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契約書に貼る印紙の決定方法

オフィシャルサイトでは参考にしていただきたいビジネス契約書のサンプル集を無料でダウンロードできます。

 

 行政書士の竹永大です。

 

ネットで「〇〇契約書 印紙」と検索したけど、どうも自分にぴったりあてはまる結果が出てこなくて困っている方や、この際もう少し具体的なことが知りたいと思われた方へ。

 

この契約書には印紙を貼るのかや、貼るとしたらいくらなのかをどうやって決定すればよいのかをまとめます。

 

たかが数百円の印紙といえども、ばかにはできません。積み重なれば大きな費用ですし、場合によっては1通の印紙税額が高いものもあります。

 

印紙の貼り間違いは避けたいですし、無駄な印紙はできるだけ貼りたくないもの。この際正しい知識を身に着けておけば、契約書に貼る印紙が自分で判断できるようになります。

  

 

そもそもなぜ契約書に印紙を貼るのか? 

 

金銭消費貸借契約書、請負契約書、継続的取引の基本となる契約書などには、収入印紙を貼ります。一方で、ビジネス取引でもよくつかわれる準委任契約書などには、印紙を貼りません。この違いはどこからうまれるのでしょうか。

 

根拠は印紙税法にあります。印紙税法第3条は「別表第一の課税物件の欄に掲げる文書のうち、第五条の規定により印紙税を課さないものとされる文書以外の文書(課税文書)」には印紙税を納める義務があると定めています。

 

ようするに「課税文書」には印紙を貼らなければならない、という意味ですなのですが、では「課税文書」とはなんなのでしょうか? 今度は「印紙税法基本通達」の第2条というところを読みます。

 

印紙税法基本通達第2条

法に規定する「課税文書」とは、課税物件表の課税物件欄に掲げる文書により証されるべき事項(以下「課税事項」という。)が記載され、かつ、当事者の間において課税事項を証明する目的で作成された文書のうち、法第5条《非課税文書》の規定により印紙税を課さないこととされる文書以外の文書をいう。 

 

課税事項の確認

 

課税事項が記載されていて、課税事項を証明するためにつくられていて、非課税文書ではないものが課税文書だと書いてあります。課税事項とは簡単に言えば課税物件欄に書いてある内容のことであり、印紙税額一覧表の左の欄の、「文書の種類(物件名)」というところに書いてある事項と同義です。基本的にはここに書いてあるかどうかで、印紙を貼る、貼らないが決まるわけです。

 

 

印紙税額一覧表というのは以下のような表です。

 

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たとえば一覧表の左上のあたりを見ると「消費貸借に関する契約書」という「物件名」があります。これはつまり「消費貸借の事実」が書かれ、それを証明するために作成された文書は課税文書とする(つまり印紙を貼る)、という意味なのです。

 

このように、たくさんある文書(契約書など)のうち「課税文書」に該当したものには印紙を貼ることになります。実際に取引があったかや契約通りに行われたかどうかは全く関係ありませんし、同じ契約書でも何通も作成されれば、その通数分だけ印紙税がかかります。2通つくったら2通とも印紙を貼るわけです。

 

課税文書かどうかを契約書のタイトルだけで判断してはいけないところも、重要なポイントです。もちろんタイトルは判断するときのヒントくらいにはなるのですが、課税文書の定義からいうと、あくまでタイトルではなく内容で判断しなければなりません。作成した契約書のタイトルが印紙税額一覧表にあるものとたまたま同じだったり、似ていても、必ず課税文書に該当するわけではありません。その内容が先ほどの「課税事項」を証明していなければ、課税文書にはならない(貼らなくてよい)からです。 

 

では、契約書の内容というのは何を基準に判断されるのでしょうか?

 

重要事項の確認

 

ひとつは先ほどの「課税事項」を証明している内容かどうか、もうひとつは印紙税法上、契約書の「重要事項」という考え方があり、契約書にこの重要事項が書いてない場合は課税文書にならないことになっています。つまり契約書の内容としては「課税事項」が記載されていて、その課税事項が「証明される目的で」つくられており、しかも「重要事項」が含まれていて非課税文書でないものであれば、課税文書に該当します。

 

箇条書きにすると、

①課税事項が記載されている

②それを証明される目的で作成されている

③重要事項が含まれている

④非課税文書ではない

ということです。

 

では、具体的になにが「重要事項」かですが、それは印紙税法基本通達の「別表第2」というところにおおむね書いてあります(おおむね、であり、すべてではありません)。重要事項というのは、それが書いてないと(抜けていると)課税文書にならないというほど不可欠な事項なのです。

 

別表第2を確認しましょう。

たとえば第1号の3文書(消費貸借に関する文書)の重要事項はというと、

 

第1号の3文書
(1) 目的物の内容

(2) 目的物の引渡方法又は引渡期日

(3) 契約金額(数量)

(4) 利率又は利息金額

(5) 契約金額(数量)又は利息金額の返還(支払)方法又は返還(支払)期日

(6) 契約期間

(7) 契約に付される停止条件又は解除条件

(8) 債務不履行の場合の損害賠償の方法

 

上記が、印紙税法基本通達別表2による「第1号の3文書」の重要事項です。つまり第1号の3文書であるためには、その契約書の文中にこれらの記載のいずれかが必要ということです。

 

こんなにたくさん書かれてなくてはいけないのか? と思うかもしれませんが、それぞれの文書にはそれぞれ定められた重要事項のうち、どれか一つでも記載されていれば、重要事項の記載があるといえます印紙税法基本通達第12条)。つまり第1号の3文書のなかに、上記の8項目のうちどれかひとつでも記載されていれば、それで重要事項が記載されていることになります(その根拠は印紙税法基本通達第12条のなお書きです)。たしかに上記は普通の契約書であれば必ず書かれている記載ですので、それほど確認は難しくないと思います。

 

印紙税法基本通達第12条 法に規定する「契約書」とは、契約当事者の間において、契約(その予約を含む。)の成立、更改又は内容の変更若しくは補充の事実(以下「契約の成立等」という。)を証明する目的で作成される文書をいい、契約の消滅の事実を証明する目的で作成される文書は含まない。
 なお、課税事項のうちの一の重要な事項を証明する目的で作成される文書であっても、当該契約書に該当するのであるから留意する。
 おって、その重要な事項は別表第2に定める。 (昭59間消3-24改正)

   

このように、契約書に貼る印紙を理解するには、まず印紙税法をベースに、その法律の下の方に書いてある課税物件表を参照して、さらに課税物件表の適用に関する通則(以下単に「通則」)を確認し、さらにこまかいところは印紙税法基本通達とその通達の別表第2という一覧表を確認する、という作業が必要になります。

 

判断の基準となる資料のまとめ

 

正確な判断のために欠かせない、印紙税の資料は以下のものがあります。

 

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印紙税法課税物件表通則は、印紙税法を検索すればすべてまとめて載っています。

印紙税法基本通達、そしてその別表第2は、国税庁のホームページですべて公開されています。

③また、日常の業務で特に頻繁に利用されるのは、印紙税額一覧表です。

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これらの資料をそれぞれチェックしながら、印紙の判断を行っていきます。

 

印紙の判断方法

 

では具体的に契約書の印紙をどうやって判断していくかを説明します。

 

繰り返しになりますが、タイトルがなんであれ「課税文書」ならば印紙を貼ることになります。たとえば「注文書」と書いてあっても、内容的に「請負契約書」なのであれば、印紙を貼ることになります。とにかくまずは印紙を貼るのかどうか。その簡単なみわけかたは「印紙税額一覧表」を見ることです。

 

印紙税額一覧表に課税文書の名前が出ています。

 

印紙税額一覧表の読み方ですが、まず、一番左に「番号」欄があります。たとえばこの欄の「1」とあるところは「第1号文書」を意味します課税文書は1号から20号まで番号を付けられて分類されているのです。1号から20号までのどれかに該当すれば、原則として課税文書です。自分の作成している文書が第何号文書に該当するのかを、ここで探すことができます。

 

番号の欄のとなりには「文書の種類(物件名)」欄があります。具体的に文書の名前がこまかく書いてありますから、メニューを見るようにして目的の文書がないか探します。1号文書のなかにも種類があるため「1 不動産・・・の譲渡に関する契約書」のように、番号が振ってあります。そこでこの番号を先ほどの「号」とあわせて「第1号の1文書」のように呼びます。

 

目当ての契約書が何号の何番かわかったら、印紙の金額をみます。表の右側に、貼るべき印紙の「金額」が書いてあります。このように基本的には一覧表をたよりに確認していけばよく、実際これであっさり解決することもあります。

 

ところが、ある契約書が何号文書かがわかっても、契約書の記載金額がわからないと印紙の金額が決められないことがあります。なぜなら第1号文書や第2号文書などは、契約金額によって、納めるべき印紙税の額が変化するからです。

 

そこでこの「契約金額」「記載金額」というものについて具体的に説明します。

 

契約金額と記載金額とは?

 

 

契約金額」や「券面金額」などの、それぞれの文書が具体的に証明しようとしている金額がある場合で、その契約金額等の金額がその文書に記載されているとき、記載金額と呼びます。なぜわざわざ「証明しようとしている金額」というかというと、契約書に金額を書くとき、代金だけではなく、評価額や、取得原価、原契約における対価の額など、証明ではなく単に参照されるために書かれる金額もあるので、それらと区別したいためです。

 

契約金額とは

 

まず「契約金額」とはなにかというと、簡単にいえばその契約によってやり取りされる金額のことです。つまり売買契約でいうところの売買金額であり、消費貸借契約でいうところの消費貸借金額(利息は含まない)であり、請負契約でいうところの請負金額です。それぞれの文書ごとにもう少しちゃんとした定義が、印紙税法基本通達第23条に書いてありますので、その都度確認します。

 

印紙税法基本通達第23条には、以下のように書いてあります。

 

課税物件表の第1号、第2号及び第15号に規定する「契約金額」とは、次に掲げる文書の区分に応じ、それぞれ次に掲げる金額で、当該文書において契約の成立等に関し直接証明の目的となっているものをいう。(平元間消3-15改正)

(1) 第1号の1文書及び第15号文書のうちの債権譲渡に関する契約書 譲渡の形態に応じ、次に掲げる金額

イ 売買 売買金額

(例) 土地売買契約書において、時価60万円の土地を50万円で売買すると記載したもの (第1号文書)50万円

(注) 60万円は評価額であって売買金額ではない。

ロ 交換 交換金額
  なお、交換契約書に交換対象物の双方の価額が記載されているときはいずれか高い方(等価交換のときは、いずれか一方)の金額を、交換差金のみが記載されているときは当該交換差金をそれぞれ交換金額とする。

(例) 土地交換契約書において

1 甲の所有する土地(価額100万円)と乙の所有する土地(価額110万円)とを交換し、甲は乙に10万円支払うと記載したもの (第1号文書)110万円

2 甲の所有する土地と乙の所有する土地とを交換し、甲は乙に10万円支払うと記載したもの (第1号文書)10万円

ハ 代物弁済 代物弁済により消滅する債務の金額
  なお、代物弁済の目的物の価額が消滅する債務の金額を上回ることにより、債権者がその差額を債務者に支払うこととしている場合は、その差額を加えた金額とする。

(例) 代物弁済契約書において

1 借用金100万円の支払いに代えて土地を譲渡するとしたもの (第1号文書)100万円

2 借用金100万円の支払いに代えて150万円相当の土地を譲渡するとともに、債権者は50万円を債務者に支払うとしたもの (第1号文書)150万円

ニ 法人等に対する現物出資 出資金額

ホ その他 譲渡の対価たる金額

(注) 贈与契約においては、譲渡の対価たる金額はないから、契約金額はないものとして取り扱う。

(2) 第1号の2文書  設定又は譲渡の対価たる金額
なお、「設定又は譲渡の対価たる金額」とは、賃貸料を除き、権利金その他名称のいかんを問わず、契約に際して相手方当事者に交付し、後日返還されることが予定されていない金額をいう。したがって、後日返還されることが予定されている保証金、敷金等は、契約金額には該当しない。

(3) 第1号の3文書 消費貸借金額
 なお、消費貸借金額には利息金額を含まない。

(4) 第1号の4文書 運送料又は用船料

(5) 第2号文書 請負金額

(6) 第15号文書のうちの債務引受けに関する契約書 引き受ける債務の金額

 

記載金額とは

 

次に、「記載金額」とはなにかですが、契約金額等がその文書に記載されているときの、その文書に記載されている金額をいいます。契約金額より少し大きな概念というイメージなのですが、わかりづらいので、記載金額について具体的に理解するために通則4を見ます。

 

通則4を確認しましょう

 

課税物件表の適用に関する通則4

4 この表の課税標準及び税率の欄の税率又は非課税物件の欄の金額が契約金額、券面金額その他当該文書により証されるべき事項に係る金額(以下この4において「契約金額等」という。)として当該文書に記載された金額(以下この4において「記載金額」という。)を基礎として定められている場合における当該金額の計算については、次に定めるところによる。
イ 当該文書に二以上の記載金額があり、かつ、これらの金額が同一の号に該当する文書により証されるべき事項に係るものである場合には、これらの金額の合計額を当該文書の記載金額とする。
ロ 当該文書が2の規定によりこの表の二以上の号に該当する文書である場合には、次に定めるところによる。
(一) 当該文書の記載金額を当該二以上の号のそれぞれに掲げる文書により証されるべき事項ごとに区分することができるときは、当該文書が3の規定によりこの表のいずれの号に掲げる文書に所属することとなるかに応じ、その所属する号に掲げる文書により証されるべき事項に係る金額を当該文書の記載金額とする。
(二) 当該文書の記載金額を当該二以上の号のそれぞれに掲げる文書により証されるべき事項ごとに区分することができないときは、当該金額(当該金額のうちに、当該文書が3の規定によりこの表のいずれかの号に所属することとなる場合における当該所属する号に掲げる文書により証されるべき事項に係る金額以外の金額として明らかにされている部分があるときは、当該明らかにされている部分の金額を除く。)を当該文書の記載金額とする。
ハ 当該文書が第十七号に掲げる文書(3の規定により同号に掲げる文書となるものを含む。)のうち同号の物件名の欄1に掲げる受取書である場合には、税率の適用に関しては、イ又はロの規定にかかわらず、次に定めるところによる。
(一) 当該受取書の記載金額を売上代金に係る金額とその他の金額に区分することができるときは、売上代金に係る金額を当該受取書の記載金額とする。
(二) 当該受取書の記載金額を売上代金に係る金額とその他の金額に区分することができないときは、当該記載金額(当該金額のうちに売上代金に係る金額以外の金額として明らかにされている部分があるときは、当該明らかにされている部分の金額を除く。)を当該受取書の記載金額とする。
ニ 契約金額等の変更の事実を証すべき文書について、当該文書に係る契約についての変更前の契約金額等の記載のある文書が作成されていることが明らかであり、かつ、変更の事実を証すべき文書により変更金額(変更前の契約金額等と変更後の契約金額等の差額に相当する金額をいう。以下同じ。)が記載されている場合(変更前の契約金額等と変更後の契約金額等が記載されていることにより変更金額を明らかにすることができる場合を含む。)には、当該変更金額が変更前の契約金額等を増加させるものであるときは、当該変更金額を当該文書の記載金額とし、当該変更金額が変更前の契約金額等を減少させるものであるときは、当該文書の記載金額の記載はないものとする。
ホ 次の(一)から(三)までの規定に該当する文書の記載金額については、それぞれ(一)から(三)までに定めるところによる。
(一) 当該文書に記載されている単価及び数量、記号その他によりその契約金額等の計算をすることができるときは、その計算により算出した金額を当該文書の記載金額とする。
(二) 第一号又は第二号に掲げる文書に当該文書に係る契約についての契約金額又は単価、数量、記号その他の記載のある見積書、注文書その他これらに類する文書(この表に掲げる文書を除く。)の名称、発行の日、記号、番号その他の記載があることにより、当事者間において当該契約についての契約金額が明らかであるとき又は当該契約についての契約金額の計算をすることができるときは、当該明らかである契約金額又は当該計算により算出した契約金額を当該第一号又は第二号に掲げる文書の記載金額とする。
(三) 第十七号に掲げる文書のうち売上代金として受け取る有価証券の受取書に当該有価証券の発行者の名称、発行の日、記号、番号その他の記載があること、又は同号に掲げる文書のうち売上代金として受け取る金銭若しくは有価証券の受取書に当該売上代金に係る受取金額の記載のある支払通知書、請求書その他これらに類する文書の名称、発行の日、記号、番号その他の記載があることにより、当事者間において当該売上代金に係る受取金額が明らかであるときは、当該明らかである受取金額を当該受取書の記載金額とする。
ヘ 当該文書の記載金額が外国通貨により表示されている場合には、当該文書を作成した日における外国為替及び外国貿易法(昭和二十四年法律第二百二十八号)第七条第一項(外国為替相場)の規定により財務大臣が定めた基準外国為替相場又は裁定外国為替相場により当該記載金額を本邦通貨に換算した金額を当該文書についての記載金額とする。

 

上記が通則4の引用です。

 

どういうことかというと、たとえば、ひとつの請負契約書のなかに、複数の業務が書かれていて、なおかつそれぞれの「契約金額」がA業務は300万円、B業務は500万円、と区別して書かれていた場合の、最終的な記載金額としてはいくらなのかなどが通則4に書いてあるわけです。

 

請負契約書のなかで「A業務はいくら」、「B業務はいくら」、のように契約金額が区別して書かれていた場合、通則4のイによると、

 

イ 当該文書に二以上の記載金額があり、かつ、これらの金額が同一の号に該当する文書により証されるべき事項に係るものである場合には、これらの金額の合計額を当該文書の記載金額とする。

 

とあります。よってこの場合はそれぞれの契約金額の「合計額」が記載金額になると判断できます。(例外がたくさんあるので、何でも足し算すればいいと早合点しないように気を付けてください。)

 

あわせて基本通達も見る

 

記載金額の定義は複雑なので、上記の通則4だけだと少々わかりづらいと思います。実は印紙税法基本通達(24条、25条、30条)にも記載金額の計算が書かれていて、こちらの方が事例がついているので理解しやすいです。両方見るか、通達を先に見て必要なら通達を見る、という順序がいいと思います。

 

そこで、基本通達の24条を引用します。

 

通則4に規定する記載金額の計算は、次の区分に応じ、それぞれ次に掲げるところによる。 (昭59間消3-24、平元間消3-15改正)

(1) 一の文書に、課税物件表の同一の号の課税事項の記載金額が2以上ある場合 

当該記載金額の合計額

(例) 

1 請負契約書
A工事200万円、B工事300万円 (第2号文書)500万円

2 不動産及び鉱業権売買契約書
不動産1,200万円、鉱業権400万円  (第1号文書)1,600万円

(2) 一の文書に、課税物件表の2以上の号の課税事項が記載されているものについて、その記載金額をそれぞれの課税事項ごとに区分することができる場合 当該文書の所属することとなる号の課税事項に係る記載金額

(例)

当該文書の所属することとなる号の課税事項に係る記載金額の例

(3) 一の文書に、課税物件表の2以上の号の課税事項が記載されているものについて 、その記載金額をそれぞれの課税事項ごとに区分することができない場合当該記載金額

(例) 不動産及び債権の売買契約書

不動産及び債権500万円 (第1号文書)500万円

(4) 第17号の1文書であって、その記載金額を売上代金に係る金額とその他の金額とに区分することができる場合当該売上代金に係る金額

(例) 貸付金元本と利息の受取書

貸付金元本200万円、貸付金利息20万円 (第17号の1文書)20万円

(5) 第17号の1文書であって、その記載金額を売上代金に係る金額とその他の金額とに区分することができない場合当該記載金額

(例) 貸付金元本及び利息の受取書

貸付金元本及び利息210万円 (第17号の1文書)210万円

(6)  記載された単価及び量、記号その他により記載金額を計算することができる場合その計算により算出した金額

(例) 物品加工契約書

A物品単価500円、数量10,000個(第2号文書)500万円

(7) 第1号文書又は第2号文書であって、当該文書に係る契約についての契約金額若しくは単価、数量、記号その他の記載のある見積書、注文書その他これらに類する文書(課税物件表の課税物件欄に掲げる文書を除く。)の名称、発行の日、記号、番号その他の記載があることにより、当事者間において当該契約金額が明らかである場合又は当該契約金額の計算をすることができる場合その明らかである金額又はその計算により算出した金額

(例)

1 契約金額が明らかである場合

工事請負注文請書

「請負金額は貴注文書第××号のとおりとする。」と記載されている工事請負に関する注文請書で、注文書に記載されている請負金額が500万円(第2号文書)500万円

2 契約金額の計算をすることができる場合

物品の委託加工注文請書

(1) 「加工数量及び加工料単価は貴注文書第××号のとおりとする。」と記載されている物品の委託加工に関する注文請書で、注文書に記載されている数量が1万個、単価が500円(第2号文書)500万円

(2) 「加工料は1個につき500円、加工数量は貴注文書第××号のとおりとする。」と記載されている物品の委託加工に関する注文請書で、注文書に記載されている加工数量が1万個 (第2号文書)500万円

3 通則4のホの(二)の規定の適用がない場合

物品の委託加工注文請書

「加工数量は1万個、加工料は委託加工基本契約書のとおりとする 。」と記載されている物品の委託加工に関する注文請書 (第2号文書)記載金額なし

(8) 第17号の1文書であって、受け取る有価証券の発行者の名称、発行の日、記号、番号その他の記載があることにより、当事者間において売上代金に係る受取金額が明らかである場合その明らかである受取金額

(例) 物品売買代金の受取書

〇〇(株)発行のNo.××の小切手と記載した受取書(第17号の1文書)当該小切手の券面金額

(9) 第17号の1文書であって、受け取る金額の記載のある支払通知書、請求書その他これらに類する文書の名称、発行の日、記号、番号その他の記載があることにより、当事者間において売上代金に係る受取金額が明らかである場合その明らかである受取金額

(例) 請負代金の受取書

〇〇(株)発行の支払通知書No.××と記載した受取書(第17号の1文書)当該支払通知書の記載金額

(10) 記載金額が外国通貨により表示されている場合文書作成時の本邦通貸に換算した金額

(例) 債権売買契約書

A債権米貨10,000ドル(第15号文書)130万円

(注) 米貨(ドル)は基準外国為替相場により、その他の外国通貨は裁定外国為替相場により、それぞれ本邦通貨に換算する。

 

基本通達24条の方が具体例もあってわかりやすいですね。先ほども例に挙げた、同じ請負契約書のなかの区別された業務それぞれに契約金額がある場合の記載金額の計算方法についても、

 

(1) 一の文書に、課税物件表の同一の号の課税事項の記載金額が2以上ある場合 

当該記載金額の合計額

(例) 

1 請負契約書
A工事200万円、B工事300万円 (第2号文書)500万円

 

・・・とあります。やはりこの場合は契約金の「合計額」が記載金額になるのだと判断できます。

 

ついでにもうひとつ例をあげると、契約書によっては、契約金額を最終的なひとつの値段ではなく「数量と単価」で表現している場合があります。数量と単価であらわすとは、たとえばある部品の製造単価を@500円とし、その発注数量は10000個と記載されているような場合です。

 

この場合、記載金額は500円でいいのでしょうか? 記載されているのは500円のような気もしますが、数量が10000個なので、最終的な代金は500万円になるはずです。そこで印紙税法基本通達24条(6)を確認すると、

 

(6)  記載された単価及び量、記号その他により記載金額を計算することができる場合その計算により算出した金額

(例) 物品加工契約書

A物品単価500円、数量10,000個(第2号文書)500万円

 

「計算することができる場合」は「その計算により算出した金額」とあるので、この場合は計算結果である500万円が「記載金額」だと判断できます。

 

 

このように記載金額の判断で迷った際には通達などで必ず確認するようにします。

 

 

この契約書は第何号文書なのか?

 

 

自分の作成した契約書が何号文書に該当するのか、これを判断することを文書の「所属の決定」といいます。先ほどの「印紙税額一覧表から選ぶ」という説明で、基本的には終わりなのですが、それだけでは判断しきれないときがあります。それは「ひとつの契約書が複数の番号の文書にまたがって該当する」ことがあるためです。その場合の所属の決定方法についても知っておかなくてはなりません。

 

たとえば「不動産売買契約」と「建築請負契約」の内容が1通の契約書の内容になっていたとします。印紙税額一覧表によれば、不動産の譲渡は第1号文書であり、請負に関する契約書は第2号文書にあたります。つまりひとつの契約書なのに1号にも2号にもあてはまってしまう。このように、1通の契約書が複数の号に該当する場合があるのです。

 

1号文書にも2号文書にも該当する契約書はどうするのか?

 

この場合も、印紙税法基本通達と通則にしたがって決めることになります。

印紙税法基本通達|国税庁

 

印紙税法基本通達第11条をみると「一の文書が、課税物件表の2以上の号に掲げる文書に該当する場合の当該文書の所属の決定は、通則3の規定により、次の区分に応じ、それぞれ次に掲げるところによる。」とあります。

  

(1) 課税物件表の第1号に掲げる文書と同表第3号から第17号までに掲げる文書とに該当する文書(ただし、(3)又は(4)に該当する文書を除く。) 第1号文書
(例) 不動産及び債権売買契約書(第1号文書と第15号文書) 第1号文書
(2) 課税物件表の第2号に掲げる文書と同表第3号から第17号までに掲げる文書とに該当する文書(ただし、(3)又は(4)に該当する文書を除く。) 第2号文書
(例) 工事請負及びその工事の手付金の受取事実を記載した契約書(第2号文書と第17号文書) 第2号文書
(3) 課税物件表の第1号又は第2号に掲げる文書で契約金額の記載のないものと同表第7号に掲げる文書とに該当する文書 第7号文書
(例)
1 継続する物品運送についての基本的な事項を定めた記載金額のない契約書(第1号文書と第7号文書) 第7号文書
2 継続する請負についての基本的な事項を定めた記載金額のない契約書(第2号文書と第7号文書) 第7号文書
(4) 課税物件表の第1号又は第2号に掲げる文書と同表第17号に掲げる文書とに該当する文書のうち、売上代金に係る受取金額(100万円を超えるものに限る。)の記載があるものでその金額が同表第1号若しくは第2号に掲げる文書に係る契約金額(当該金額が2以上ある場合には、その合計額)を超えるもの又は同表第1号若しくは第2号に掲げる文書に係る契約金額の記載のないもの 第17号の1文書
(例)
1 売掛金800万円のうち600万円を領収し、残額200万円を消費貸借の目的とすると記載された文書(第1号文書と第17号の1文書) 第17号の1文書
2 工事請負単価を定めるとともに180万円の手付金の受取事実を記載した文書(第2号文書と第17号の1文書) 第17号の1文書
(5) 課税物件表の第1号に掲げる文書と同表第2号に掲げる文書とに該当する文書(ただし、(6)に該当する文書を除く。) 第1号文書
(例)
1 機械製作及びその機械の運送契約書(第1号文書と第2号文書) 第1号文書
2 請負及びその代金の消費貸借契約書(第1号文書と第2号文書) 第1号文書
(6) 課税物件表の第1号に掲げる文書と同表第2号に掲げる文書とに該当する文書で、それぞれの課税事項ごとの契約金額を区分することができ、かつ、同表第2号に掲げる文書についての契約金額が第1号に掲げる文書についての契約金額を超えるもの  第2号文書
(例)
1 機械の製作費20万円及びその機械の運送料10万円と記載された契約書(第1号文書と第2号文書) 第2号文書
2 請負代金100万円、うち80万円を消費貸借の目的とすると記載された契約書(第1号文書と第2号文書) 第2号文書
(7) 課税物件表の第3号から第17号までの2以上の号に該当する文書(ただし、(8)に該当する文書を除く。) 最も号数の少ない号の文書
(例) 継続する債権売買についての基本的な事項を定めた契約書(第7号文書と第15号文書) 第7号文書 
(8) 課税物件表の第3号から第16号までに掲げる文書と同表第17号に掲げる文書とに該当する文書のうち、売上代金に係る受取金額(100万円を超えるものに限る。)が記載されているもの 第17号の1文書
(例) 債権の売買代金200万円の受取事実を記載した債権売買契約書(第15号文書と第17号の1文書) 第17号の1文書
(9) 証書と通帳等とに該当する文書(ただし、(10)、(11)又は(12)に該当する文書を除く。) 通帳等
(例)
1 生命保険証券兼保険料受取通帳(第10号文書と第18号文書) 第18号文書
2 債権売買契約書とその代金の受取通帳(第15号文書と第19号文書) 第19号文書
(10) 契約金額が10万円を超える課税物件表の第1号に掲げる文書と同表第19号又は第20号に掲げる文書とに該当する文書 第1号文書
(例)
1 契約金額が100万円の不動産売買契約書とその代金の受取通帳(第1号文書と第19号文書) 第1号文書
2 契約金額が50万円の消費貸借契約書とその消費貸借に係る金銭の返還金及び利息の受取通帳(第1号文書と第19号文書) 第1号文書
(11) 契約金額が 100万円を超える課税物件表の第2号に掲げる文書と同表第19号又は第 20号に掲げる文書とに該当する文書 第2号文書
(例) 契約金額が150万円の請負契約書とその代金の受取通帳(第2号文書と第19号文書) 第2号文書
(12) 売上代金の受取金額が 100万円を超える課税物件表の第17号に掲げる文書と同表第19号又は第20号に掲げる文書とに該当する文書 第17号の1文書
(例) 下請前払金200万円の受取事実を記載した請負通帳(第17号の1文書と第19号文書) 第17号の1文書
2 課税物件表の第18号に掲げる文書と同表第19号に掲げる文書とに該当する文書は、第19号文書として取り扱う。(昭59間消3-24追加、平元間消3-15改正)

 


まず、1号にも2号にも該当する契約書をどう判断すればよいのか、通達の記載をみてみると、

 

(5)課税物件表の第1号に掲げる文書と同表第2号に掲げる文書とに該当する文書(ただし、(6)に該当する文書を除く。) 第1号文書 

 

 と書いてありますよね。

 

つまり、原則として第1号文書にも第2号文書にも該当する場合は、第1号文書に所属するという意味です。ただし、カッコ書きで(ただし、(6)に該当する文書を除く。)」とも書いてあります。そこで(6)の記載も確認しますと、例外的に2号文書に該当することとなる場合もあることがわかります。

 

(6) 課税物件表の第1号に掲げる文書と同表第2号に掲げる文書とに該当する文書で、それぞれの課税事項ごとの契約金額を区分することができ、かつ、同表第2号に掲げる文書についての契約金額が第1号に掲げる文書についての契約金額を超えるもの  第2号文書

 

つまり第1号文書にも第2号文書にも該当するが、その契約書のなかで契約類型ごとに契約金額を分けて書いてあるなどして、第1号文書の分と第2号文書の分との契約金額を区別できる場合で、なおかつ、第2号文書のほうの金額の方が大きい場合には、例外的に第2号文書として扱うことになっているわけですね。

 

このように印紙の決定に関する細かいルールは膨大です。でもありがたいことに、一般的に会社で使われる契約書で課税文書になりそうな種類というのは、それほど多くはありません。たいていは以下のいずれかにあてはまります。

 

第1号の1文書(不動産等又は営業の譲渡に関する契約書)
第1号の2文書(土地の賃貸権の設定等に関する契約書)
第1号の3文書(消費貸借に関する契約書)
第1号の4文書(運送に関する契約書)
第2号文書(請負に関する契約書)
第7号文書(継続的取引の基本となる契約書)

 

つまりコツとして、1号か2号か7号を中心に見ていけば多くの場合あてはまってくれるはずです。ヤマをはって、一覧表、通則、通達などの資料を飛び回るように読んでいけば、たいていの契約書の印紙は判断できてしまいます。

 


第7号文書(継続的取引の基本となる契約書)とはなにか?

 

では所属の決定において迷うことが多く、登場回数も多い、第7号文書「継続的取引の基本となる契約書」について補足説明します。

 

詳しい説明の前に、よく使われる「基本契約」という用語について念のため説明しておきますが、例えば特定の取引先との間に、物品を毎月製造委託するとか、毎週品物を発注するとか、あるいはなにかしらメンテナンス作業を定期的に依頼しているような取引がある場合に、毎回その都度契約書を取り交わすことが煩雑なので、基本的事項についてまず契約書(基本契約書)をとりかわし、都度の発注等については、その基本契約書に定める方法(たいていは発注書や請書などによる)ですませましょう、というやり方をすることがあります。この場合の発注書や請書のことを(基本契約に対応する)個別契約と呼んで区別します。

 

さて印紙税法にいう「継続的取引の基本となる契約書(第7号文書)」を、「継続的取引」という名前の印象から単に「長く続く契約がこれにあてはまるのだろう」のように考える方がいらっしゃいますが、その理解だと間違う可能性があります。

 

そこで、さらに7号文書の要件を詳しくみていきます。

 

印紙税法施行令26条では、印紙税の課税対象となる「継続的な取引」限定しています。

 

印紙税法施行令第26条第1号は、第7号文書を

 

特約店契約書その他名称のいかんを問わず、営業者(課税物件表第17号文書の非課税物件の欄に規定する営業を行う者をいう。)の間において、売買、売買の委託、運送、運送取扱い又は請負に関する2以上の取引を継続して行うため作成される契約書で、当該2以上の取引に共通して適用される取引条件のうち目的物の種類、取扱数量、単価、対価の支払方法、債務不履行の場合の損害賠償の方法又は再販売価格を定めるもの(電気又はガスの供給に関するものを除く。)

 

 と規定しています。

 

ということは、第7号文書になるのは、契約期間の定めがないか、契約期間が3か月を超えるか、あるいは更新の定めがあるものであって、かつ、以下の5要件すべてを満たすものということになります。

 

第7号文書の課税要件

(1) 営業者の間における契約であること

(2) 売買、売買の委託、運送、運送取扱い又は請負のいずれかの取引に関する契約であること

(3) 2以上の取引を継続して行うための契約であること

(4) 2以上の取引に共通して適用される取引条件のうち目的物の種類、取扱数量、単価、対価の支払方法、債務不履行の場合の損害賠償の方法又は再販売価格のうちの1以上の事項を定める契約であること

(5) 電気又はガスの供給に関する契約でないこと

 

総合すると、7号文書にはたいていの「取引基本契約書」は該当しますし、加盟店契約や、代理店契約のような継続的な売買や売買の委託をする契約、さらには運送の継続的契約、何らかの保守契約などでも、契約の目的となる取引を継続して2回以上行うための契約ならばあてはまることが多いです。

 

注意点としては施行令により営業者間の契約である必要があるので、当事者の一方が会社員や、国や地方公共団体などの商人ではない者ですと、この要件を満たさないので7号文書に該当しないことになります。とにかく、上記施行令第26条の課税要件を、ひとつひとつチェックすることで、第7号文書の課非判断ができます。

 

7号文書かどうかは、以下の質問をチェックリストとしてつかってみてください。

-----------------------

①営業者間の取引ですか?

②売買、売買の委託、運送、運送取扱い又は請負の契約ですか?

③2回以上取引しますか?

④目的物の種類、取扱数量、単価、対価の支払方法、債務不履行の場合の損害賠償の方法又は再販売価格のうちの1以上の記載がありますか?

⑤契約期間の定めがないか、契約期間が3か月を超えるか、あるいは更新の定めがある契約ですか?

----------------------

 

第7号文書だった場合、印紙税の金額は1通につき4,000円です。ちょっと高くて、よくびっくりされます。(しかも個別契約書を作成した場合にはまた別途印紙を貼る必要があります。)

 

継続的な取引契約が請負契約だったら所属はどうなるのか?

 

継続的な取引契約は、第7号文書に該当することが多いということがわかりましたが、たとえばなんらかの工事を定期的に引き受ける場合、工事の請負契約(第2号文書)でもあり継続的な取引契約(第7号文書)でもあるということになります。このような場合の所属はどのようにしたらよいでしょうか。

 

この場合、再び通則を見ます。「通則3イ」に、

 

課税物件表の適用に関する通則3
 一の文書が2の規定によりこの表の各号のうち二以上の号に掲げる文書に該当することとなる場合には、次に定めるところによりその所属を決定する。
イ 第一号又は第二号に掲げる文書と第三号から第十七号までに掲げる文書とに該当する文書は、第一号又は第二号に掲げる文書とする。ただし、第一号又は第二号に掲げる文書で契約金額の記載のないものと第七号に掲げる文書とに該当する文書は、同号に掲げる文書とし、第一号又は第二号に掲げる文書と第十七号に掲げる文書とに該当する文書のうち、当該文書に売上代金(同号の定義の欄1に規定する売上代金をいう。以下この通則において同じ。)に係る受取金額(百万円を超えるものに限る。)の記載があるもので、当該受取金額が当該文書に記載された契約金額(当該金額が二以上ある場合には、その合計額)を超えるもの又は契約金額の記載のないものは、同号に掲げる文書とする。

 

と書いてあります。分かりやすく書くと、ひとつの契約書に第1号(譲渡等)か、第2号(請負)の文書の記載と、7号文書(継続的取引の基本となる契約書)の記載がある場合のその文書の所属は、契約金額の記載の有無で決めます。つまり、

 

契約金額の記載がある ⇒ 第1号または第2号文書

契約金額の記載がない ⇒ 第7号文書

 

ということです。

 

契約金額の記載があることによって「第1号文書」や「第2号文書」に該当することとなった場合は、それぞれ第1号文書、第2号文書の「課税標準及び税率の欄」に書いてある金額の印紙を貼ることになります。

 

電子契約だと収入印紙が不要になる理由

 

以上のように、印紙を貼るのかどうかと、印紙の金額がいくらになるのかは、意外と細かいルールで決まっています。しかも、基本契約に4,000円、個別契約に200円・・・という具合に、積み重なるとやがて大きな費用になっていくものです。

 

ところで最近は電子契約といって、契約書を紙にプリントアウトするのではなく、当事者同士が電子的に送信しあうかたちの契約締結が増えてきており、クラウドサイン」などのプラットフォームもますます充実してきています。電子契約のしくみは製本や郵送の手間(コスト)がかからないことや、ハンコがいらないことなど、メリットがたくさんありますが、収入印紙も不要になる点も大きな利点ではないでしょうか。

 

なぜ、電子契約だと収入印紙が要らないのか?

 

なぜ印紙がいらないのかは、何度かふれてきた印紙税法基本通達の規定などから総合的に判断されています。つまり「課税文書」の作成とは「用紙等に課税事項を記載し印紙税法基本通達44条)」これを当該文書の目的に従って行使することをいうとされているため、紙ではない「電子データ」の送信は課税文書の「作成」には該当しない、というロジックです。

 

そして、仮に電子契約で使われたデータをプリントアウトしたとしても、それは複製(コピー)だからやはり「課税文書」にはならない、と考えられます。(ただしプリントアウトした文書に、あらためてハンコを押すなどして締結に利用した場合は別です。)

  

まとめ

 

上記の手順で判断すれば、適切な印紙を契約書に貼ることができます。

 

電子契約の普及により、もしかすると契約書の印紙の判断という作業は、やがて不要になるかもしれません。とはいえ「お客さんが紙をほしがるから」とか「会社のマネジメント層が懐疑的で、まだ電子契約に踏み切らないから」といった理由でいましばらくは紙の契約書が併存しているというのもまた現実ではないでしょうか。

 

そうしたなかでも現場において適切な印紙を判断できることによって、無駄なく、効率よく、適切な契約実務ができるようにしたいものですね。

 


蛇足①契約金額を変更する契約書にも印紙税がかかるか?

 

請負契約書には原則として印紙を貼りますが、契約金額によって税額は異なります。ではたとえば請負契約がもともと締結されていたとして、あとから何かの事情で代金を増額することとなり、そのことについて「変更契約書」を締結したとします。その「変更契約書」の記載金額はいくらになるのでしょうか?

 

迷うのは、変更による差額の金額が記載金額となるのか、変更後の金額がそのまま記載金額となるのかです。これについては印紙税法基本通達第30条に規定があります。

 

結論からいうと変更金額のあらわし方によって取扱いが異なります。

 

原則としては変更後の金額がいくらと書いてあった場合は、その変更後の金額がそのまま記載金額となります。たとえば「もともと100万円だったのを10万円増額します。」と書いてあれば、記載金額は110万円として扱うという意味です。

 

あるいは(実際にこういうケースは少ないと思いますが)、仮に「増えた金額だけ」を書いた契約書があったとしたら、つまり「もともとの金額に10万円足します」のように書いてあった場合は、記載金額は10万円となります。

 

 ただし「通則4の二」により、契約金額が増加するものは、増加する金額が記載金額となり、金額が減少するものは記載金額のないものとして扱ってよい場合があります。それは「当該文書に係る契約についての変更前の契約金額等の記載のある文書が作成されていることが明らか(通則4のニ)」な場合です。

 

つまり変更前の原契約があって、変更契約書の方にも変更前の契約書の「名称、文書番号又は契約年月日等変更前契約書を特定できる事項の記載がある」か、あるいは「変更前契約書と変更契約書が一体として保管されている」ことが必要です。

 

通則4のニ

当該文書に係る契約についての変更前の契約金額等の記載のある文書が作成されていることが明らかであり、かつ、変更の事実を証すべき文書により変更金額が記載されている場合には、当該変更金額が変更前の契約金額等を増加させるものであるときは、当該変更金額を当該文書の記載金額とし、当該変更金額が変更前の契約金額等を減少させるものであるときは、当該文書の記載金額はないものとする。

  

蛇足②海外との取引の契約書にも印紙は貼るのか?

 

外国で「作成」された文書には、印紙税は課税されません。日本の法律が外国で適用されないためです。つまり課税文書に該当しうるかどうかを「作成」場所で判断します。

 

印紙税法の課税文書の「作成」とは、単なる課税文書の調製行為をいうのではなく、課税文書となるべき用紙等に課税事項を記載し、これをその文書の目的に従って行使することをいうとされています。わかりやすくいえば、署名押印する瞬間が作成にあたるわけで、署名押印をするのが海外であれば、それがたとえ日本で書いて、プリントアウトして、こちらの署名欄だけ記名押印してから、現地へ郵送したものであっても、最終的に海外にてサインされたとすれば「作成場所」はその海外の地となり、結果として印紙は不要となります。

 

蛇足③誰が契約書に印紙を貼るべきか?

 

印紙税の納税義務者、つまり「印紙を貼る義務がある人」は誰なのかというと、それは「契約書の作成者」です。またしても繰り返しになりますがここでいう「作成」とは、パソコンのキーボードをたたいて契約書を書いたりプリントしたりという作業のことではなくて、契約書に「当事者双方が署名押印した」瞬間のことを指しています。

 

ということは契約書の場合「共同して作成する課税文書」にあたり、当事者の双方に印紙貼付けの義務が生じます。ようは印紙代はお互いに負担し合うのが正解ということになります。

 

ついでにいうと契約書に印紙を貼ったら、必ず「消印(けしいん)」をしましょう。消印は契約書の署名欄に押しているハンコと同じでなくても良いとされているので、シャチハタでもいいですし、手書きで消印したとしてもOKです。消印を忘れると過怠税の対象になってしまいますから忘れないようにしましょう。

  

 

 

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