契約書業務マニュアル

平成15年から契約書だけをつくり続けてきた契約書専門の行政書士

Govtech(ガブテック )注目ベンチャー、Graffer グラファーの脅威?!

契約書専門の行政書士の竹永です。

 

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Govtech(ガブテック / 政府×テクノロジー)?

 

またおもしろいベンチャーをみつけたのでメモします。

Graffer(株式会社グラファー)という企業です。

 

どんな会社なのか? まずはグラファーさんのホームページの記載をみると、

 

「テクノロジーの力で民主主義を拡張する」というヴィジョンのもと、インターネットとテクノロジーを活用し、様々な行政手続きを効率的に行える各種サービスを開発・提供しているスタートアップ企業

 

とのこと。

 

これだけだとイメージが湧きにくいですが、いわゆるGovtech(ガブテック / 政府×テクノロジー)とよばれる分野のベンチャーです。

 

そもそもGovtechがわからなかったので調べてみたところ、ようするに行政や政府などの公的サービスにも、今よりももっとテクノロジーを取り入れれば、さらに効率化できる、というような最近のキーワードですね。

 

私も聞いたことがある有名な例だと、エストニアという国では、政府が提供するサービスの電子化が非常にすすんでいて、「結婚と離婚、そして家を売ること以外は全てデジタル化」されているともいわれています。

 

Govtechとは、つまり行政手続きの電子化

 

いままでは紙に文字を書いて、役所の窓口に提出して、・・・とやっていたものを、パソコンでもできるようにしてしまうイメージです。

 

たとえば「投票」なんかも、もしもパソコンでできたら便利だよあな、と思ったことがある方も多いはずですよね。

 

では、グラファーはどんなサービスを提供しているのでしょうか?

 

どんなサービスか

 

これもグラファーのホームページをみただけで、まだ使ってはいないのですが、個人的にかなり魅力的です! 

 

現在公開されているサービスラインナップをみると、法人登記簿謄本を、ウェブで申し込むと所定の住所に郵送してもらえるという「Graffer法人登記簿謄本取寄せ」や、手続きにつかう書類作成をWebフォームで簡単に行える「Grafferフォーム」といったサービスがあります。

 

つまり、パソコンで登記簿謄本が請求できたり、申請書の記入ができる。文字にするとシンプルですが、まず非常に目の付け所がいいというか「たしかにそれがあったら便利だよね」という気持ちにまず深く刺さっています。やられました。

 

ただこれだけだと、なにがそんなに面白いのかピンとこないかもしれません。

 

登記簿謄本の取得代行サービス自体は別に新しいビジネスではないし、フォームへの入力も、それほど画期的な技術ではないよねと、あなどってしまいそうになります。

 

いまは羊の皮をかぶっている

 

でも私がこのGrafferという会社に感動したのは、こうした現在のサービスにではなく、将来性にたいしてです。将来と言ってもおそらく今年から来年にかけてのほんのわずかな間に、「あーちょうどそれがほしかったんだよ!」みたいな分野でサービスが拡充していく可能性があると思います。

 

行政の手続きや申請書の提出というのは、たいていの場合面倒で手間がかかるものです。ここがテクノロジーによって効率化されれば労働生産性が高まります。

 

特に法人が利用する行政手続きは、繰り返しの記入が多く、書式の取り寄せが面倒であり、申請ごとの要件の確認が大変であり、窓口で何を言われるかわからないしなあ、など、とにかくストレスを感じる部分です。

 

ですが、もしこうしたテクノロジーによって、パソコン上で編集履歴がたどれたり、繰り返しの記入はオートフォーマットで入力が済んだり、要件があらかじめ自社のケースにあわせて整理されていたりすれば、飛躍的に負担は軽減されるはずなのです。

 

また、書類の「プリントアウトや郵送」といった、まあいってしまえば誰でもできそうなはずの事務作業にしても、実際に取り掛かるとなぜかわからない理由で意外と手間取り、下手すると半日費やしてしまったみたいな経験が、あなたにもないでしょうか?

 

つまり、今は登記簿の取り寄せとかいって(油断させて)いますが、おそらく今後、面倒だったあの申請も、あの届出も、あの取り寄せも、どんどんパソコンで行えるように機能追加されるのではないかと。

 

そうなれば、まるで凍てついた氷の世界が溶けて、あらゆるものがスムーズに生きた動きをとりもどすかのように、さわやかな気分でスピーディーに申請や届出を行えるような世界になるかもしれません。つまり、手続きというものにたいするネガティブな感情を取り払ってくれる、素敵なサービス群になり得るのです。

 

契約書の記入にも使えそう

 

Gfafferさんのテクノロジーの核の一つは、複雑な選択肢をもつフォームへの記入を、うまく整理してユーザビリティも高く効率化できることにあるような気がします。

 

だとすれば、申請や届出のみならず、たとえば社内の契約フォーマットへの記入も効率化できるかもしれませんし、保険の手続きなどのような分野ではお客様にご記入いただいているあらゆる申込書類が、このテクノロジーによって効率化できることになります。

 

「申込書の記入くらい」と思うかもしれませんが、ここが自動化、効率化できる意義はとても大きいと思います。保険商品のように複雑な「場合わけ」や選択肢の多いシナリオがある場合、これまでは人間の案内係が必須だったはずです。

 

 

医療にも許認可にも?

 

あるいは「医師の問診」への転用を想定してみると、初期診断がかなりの精度で行えるようになったりするはずです。それは医師が慢性的に不足しているの場所での医療や、経済的事情で満足な予防医療が受けられないケース、地域包括医療や介護の現場にたいする、具体的な解答になる可能性を秘めています。

 

会社の許認可申請などにも応用されれば、自社の状況を記入すると同時に要件が絞り込まれ、使い込むほどに最適な申請書ができあがるとか、更新管理も同時にできて、手続きのし忘れを自動的に予防してくれたり、ケースデータの蓄積によって、申請が受理されそうかあらかじめ予測がたてられたり、なんて機能も現実にできてくるかもしれません。

 

ほかにもアイデアはつきませんが、そんなあれやこれやを想起させる分野がGovtechであり、その先端をになうのがこのGraffer社だったりするのではと、勝手な想像をふくらませながら非常に興味深く感じました。

 

可能性がたくさんあり、今後の動向に目が離せないサービスです。

 

 

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行政書士 竹永 大 

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