なんて、
実際に動いてみないとそんなの決まらないぞ!」
という現場の声も汲み取らないといけませんよね。
そこで、
パターン②
「今は決まってないけど、そこは、おいおい決めていくよ」
と書いておく
という手もあります。
決定手順について定めることで、
まだ決まっていないことでも、
一定の予測可能な範囲におさめるようなルール化を規定しておくのです。
もちろん理想は、
契約書にこまかいことまで
全部書いてあること。
でも
実際のプロジェクトでは、
ある程度の積み残し事項を残したまま、
次の段階に進まざるを得ないことだって多いのです。
そこで
未確定事項の取扱い
について定める条項を置くわけです。
この場合は一定の「手続」をふむことにより、
あとから追完、修正を請求できることにしておき、
契約書でその手続きや条件について規定します。
たとえば
「発注者は、受注者が本件業務を遂行するのに必要な事項を、発注者のやむを得ない事情により確定して提示することができない場合、当該未確定事項の内容とその確定予定時期、未確定事項の確定により請求する追完、修正により委託料、作業期間、納期及びその他の契約条件の変更を要する場合に発注者がこれを受け入れること、その他必要となる事項を発注者が確認の上両当事者が記名押印した書面を作成することにより、発注者は、当該未確定事項の確定後、受注者に対して確定した仕様書の追完、修正の業務を請求することができるものとする。」