契約書業務マニュアル

平成15年から契約書だけをつくり続けてきた契約書専門の行政書士

契約書に効力があるのか?


契約書の法律的効力とは?

「この契約書の効力はありますか?」 という質問はよくある。

実は契約書の「効力」というのは意味がたくさんあって、
質問者本人もあまりこまかくは意識されていない。

 「その契約が成立しているかどうか」という意味でもあるし
 「妥当性があり、契約内容が法律に違反していないか?」

と言う趣旨もふくまれるだろう。

「ハンコの押し方など、その契約書の形式が間違っていないか?」 
という形式面のことかもしれないし、

「その契約でトラブルになった場合、仮に裁判したら勝てるか?」
ということでもあるかもしれない。

法律的にいえば
履行の強制力があるかどうか、
債権を実現させられるか、
と表現できるかもしれない。

契約等によって生じた債権を
裁判所の勝訴判決などを得て、
強制的に実現することを、
現実的履行の強制(履行の強制)という。

契約が成立すると、
そういった国家のパワーで約束を守らせるという
選択肢もある。
損害賠償の根拠にもなる。

そういうのが契約の基本的効力であり、
だから契約はこわい。


契約をめぐる裁判では、
双方が、契約の存在(たしかにそのような約束をしたという真実性)と、
契約の正当さ(法令や社会規範に違反していないということ)を主張して、
どちらが正しいかを裁判所に判断してもらうこととなる。

存在や適法性を最終的に決めるのは裁判所(=裁判官)であって
それ以外の者は、推測できても、判断することはできない。

裁判所は、どうやって判断するか? といえば
訴えを受け、証拠を調べる。

その際の証拠とは基本的に「文書(契約書)」である。
訴訟において「文書は証拠の王様」という言葉まである。
だから契約書は重要だ。

民事訴訟法228条(文書の成立)によると、
1文書は、その成立が真正であることを証明しなければならない。
2 文書は、その方式及び趣旨により公務員が職務上作成したものと認めるべきときは、真正に成立した公文書と推定する。
3 公文書の成立の真否について疑いがあるときは、裁判所は、職権で、当該官庁又は公署に照会をすることができる。
4 私文書は、本人又はその代理人の署名又は押印があるときは、真正に成立したものと推定する。
5 第二項及び第三項の規定は、外国の官庁又は公署の作成に係るものと認めるべき文書について準用する。

となにやらむずかしく書いてあるが、
ようするに
契約書のように署名や押印のある文書は、
ひとまずホンモノだと推定されるよということだ。

ところで効力という部分がどうしても心配で、
なにかより強固な、
お上のお墨付きがほしい、
という人もいるだろう。

そういう方には、
公正証書化をおすすめする。

むずかしいことは抜きにしていえば、
金銭支払いを求める内容などは、
判決と同じくらいの効果を持たせることもできる。

日本公証人連合会ホームページに詳しく載っているので、
参考になる。

公正証書とは?

「公正証書には、遺言公正証書、任意後見契約公正証書、金銭の貸借に関する契約や土地・建物などの賃貸借に関する公正証書、離婚に伴う慰謝料・養育費の支払に関する公正証書並びに事実実験に関する公正証書などがあります。 公正証書は、法律の専門家である公証人が公証人法・民法などの法律に従って作成する公文書です。公文書ですから高い証明力があるうえ、債務者が金銭債務の支払を怠ると、裁判所の判決などを待たないで直ちに強制執行手続きに移ることができます。すなわち、金銭の貸借や養育費の支払など金銭の支払を内容とする契約の場合、債務者が支払をしないときには、裁判を起して裁判所の判決等を得なければ強制執行をすることができませんが、公正証書を作成しておけば、すぐ、執行手続きに入ることができます。」

日本公証人連合会ホームページより引用。)