得する契約書 損する契約書
契約書専門の行政書士の竹永です。
起業家、経営者、フリーランスの方が、 契約書で損しないようにアドバイスをしています。
得する契約書 損する契約書
研修の場などで参加者の方に
「契約書はなんのためにつくるのだと思いますか?」
と問いかけると、だいたい9割くらいの方は
「会社を守るため」
あるいは
「トラブルにならないように」
といいます。
はたして本当にそうでしょうか?
たしかに、契約書は「予防法務」とも呼ばれます。「言った、言わない」を防ぐのには、契約書として残しておくのがいいことは間違いありません。ですが、私は、契約書はトラブルを予防するものだという考え方は少し違うと思います。
契約書がほんとうに守っているものとは
なぜなら、ビジネス契約書を扱っているとよくわかるのですが、ほんとうに契約書が守っているものはなにかというと、ようするにお金であるからです。
契約書は、お金を守ってくれるものです。
売上が入ってくるように、あるいは、コストが増えすぎないように、そのための条件をうまく設定して調節してくれるのがビジネス契約であり、それらを具体的に「みえる化」したものが契約書です。
そもそも「売上」というお金が入ってくるのは、債権の発生原因としての契約が成立したからですし、その成立の証拠が契約書です。お金を守ってくれるもの、入ってくるようにするもの、出ていかないようにするものが契約書といえます。
契約書は売主にとって札束と同じ。小切手や証券のようなものです。契約書の支払条項はお金がどう入ってくるかを示す額面みたいなものだし、支払条件は資金繰りを操る事業計画書のようなものです。
たまに内容的にそうなっていない契約書も見かけますが、検討不足だったのでしょう。もったいないことです。
解除条項は「損切り」の側面をもっています。もはや解除した方がメリットがあるか、リスクを増やさないために、速やかに解除できるよう、出口をつくっておくしくみだからです。
損害賠償条項や免責条項は、もしものときの保険のような、あるいは将来のリスクに対応する引当金のような条項です。
全部同じに見える条文も、これはなんらかの価値やメリットが入ってくる条文なのか、それとも出ていくのを防ぐ条文なのか、という個性に着目して読み直すと、 違った感覚で契約書が読めるようになってきます。
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行政書士 竹永 大
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