契約書業務マニュアル

平成15年から契約書だけをつくり続けてきた契約書専門の行政書士

契約書のハンコの押し方 まとめ

日本では、
契約書に署名した上で
ハンコを押す。

署名だけでも効力はあるが、
事実上、
押印は必須といえる。

ハンコには、
「実印」「認印」「三文判」などと数種類の呼び方がある。

「実印」は、
役所(市町村役場や区役所)に登録してあるハンコのこと。
だから実印かどうかは登録してあるかどうかの問題である。

どんなに立派で高級なハンコでも、
登録しなければただのハンコで
実印とは認められない。

契約書には実印を押すのが理想的。

その意味で会社法人の場合は、
登記所(法務局等)に届けられた
「会社代表社印」が実印になる。

実印は、
印鑑証明書の交付を受けることができ、
契約書に添付し、実印で押印すれば
本人であることを強く裏付けることができるわけだ。

そのようなわけで、
契約書には
「署名+実印」がもっとも望ましい。


署名欄だけではなく、
契約書には
「契印」を押すことが多い。

契約書のページが複数になったとき、
ページの見開き部分にまたがって押すことで、
契約書が途中で差し替えられていないことを表す。

「割印」と似ているが、
正確には
割印は、
正本と副本の2通を用意したようなとき、
その2つの間にまたがって押すハンコである。

二枚以上にわたる書類が、
関連性があるか、
それらがもともとは同じものであることを表す。

さらに
「消印」は、
契約書に収入印紙を貼った場合に、
印紙と台紙の間にまたがって押す。

これによって印紙が再使用されないようにしているわけだ。
手書きで消印しても、問題ない。)

以上は
押印することに問題は無く、
契約書を確認してから押印すればよいわけだが、
ひとつだけ押さない方がいいハンコがある。
「捨印」である。

捨印は訂正印をあらかじめ押しておくこと。
訂正印は契約書の一部を、
作成後に加筆したり、
削除したりする必要がある場合に
「確かにその権限のある者によって訂正された」ということを
客観的に示すために押すものだ。

つまり捨印が押してあると、
権限の無い人にも契約書の訂正が可能になってしまう。

他人に都合よく契約書が訂正されてしまっても、
あたかも本人が合意していたかのように見えてしまう。
できれば「捨印」は押さないように注意したい。

それから、
ハンコでよく相談があるのは、
ビジネス契約書に社印(角印)を押すべきかどうか
というのがある。

社名のはいった四角いハンコのことを、
社判、社印、角印などという。

社印(社判、角印)は、
別に印鑑証明を受けているわけではないので
いってみればいわゆる認印にすぎない。

その意味では、
契約書に用いるべき印ではないのだが、
実際には多用されている。
なんとなく見栄えがよくなるからだ。

慣習的に権威づけの効果はあるし、
真実性に多少の補強はできるといえるのかもしれず、
否定もできない。

しかし実印に代わる役割は無いのであるから、、
あくまでもすでに実印が押してあることを確認したうえで対応したい。

相手方の提示した契約書に
社印のみが押されたりしているようであれば、
実印をおさせるか、
少なくともサインは「署名」にしてもらえるよう努力すべきである。