わかる! 使える! 契約書の基本

契約書は経営、起業・独立、副業に必須のスキルです! 自分で契約書がつくれると楽しいですよ

発注書は保存すべきか?

オフィシャルサイトでは参考にしていただきたいビジネス契約書のサンプル集を無料でダウンロードできます。

下請法は一定の業務委託契約に 関係する法律だから、 業務を「発注」する場面では、 常に意識される必要がある。

具体的に どういった取引に、 下請法が適用されるかを検討してきたが、 では、 適用されたらどうなるのか?

というと、 親事業者に、 義務と禁止行為が定められているため、 これに従う必要がでてくる。

ようするに親事業者には いろいろと守らなければならない事項が でてくるよということである。

下請取引にあたって、 親事業者は、

次のような義務を負うと定められている。

①書面の交付義務(3条) → 取引内容に関する具体的記載事項を全て記載した書面を交付しなければならない。

②下請代金の支払期日を定める義務(2条の2) → この期日は、納品日から60日以内で、かつできるだけ短い期間内。

③書類の作成・保存義務(5条) → 取引記録を作成し、2年間保存。

④遅延利息の支払い義務(4条の2) → 年14.6%の割合による遅延利息。


昨日は書面の支払期日を定める義務についてみていったので、 今日は書類の作成・保存義務について。

これも理屈は簡単である。

事業者は、 委託した取引の内容を記載した書類を、 2年間保存しなきゃならないというものだ。

この書類は5条書類とも呼ばれる。

記載事項は以下のようになっている。

5条書類に記載すべき具体的事項 (1) 下請事業者の名称(番号,記号等による記載も可) (2) 製造委託,修理委託,情報成果物作成委託又は役務提供委託をした日 (3) 下請事業者の給付の内容(役務提供委託の場合は役務の提供の内容) (4) 下請事業者の給付を受領する期日(役務提供委託の場合は,下請事業者が役務の提供をする期日・期間) (5) 下請事業者から受領した給付の内容及び給付を受領した日(役務提供委託の場合は,下請事業者から役務が提供された日・期間) (6) 下請事業者の給付の内容について検査をした場合は,検査を完了した日,検査の結果及び検査に合格しなかった給付の取扱い (7) 下請事業者の給付の内容について,変更又はやり直しをさせた場合は,内容及び理由 (8) 下請代金の額(算定方法による記載も可) (9) 下請代金の支払期日 (10) 下請代金の額に変更があった場合は,増減額及び理由 (11) 支払った下請代金の額,支払った日及び支払手段 (12) 下請代金の支払につき手形を交付した場合は,手形の金額,手形を交付した日及び手形の満期 (13) 一括決済方式で支払うこととした場合は,金融機関から貸付け又は支払を受けることができることとした額及び期間の始期並びに親事業者が下請代金債権相当額又は下請代金債務相当額を金融機関へ支払った日 (14) 電子記録債権で支払うこととした場合は,電子記録債権の額,下請事業者が下請代金の支払を受けることができることとした期間の始期及び電子記録債権の満期日 (15) 原材料等を有償支給した場合は,品名,数量,対価,引渡しの日,決済をした日及び決済方法 (16) 下請代金の一部を支払い又は原材料等の対価を控除した場合は,その後の下請代金の残額

(17) 遅延利息を支払った場合は,遅延利息の額及び遅延利息を支払った日

取引の内容の記載であるので、

「発注書をコピーして、 それを「5条書類」ということにすれば いいのではないか?」

と思われる方もいると思う。

ここがポイントである。

発注書(または契約書等の、いわゆる3条書類) と、今回の保存義務がある5条書類は、 なにがちがうのだろうか?

3条書類が、発注内容を表す書類であるのにたいし、 5条書類は、取引の経緯と結果を表す書類である点が、 異なる。

だから、 発注書(3条書類)をもって、 5条書類とすること自体はかまわないのだが、 それだけだと記載事項を満たさないおそれがある。

なぜなら、 5条書類は 取引の結果を示す書類でなければならないのに、 あくまでも発注書には事前の取り決めのみが書かれているからだ。

たとえば、 発注の時点では業務の方向性だけ決めておいて、 実際に着手しながら仕様が明確になっていくような、 委託業務というのは、 とくに情報成果物作成委託などには多いはずである。

また、 同様の理由から、 途中で委託業務の内容や、 スケジュールに変更が生じ、 そのため委託金額も変わった、 ということだって少なくは無いはずだ。

そのような場合に、 発注書を5条書類としてしまうと、 経緯が記載されているとはいえないため、 問題になる。

よって、実際には、 発注書の記載事項に、 法定の記載事項を満たすように必要事項を加えて、 そちらを2年間保存する義務がある、 ということになるだろう。