契約書業務マニュアル

平成15年から契約書だけをつくり続けてきた契約書専門の行政書士

【2019年】新しい領域へ クラウドリーガルエディタ <LAWGUE> 契約書系リーガルテックを勝手に推すシリーズ3

契約書専門の行政書士の竹永です。

 

気になるリーガルテックを紹介します。

 

(注:あくまでも個人的な感想を中立な立場でご紹介していますため、サービスの具体的な内容が実際と違っている可能性もあります。

 

 

 

契約書作成時間とミスが劇的に減る!? 期待の新星

 

締結やレビューばかりでなく、契約書の作成や修正にももちろんリーガルテックは有効。

 

それを再確認させてくれるのが【クラウドリーガルエディタ】のLAWGUEです。

 

lawgue.com

 

 

契約実務には大きく分けて①作成、②チェック、③締結、④保管・管理というフェーズがあり、リーガルテックもこれらに部分的に対応するものと、フロー全体を管理するものとがあります。

 

今回のLAWGUEは1番目の、「作成」や「修正」に特に威力を発揮しそうなサービスです。まだマニュアルを読んだだけですが、そういえばエディタにフォーカスしたものを見るのは初めてでした。

 

いやむしろAI技術は作成/修正時のミスを減らすのにこそ、威力を発揮するのではないか・・・。そんな気もして、はやくも今後の機能追加が楽しみになっています。 

  

 

特徴は条文を短冊状に切り離せるところ

 

LAWGUEについて、私が特に画期的だと感じたのは、アップロードした契約書を読み込んでくれて、条文ごとに短冊のように「ばらして編集」ができるようになっているところです。

 

これ、何が良いのかわかりづらいかもしれませんが、誰もが一度はそうできればいいなと思ったはずの、すぐれた機能です。

 

ようするに、契約書の各条文をブロックのように、あるいは付箋や短冊のように、ばらして編集できるので、「ちょっと条文の順序を並べ替えたいとき」や、あとから「条文を追加したい」、あるいは「条文ごと削除したい」といったときの編集が楽に行えます。

 

(タスク管理のTrello(トレロ)をご存知の方は、ボードにカードを追加したり、それを並べ替えたりするのをイメージしてもらうと、近いかもしれません。)

 

「条文の追加なんて、Wordでもコピペすればできることでは?」

 

といわれるかもしれませんが、技術的に可能なことと、楽にできることとはちがいます。

 

 

短冊状に扱えた方が直感的でわかりやすいし、なにより短冊を入れ替えたときに、それにともなって条文番号も自動的に更新される(つまり「第〇条」の数字が正しく入れ替わってくれる)ので楽なわけです。

 

「楽」ということは、ミスも減ります。Wordで作成しているときは、アウトラインが思い通りに表示されなくてイライラしたり、自分で打ち直したりしていましたよね。

 

こまかく見ればWordでもできることだけど、Wordより便利だったり、直感的に操作できたりといった部分が違います。

 

 

欲しい条項がすぐに参照できる

 

 

条文を個々に扱えることで、他の書式の参照条文を反映しやすくなっています。たとえば条項を検索して、過去にあつかった契約書にある任意の条項を、編集中の契約書の条項に追加するなどといった操作ができます。

 

もちろん、

 

「たしかあのときのあの契約書に、似たような条文があったな・・・。あれの該当箇所をコピーして流用しよう。」

 

みたいな思考回路は、作成者なら誰しももっているわけですが、頭の中でやってしまうので属人的になりがちな部分だと思います。リーガルエディタはこうした「みえにくかった」作業のスピードアップやノウハウ共有にも貢献してくれることでしょう。

 

さらにほかにも編集支援機能として「インデントの自動補正」「条内条番号の自動変更」「書式揺れ訂正」などが搭載されているそうで、こちらも興味深いところです。

 

特に、いちどでも契約書を作成したことがある方なら「条内条番号の自動変更」がどれくらい便利か、実感としてわかるはずです。リーガルエディタならではの機能といえそうですね。

 

さらに、コメントを条文ごとに表示させて関係者で共有したり、差分を表示させるなど、こまかくみると様々な機能がついています。作成を頻繁に行う専門家向けですが、気になった方は無料トライアルの提供があるようです。LAWGUEのサイトにてご確認ください。

 

とにかく減らせるミスはすべて減らしたい!

 

 

今回のLAWGUEの登場によって、リーガルエディタという分野には広大な「のびしろ」があると確信しました。

 

早くもたとえば「甲乙をワンクリックで逆転」させてくれたりしたら便利だなとか、マニアックなことをたくさん思いついてしまいます。いずれ機能追加されて、本当にそうなるかもしれません。

 

リーガルエディタにより、契約書のこまかい(けれど重要な)ミスの多くは劇的に減らせるはずです。とにかく機械的な作業によって減らせるミスはすべて減らしてほしいです。たとえば条文番号を正しくふるとか、同音異義語の表記ゆれをなくすとか(意義/異議 みたいな)ですね。

 

そして本当に楽しみなのはその先です。

 

AIがどんどん賢くなっていったら、もしかしたらたとえば「又は と 若しくは」の使い方のミスを指摘してくれたりだとか、特に「本件業務 と 本業務」のような、多数の書式を参照するからこそついやってしまいがちなミスを見抜いてくれたりしたら最高ですよね。

 

もっと欲をいえば文脈そのものを理解して、

 

「あれ? ここ、甲と乙とが逆になっていませんか?」

 

みたいなアラートを自動的に出して作成者に気づかせてくれたり、そんな風にもなっていかないでしょうか? 将来、あたかもAIと会話しながら契約書をつくっている気分になるかもしれない。とにかく、エディタという原点に的を絞ったからこそみつかる、地味だけど重要な課題がひろいあげられていくことを、期待せずにいられません。

 

 

リーガルテックの今後に期待

 

先日(2019年6月4日)の日経新聞の見出しに、

 

“「リーガルテック」 契約書をAI点検  紙中心の日本 導入に遅れ ”

 

とありましたが、日本のリーガルテックは歴史も浅く、まだまだこれから質的にも成長する分野です。

 

ベストな選択は、まさにこれから日進月歩で変わるはず。 

 

それゆえ今後もリーガルテック分野を観察し、契約管理に悩めるお客様に最適なサービスを紹介していきたいものです。

 

 

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行政書士 竹永 大 

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