契約書業務マニュアル

平成15年から契約書だけをつくり続けてきた契約書専門の行政書士

不可抗力とはなんですか?

自分たちではどうしょうもない原因で損害が生じたとき、

「不可抗力だからしょうがない」、

みたいな言い方をすることがある。

契約書においても、 「不可抗力」は よく出てくる概念である。

そもそも不可抗力とは なんだろう。

何かしら損害が生じたとき、 たとえば自転車が横倒しになって、 かごに入っていた卵が割れてしまったとしたら、 倒した人に責任があるのではないかと普通は考える。

その自転車をだれかがわざと、 あるいは通常必要とされる程度の注意をおこたったことによって、 倒してしまった場合は、 倒した人にやはり責任があるだろう。

しかし、 突風が原因ならば、 どうだろう。 もはや誰にも責任を問えないのではないか?

ようするに不可抗力は、 「防ぎようがないこと」、 みたいな意味である。

ところで、 いや、 突風ぐらいは予測すべきだから、 やはり誰かが責任を負うべきだ、 という考え方もできるかもしれない。

だから契約書で 不可抗力条項といえば、 簡単にいえば 自然現象のようなことが原因で損害が発生したときは、 誰が責任を負うべきか、 どれくらいの責任(範囲)になるべきか、 そもそもなにが「どちらのせいともいえない事象」にあたるべきか、 具体的にはどういう対処をすべきか、

というようなことを あらかじめ定めておくということである。

契約書の機能のひとつは、

「解釈を争う手間を避ける」

ことにあるから、 このような条項を設けることで、 一定のリスク回避効果、 再交渉のコスト削減効果は期待できるといえる。

しかし、 不可抗力条項には、 いくつか重要な論点がひそんでいるので、 明日補足したい。