契約書業務マニュアル

平成15年から契約書だけをつくり続けてきた契約書専門の行政書士

契約書を2020年新民法にあわせて改訂する方法 【いつ契約書を変えればいい?】

 

 行政書士の竹永大です。

 

 

民法が、契約書の内容にも影響するといわれています。施行日前に契約書をチェックしておきたいですね。

  

 

いつ契約書を変えればいい?

 

法改正に合わせて、契約書を変える必要があるとして、それはいつからなのでしょうか。チェックする必要があるのは「新民法が適用される契約書」です。

 

つまり、 2020年4月1日(施行日)以降に締結または更新される契約書があれば、新民法にあった内容かどうかチェックしておく必要があります。

(改正法の施行「前」に締結された契約書については、それまでの民法が適用されるので、新民法への対応は必要ありません。)

 

  • 改正法施行前に締結した契約書 → これまでの民法が適用される
  • 改正法施行後に締結または更新される契約書 → 改正にあわせてチェックする必要がある

 

自動更新は?

 

では、施行日以前に締結した契約書はすべてチェックしなくてよいのでしょうか? たとえば締結したのは施行前だけれど、契約が継続していて、施行後に「自動更新」される契約書はどうなるのでしょう? 

 

結論としては2020年4月1日以降に自動更新された契約にも、新民法が適用されると考えられます。更新しないこともできるのに、あえて自動更新したということは、更新する意思をもって更新していると考えられるからです。

 

よって、既存の契約書(施行前、旧民法が適用される時期に締結した契約書)でも、施行日以後に自動更新されるものについては、新民法への対応をチェックする必要があります。

 

また、「取引基本契約書」のように、基本契約と個別契約に分かれている契約書でも、それぞれ2020年4月1日以降に締結されるかどうかで判断します。基本契約が改正前に締結されていても、個別契約が改正後に締結されていれば、基本契約には現行民法が、個別契約には新民法が適用されます。

 

  • 改正後に自動更新される契約書 → 新民法が適用される
  • 改正後に締結される個別契約 → 新民法が適用される

 

民法が変わると、契約書の解釈に影響を与えることがあるので、これまで使ってきた契約書を変える必要があるか、それともあえて変えずに使ってもよいのかを判断する必要があります。

 

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改正項目の非常に多い今回の民法改正ですが、判例通説の明文化である場合や、すでにこれまでの契約実務で任意規定が定着している場面も多くあります。そのため、それほど変更しなくてもよいケースも多いはずです。

 

まずは特に重要な改正項目にしぼって、契約条項との関係をチェックすれば効率的だと思います。

 

 

 

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