契約書業務マニュアル

平成15年から契約書だけをつくり続けてきた契約書専門の行政書士

建築工事に下請法適用されるか

さて、

一定の委託取引には、 下請法が適用される。

というわけで 委託とはなにか、 などを昨日とりあげ、

下請法でいうところの、 委託には、

①製造委託 ②修理委託 ③情報成果物作成委託 ④役務提供委託

のように おおきく4つの「種類」があるという話をしたが、 今日は修理委託を確認していこう。

修理委託は 修理を委託する取引である。

この場合の、 修理というのは、 物品に失われた機能があって、 それを一定の工作を加えることで、 元の機能に回復させることをいう。

つまり、 単なる「点検」のような業務は、 この法律では 修理委託とはあつかわない。

修理を普段から請負っている、 たとえば「自動車修理工場」みたいな業者がいたとして、 その修理業務の一部を、 さらに他の事業者に委託すれば、 この部分の取引が、 修理委託になる。

あるいはまた、 自社で使用している機械があって、 その自前の機械を修理して使っているようなとき、 修理だけ他の事業者に委託することがあり、 これも修理委託に含まれる。

この場合は、 別にお客さんから修理を頼まれているわけではなく、 自社で使用する物品の修理を、 自分達でも行っているが、 他社に委託した、 というケースである。

たとえば工作機器メーカーが、 自社でつかう機械の修理作業の一部を、 修理業者に委託する場合が考えられる。

ところで、 修理委託はその性質から、 修理した物品を納入するのではなくて、 修理を必要とする物品のおいてある工場などの現場に、 修理する事業者が出向いて行うこともある。

この場合は、 修理品を「納入する」という必要がないから、 通常の「委託」のイメージからすこしずれるけれども、 これも一種の修理委託としてとりあつかう。

つまり、 「納入」のプロセスがなくても、 修理委託に該当するのである。

では、 壊れた不動産を 修理する仕事を委託すれば、 ここでいう修理委託になるだろうか?

イメージとしては 壊れた部分の修復や、 広い意味ではビルメンテナンスなんかも、 外部の業者に委託することが多いだろうし、 修理委託に含まれそうな気がする。

たしかに 修理を委託することには違いないが、 下請法の定義からすると、 修理委託とは、

「物品の修理行為」

をいうことになっている。

さらに 物品とは定義より、 動産のことをいう。

だから、 一般的に不動産を修理する行為は、 建築の請負契約であり、 ここでいう修理委託には 該当しないと考えられるのだ。

明日も引き続き、 ビジネスに超重要な この下請法というものに着目してみたい。