契約書業務マニュアル

平成15年から契約書だけをつくり続けてきた契約書専門の行政書士

なぜ 契約書をつくるのか?

契約を活用するメリットとは
具体的になんだろう?

つまり、なぜ契約書をつくるのか。

学問的にかんがえれば、

そもそも社会に「契約」という法的制度が必要な理由は、
契約を法的に保護しないと、
約束を守る理由が、
道徳とか、自力救済のみにかたよる可能性がある、

だから、
ある一定のルールのもと、
現実的履行の強制など、
国家が介入できるような法制度が必要だ、

などというふうに解釈することができそうだ。

契約とは、「当事者の約束のうち一定のものにたいして、
法的拘束力を認める法的社会制度」であると。

いささかかたくるしく思えるけれど、
わが国の契約は、
原則として自由な意思表示で契約が成立する。
つまり「口約束」のようなものにも一応契約性を認めている。

これは実際便利だ。

手軽にすばやく契約を
成立させることが可能だからだ。

口約束でも契約だという原則は、
知っておいて損は無い。

が、
手軽な反面、
こうした意思主義や、契約自由の原則とよばれる方式には、
デメリットもある。

なぜなら不注意とか、
不本意であっても
契約の効果が発生してしまうかもしれない。

あるいは、
意思表示があったことは確かなのか?
が客観的にはわからない。

口約束が横行すると、
困った事態にもなるということだ。

ここに、
契約書をつくる理由がある。

「言った」、「言わない」、「聞いてない」等の混乱を防止できるから、
契約書をつくるということだ。

契約書には他にもメリットがある、

・契約であるとの明確な心構えができる、安心感がもてる、

・ある一定の形式で記録がとれる、保存、管理しやすい

・証拠書類となるから、なんだかんだいっても訴訟の際はやはり契約書の有無で雲泥の差となる

等。

もっと実務的なことをいえば、
やはり契約書は取引を明確にしてくれるし、
当事者を納得させるためのツールという側面もある。

書面を確認する、
サインするというプロセスが、
「踏み絵」のような役割をはたすのだ。

約束を守らない人は
世の中に大勢いるものだ。

意図的な場合ばかりとも限らない。
本当に忘れてしまっていたとか、
そういう意味とは思わなかったとか、
そんなのは日常茶飯事だ。

契約というのはドライな世界にも思えるけれど、
個人の能力ややる気に左右されず、
一定のルールをつくることは、
ビジネスにおいてお互いに生産的ではないだろうか。

たった数ページの契約書をつくっておくだけで
多くのメリットを生むのだし、
ビジネスの場合は契約がスタートすれば、
その後長期間にわたって利益をもたらしてくれる。

契約書をもちだすことは、
必ずしも
利己的になるということではないと思っている。

もちろん、
ある程度の配慮やマナーは必要だ。

あまりきつい表現ばかりの契約書にならないように、
調整する力
もつけておくべきだ。

だから最終的には、
本人の交渉力やビジネス手腕次第というはなしなのだけれど、

それでも、
契約書を自分の意思でコントロールできれば、
こんなにたのもしいツールもないのである。