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トラブルを防ぐ業務委託契約書のつくりかた アウトソーシングする際の契約書はどうやってつくるのか?

オフィシャルサイトでは参考にしていただきたいビジネス契約書のサンプル集を無料でダウンロードできます。

 

 行政書士の竹永大です。契約書のつくりかたを具体的に説明します。

 

トラブルを防ぐ業務委託取引基本契約書のつくりかた

 

役務(サービス)を提供する場合も業務委託契約書はつかわれますが、モノとサービスとで少しだけ注意点が異なります。そこで今回は「モノ」を扱う委託取引を想定して、その条項のパターンと契約書起案のポイントをまとめます。

 

良い契約書にするための検討事項(なにを検討すればよいのか?)がわかり、トラブルを防ぐ契約書のつくりかたがわかります。

 

 

業務委託契約書の前文の書き方とポイント

 

前文とは、誰と誰が契約するのかを書くところです。つまり当事者を表示するために、契約書のタイトルの下に書かれます。

 

一般的に法人間の業務委託契約書は法人自体が当事者になります。法人名を省略せずに書く、ということくらいで、文言としては特にこだわって書くところは多くありません。ただし、当事者の適格性や信用力の問題、つまりほんとうにこの当事者と取引してよいかという観点はどのような契約を締結する場合でも忘れてはいけないポイントです。

 

またできれば、契約の範囲を付け加えます。契約の範囲とは、その契約書がカバーする取引の範囲のことで、同じ当事者間で複数の取引が想定されるような場合に、誤解のうまれないように「〇〇の取引に関して契約します」という意味のことを追記して限定しておくものです。

 

もし別途「目的条項」をおいて、そちらで「取引の範囲」が明確になる場合には、あえて前文に入れなくてもかまいません。

 

前文の例は、以下のとおりです。

 

〇〇株式会社(以下「委託者」という。)と〇〇株式会社(以下「受託者」という。)とは、本日以下の通り、業務委託契約(以下「本契約」という。)を締結した。

 

 

業務委託契約書の目的条項の書き方とポイント

 

目的条項は契約の概要を簡潔に示すために書かれます。その契約が何を定め、どの範囲に適用されるのか、大まかに言ってどのような契約なのかがここで判断できるようにします。

 

こちらも従来は定形的で、ひな形どおりで問題ない条文ですが、民法改正を機に「今後は目的条項を詳しく書くべき」といわれはじめています。なぜなら民法が当事者の契約をより重視する姿勢に変わっており、目的条項をより具体的にあらわすことで、間接的に損害賠償や解除などの局面に至った場合の成否の判断基準としてのウエイトを高めるといわれているからです。そのため目的条項には契約に至った顛末や、当事者の意図なども付記することをおすすめします。

 

 基本契約、個別契約方式

また「物」の製作に関する取引ですと、部品の受注生産のように、仕様や数量をその都度指定しながら、くりかえし継続的な発注が想定されます。

 

その場合は基本的なルールを定めた「基本契約」を締結したうえで、具体的な都度の注文については「個別契約」(たいていは分量の少ない発注書など)を書式を取り交わすことで決定する、というしくみがよく採用されます。この、基本契約-個別契約方式をとる場合には、その基本契約書の目的条項で、そうした契約書の基本的な性格を表示することが重要です。

 

単発の契約    ⇒ 契約書のみ

反復継続的な契約 ⇒ 取引基本契約書 + 個別契約  

 

基本契約と個別契約はどちらが優先するのか?

また、個別契約は基本契約よりも後から作成、締結されるため、基本契約書とは異なる内容の規定になることがあり、そうした例外的な場合にどちらが優先して適用されるのかも、あらかじめ目的条項で決めておく必要があります。法的にどちらを優先すべきといった決まりはないので、「個別契約の記載を優先する」、としても、「基本契約の記載を優先する」、としてもどちらでも間違いではありません。あくまでも事情にあわせて選択すべき問題です。

 

その考え方ですが、個別契約は基本契約よりも後から締結されますから、仮に例外的な条件が生じるとすれば個別契約締結のタイミングになります。それを考えると、個別契約を優先させた方が便利なように思えます。ただ一方で、個別契約の締結が頻繁になってくると、本社での認識や把握が追い付かず、個別契約の条件が独り歩きするおそれも出てきます。その場合は基本契約を優先させておくのが安心という面もあります。

 

個別契約が優先する⇒ 臨機応変に個別契約で例外対応

基本契約が優先する⇒ 個別契約の独り歩き防ぐ・把握しやすい

  

 

業務委託契約書の個別契約条項の書き方とポイント

 

個別契約の内容について具体的に定めるのが、個別契約条項です。(基本契約特有の条項になりますので、スポットの業務委託契約にはこういう条項はありません。)

 

個別契約条項は、個別契約で定める内容を明確にすることで、基本契約と個別契約の役割分担をはっきりさせること、個別契約で定める内容を忘れないようにすること、そして基本契約との関連づけが確実にできるという意味があります。

 

内容としては、個別契約で定める事項を列記したうえで、個別契約の成立する条件を書きます。

 

個別契約はいつ成立するのか? 

個別契約が「成立する条件」も重要な記載事項です。いつ、どのようなときに個別契約が成立するのかを決定します。個別契約とはいっても実際につかわれる書面のタイトルは「注文書」「発注書」などと任意に定めることができます。そして成立の条件は、それら注文書等が委託者から交付された場合、受託者が注文請書を交付したときに個別契約が成立すると規定するものが多いです。

 

民法上、契約は申込みと承諾の対応関係にあるため、この段取りをはっきりさせておかないと、注文書を発行しただけで個別契約が成立するのか、しないのか、あるいは注文書を発行したけれども受託者から返事がなかった場合には個別契約は成立するのかしないのかの判断がしづらくなるからです。

 

成立時期が不明確になるのを防ぐために「発注から〇日以内に受託者から異議の申し出がない場合は発注通りに個別契約が成立したものとみなす」のような規定をすることで取引の迅速化をねらうことがあります。

 

受託者からの返事がないときはどう考えるべきか?

委託者から申し込みをしたのに、受託者から返事がないときは、契約は成立するのでしょうか? 契約成立については参考までに商法506条の規定を引用しておきます。

 

(契約の申込みを受けた者の諾否通知義務)

商法第509条
  1. 商人が平常取引をする者からその営業の部類に属する契約の申込みを受けたときは、遅滞なく、契約の申込みに対する諾否の通知を発しなければならない。
  2. 商人が前項の通知を発することを怠ったときは、その商人は、同項の契約の申込みを承諾したものとみなす。

 

個別契約の注意点は?

また、基本契約-個別契約方式をとる場合に、なんでもかんでも個別契約にて定めるとしてしまうことがあります。具体的なことは個別契約でその都度定めればよいなどと考えて、本来事前に検討すべきことを後回しにしてしまいがちなのです。そうなると個別契約を締結する段階になってはじめて当事者間の認識の違いが露呈したりして、スムーズな取引が期待できなくなります。原則として委託する製品のクオリティに関わる事項(製品仕様や検査基準等)については、基本契約のほうで規定しておくべきだと考えます。

 

個別契約と下請法3条書面

個別契約で何を定めるかの問題には、下請法の求める書面記載事項を踏まえて検討すべきでしょう。なぜなら下請法は親事業者が下請事業者にたいして発注する際に書面の交付を義務付けているし(書面の交付義務・下請法第3条)、その必要的記載事項も定めているからです。

 

下請法に抵触するリスクを予防しながら、契約書本来の機能であるトラブル防止にも役立てることができます。

 

そこでまず、下請法の3条書面で記載が必要とされている12の事項を確認しておきます。

 

【3条書面に記載すべき具体的事項】
(1) 親事業者及び下請事業者の名称(番号,記号等による記載も可)
(2) 製造委託,修理委託,情報成果物作成委託又は役務提供委託をした日
(3) 下請事業者の給付の内容(委託の内容が分かるよう,明確に記載する。)
(4) 下請事業者の給付を受領する期日(役務提供委託の場合は,役務が提供される期日又は期間)
(5) 下請事業者の給付を受領する場所
(6) 下請事業者の給付の内容について検査をする場合は,検査を完了する期日
(7) 下請代金の額(具体的な金額を記載する必要があるが,算定方法による記載も可)
(8) 下請代金の支払期日
(9) 手形を交付する場合は,手形の金額(支払比率でも可)及び手形の満期
(10) 一括決済方式で支払う場合は,金融機関名,貸付け又は支払可能額,親事業者が下請代金債権相当額又は下請代金債務相当額を金融機関へ支払う期日
(11) 電子記録債権で支払う場合は,電子記録債権の額及び電子記録債権の満期日
(12) 原材料等を有償支給する場合は,品名,数量,対価,引渡しの期日,決済期日,決済方法

 

さらに、公正取引委員会のホームページなどでは3条書面の参考例(サンプル)も公開されていますので、こちらも確認しましょう。

 

3条書面のサンプル

 

そのうえで、実際の取引を検討して必要な事項を抜き出し、個別契約の決定事項として規定すればよいことになります。個別契約条項の例は、以下のようになります。

 

個別契約には、以下の各号に定める事項を規定する。

(1)本業務の内容、本製品の名称、発注番号、規格等の詳細
(2)本業務の遂行期間
(3)本製品に関する以下の事項

 本製品の名称、内容、数量、仕様、本製品の納入期日、納入場所
(4)本製品の検査基準
(5)本製品の検査期間
(6)代金及び支払条件
(7)貸与品がある場合はその詳細、技術指導がある場合はその詳細と費用分担に関する事項
(8)その他本業務の遂行に必要な事項

2 個別契約は、委託者及び受託者が、前項の内容を明記した個別契約書、発注書、注文書、覚書等その名称のいかんにかかわらずこれらを書面により締結したときに成立するものとする。

 

 

業務委託契約書の代金支払条項の書き方とポイント

 

代金の支払については個別契約に譲ることが多いですが、そもそも「末日翌末払い」のような明確なルールがすでにある場合には、基本契約で明確にすることが合理的だとも考えられます。

 

支払の期日や、金融機関の口座などはそれほど変化するものでもないし、振込手数料の負担や、支払が遅延した場合に課される損害金の額なども、やはり基本契約で定めてしまってさしつかえないものと思います。もしも例外があったならば、そのときだけ個別契約で定めればよいからです。

 

 支払条項の例は、以下のようになります。

受託者は、検査に合格したときは、委託者の定める手続きに従って契約代金の支払いを請求することができる。ただし、入札、見積り条件の際支払い方法について特に定めのある場合又は委託者が仕様書等により契約代金の請求日を別に定める場合は、それによるものとする。

2 受託者は、委託業務完了前にも、検査に合格した既済部分につき、内訳書等により委託者の認定した契約代金の支払いを委託者に請求することができる。

3 委託者は、前項の請求を受けたときは、その日から起算して30日以内に原則として口座振替により支払うものとする。

4 委託者は、第3項の期間内に代金を支払わないときは、遅延日数に対し年14.6%の割合による損害金を受託者に対し支払うものとする。

 

注意点として、下請法の規定により、親事業者、下請事業者間の下請取引にあたる場合は、研修官僚の有無にかかわらず、納品から60日以内に代金を支払わなければならないため(下請法第2条の2)、これに抵触する意味の規定とならないようにすべきです。あまり長い支払期日を定めないように注意しましょう。

 

 

業務委託契約書の再委託条項の書き方とポイント

 

再委託とは、受託者とは別の第三者に仕事が委託されることをいいます。受託した業務を第三者が実施したとしても、きちんと委託された業務が完成されればいいのであって、法令上は特に問題になりませんが、一方で再委託は歓迎されない面もあります。

 

再委託のメリットとデメリットは? 

委託者としては見知らぬ第三者に業務が委託されてしまうと、期待したクオリティを守ってもらえるのかどうかや、秘密保持の観点で不安が生じるなどの不都合があるからです。

 

では再委託にはデメリットしかないのかというと、そうではありません。より専門的な業者に効率よく業務を振り分けることによって、かえってトータルのコストが下げられたり、納期が短くできたり、専門性により高度なクオリティが出せたりといったメリットもあります。特に秘密情報への配慮や技術流出の不安がない業務に関しては、むしろ再委託をフル活用してもらえた方が安く良いものが早くできる可能性すらあるわけです。

 

そのようなわけで、一般的な業務委託契約書では再委託は「原則禁止だが、あらかじめ委託者の承諾を得たうえ、受託者の監督や責任のもとでのみ可能になる」という意味の規定がよく使われます。

 

考えられる再委託のパターンとしては以下があります。

 

再委託禁止 ⇒ ただし事前の承諾得れば可能

再委託禁止 ⇒ ただし軽微な部分であれば可能

再委託禁止 ⇒ ただし事前に委託者が具体的に許可した範囲は可能

再委託可能 ⇒ ただし委託者の求めに応じて通知すること

 

再委託のリスクを予防するには?

再委託条項の注意点としては、承諾の流れのほかに、再委託先への支払はあくまでも受託者が行うべきであることを確認することと、秘密管理に関してきちんと受託者に引き受けてもらう規定をおくということです。再委託を許可したからといって、追加の外注費がかかることになってしまうと、委託者としては予期しないコストを負担するかもしれないリスクを負いますし、また、事前に承諾したといえども特に秘密管理の問題に関しては、直接やりとりをしている受託者と再委託先との間で、責任を負ってもらわなければ委託者としては困るからです。

 

再委託条項の例文は、以下のとおりです。

 

受託者は、受託者の責任において、本件業務の一部を三者に再委託することができる。但し、受託者は、委託者から請求があった場合には、再委託先の名称及び住所等、再委託先を特定しうるだけの情報を委託者に通知しなければならない。当該第三者に再委託することが不適切となる合理的な理由が存する場合、委託者は、その理由を書面により受託者に通知することにより、当該第三者に対する再委託の中止を請求することができる。
2 受託者は、再委託先との間で、再委託に係る業務を行わせる場合、本契約に基づいて受託者が委託者に対して負担するのと同様の義務を、再委託先に負わせる契約を締結するものとする。
3 受託者は、再委託先の履行について委託者に帰責事由がある場合を除き、自ら業務を遂行した場合と同様の責任を負うものとする。
4 委託者は、受託者が本件業務の全部または一部を再委託先に再委託する場合でも、委託者が本件業務の全部を履行したものとみなし、再委託先に対して本件業務の履行に対する対価の支払義務を一切負わないものとする。

   

業務委託契約書の担保責任条項の書き方とポイント

 

担保責任条項は、委託した製品に欠陥があった場合の救済手段について定めるための条項です。いってみれば保証書のようなものですね。瑕疵(かし)とは法律用語であって、その目的物が契約内容に照らして備えるべき品質や性能を有していないことをいいます。欠陥とか不良品をイメージすればわかりやすいと思います。

 

法律上の「瑕疵担保責任」については知っておきたいいくつかのポイントがあります。

 

瑕疵担保責任とは? 

まず民法上、請負人にも瑕疵担保責任が規定されています。これが何の意味をもつかというと、まず注文者は原則として請負人に対して相当の期間を定めてその瑕疵の修補を請求することができる民法634条)とされています。つまり注文した物に欠陥があれば、直せといえるという意味です。(ただし、瑕疵が重要でない場合において、修補に過分の費用を要するときは例外的に修補を請求することが制限される仕組みになっています。)

 

次に、修補以外にも、「瑕疵の修補に代えて、又はその修補とともに」損害賠償請求ができ、さらに仕事の目的物に瑕疵があるために契約目的を達成できない場合には解除民法635条)が可能です(ただし建物その他の土地の工作物については例外)。つまいrこうした救済手段のルールが、瑕疵担保責任の内容なのです。

 

ではこうした救済手段はいつでも請求できるのでしょうか? 瑕疵担保責任には、期間制限もあります。つまりいつまでも助けてもらえるわけではなくて、締め切りがあるわけです。いつまでかというと、原則として仕事の目的物を引き渡した時(引き渡しを要しない場合は仕事が終了した時)から1年以内にしなければなりません(民法637条)。

 

請負の瑕疵担保責任は、

瑕疵あり ⇒ ①修補請求可能

     ⇒修補に代えて、又は修補とともに②損害賠償請求可能

     ⇒契約目的を達せられない場合は③解除可能

期間制限 ⇒ 引渡しの時、終了した時から1年以内 

 

期間制限についても条文を引用します。

(請負人の担保責任の存続期間)
民法第637条
前三条の規定による瑕疵の修補又は損害賠償の請求及び契約の解除は、仕事の目的物を引き渡した時から一年以内にしなければならない。

 

引き渡した時から一年

期間の起算点は、引渡しの時が基準になっていますが、売買における瑕疵担保責任の期間制限(現行民法570条・566条3項)では「買主が事実を知った時から一年以内にしなければならない」と定められています。

 

さて問題は、業務委託契約書における、瑕疵担保条項の注意点です。ここは委託者の救済(権利)であると同時に、受託者の責任(義務)でもあるので、自社の立場によって考慮したいポイントが変わります。

 

受託者に有利な瑕疵担保責任の定め方は?

たとえば受託者の立場でこの条項を考えれば、できれば瑕疵担保責任を免除する、相手が権利を行使できる期間を短くする、救済手段を制限する、損害の範囲や金額を限定的にする、という方法でリスクを抑えるべきです。

 

受託者の立場からみた、好ましい瑕疵担保条項の4つの方向性

①できれば責任を免除する

②権利を行使できる期間は短くする

③救済手段(修補等)を制限する

④損害賠償の範囲や金額を限定的にする

 

まず①の責任の免除ですが、実際には瑕疵担保責任を「全く負わない」と規定することは大胆すぎる印象があり、さすがに合意を得られないと思います。そこで、受託者に過失がある場合に限って瑕疵担保責任を負うというように、責任を限定する規定がよく用いられます。

 

②の期間を短くする方法ですが、そもそも権利行使の期間がどれくらいがいいのかは、民法が「引渡しから1年」としていたり、あるいは(売買の規定ではあるものの)商法526条2項が「6か月」としたりしているのを目安にしながら、具体的な製品の寿命なども考えて適宜設定します。受託者にとっては短く、明確に予測できる期間が望ましいといえます。

 

商法526条を引用します。

(買主による目的物の検査及び通知)

商法第526条
商人間の売買において、買主は、その売買の目的物を受領したときは、遅滞なく、その物を検査しなければならない。
2 前項に規定する場合において、買主は、同項の規定による検査により売買の目的物に瑕疵があること又はその数量に不足があることを発見したときは、直ちに売主に対してその旨の通知を発しなければ、その瑕疵又は数量の不足を理由として契約の解除又は代金減額若しくは損害賠償の請求をすることができない。売買の目的物に直ちに発見することのできない瑕疵がある場合において、買主が六箇月以内にその瑕疵を発見したときも、同様とする。
3 前項の規定は、売主がその瑕疵又は数量の不足につき悪意であった場合には、適用しない。

 

③の、救済手段の制限というのは、民法の救済手段が「修補請求」、「損害賠償請求」、「解除」であるところを、たとえば修理に限るとか、製品の交換(代品)に限って認めたりすることです。選択肢を限定するわけです。もちろん、作業コストの面などから交換が常に有利とは限らず、製品によってはむしろ交換は認めずに賠償で対応すべきこともあります。とにかくとられ得る対応の選択肢を狭めて予測可能性を高める条文上の工夫が必要という意味です。

 

④は、損害賠償の金額をあらかじめ一定範囲に制限する条項を置くことです。よくつかわれるのは業務委託料を上限にしてしまう手法です。

 

もう一度整理すると、

受託者の立場からみた、好ましい瑕疵担保条項とは

①できれば責任を免除する ⇒ 全部免責は難しいが、過失のある時に限るなど

②権利を行使できる期間は短くする ⇒ 明確にわかりかつ短期間が望ましい

③救済手段(修補等)を制限する ⇒ 修理対応のみとしたり交換のみ、あるいは交換不可や、解除を制限する、逆にそれらのみとするなど

④損害賠償の範囲や金額を限定的にする ⇒ 金額的条件を決める、範囲を通常損害に限定するなど

 

委託者に有利な瑕疵担保責任の定め方は?

逆に委託者の立場で考えるときは、上記のポイントを反転させればよく、①責任の制限をなくす、②権利を行使できる期間を1年より長くする、③救済手段をできるだけ選択可能にする、④賠償額の範囲や金額について制限的にしないか、より広く規定する、という方向で考えればより有利な条件に近づいていきます。

 

瑕疵担保条項の例文として以下の文案が考えられます。

 

受託者は、納入した本件製品に品質不良、変質、数量の不足その他の瑕疵があるときは、別に定める場合を除き、検品合格後〇年以内に委託者が受託者に通知した場合に限り、その補修、引換え、補足またはこれに代えて若しくは併せて委託者に生じた損害を賠償する責任を負うものとする。

 

民法改正による瑕疵担保条項への影響は?

 

瑕疵担保条項の基本的な考え方は上記のとおりなのですが、担保責任に関しては民法の改正によって規定が大幅に変更され、これによって契約書の担保条項も影響を受けると考えられます。

 

この改正では、まず民法636条の「瑕疵」という言葉が、「種類又は品質に関して契約の内容に適合しない」という言葉に変更されました。

 

 

瑕疵から契約不適合に変わった

民法「瑕疵」 

⇒ 民法「種類又は品質に関して契約の内容に適合しない」

 

そこで、新民法施行(2020年4月)以降は、これまでの契約書の条文に「瑕疵」とあったところが「種類又は品質に関して契約の内容に適合しない」という言葉に置きかえることになります。

 

改正によって生じる新たな検討のポイントがあります。

 

委託者の請求と異なる方法による追完とは?

まず、追完内容の選択の問題があります。つまり、改正民法においては、請負の受託者は、委託者に不相当な負担を課すものでないときは、委託者が請求した方法と異なる方法による履行の追完をすることができる(改正民法562条1項ただし書)とされているのです。

 

追完とはつまり不完全履行をした債務者があとから債務の本旨にかなった完全な給付をすること、ようするになんらかの埋め合わせをするということです。そして埋め合わせの方法は、通常は欠陥のある製品を受け取った委託者が選択するわけですが、これを一定の要件のもとで受託者が変更できる余地があることになります。

 

(買主の追完請求権)
民法第562条
1 引き渡された目的物が種類、品質又は数量に関して契約の内容に適合しないものであるときは、買主は、売主に対し、目的物の修補、代替物の引渡し又は不足分の引渡しによる履行の追完を請求することができる。ただし、売主は、買主に不相当な負担を課するものでないときは、買主が請求した方法と異なる方法による履行の追完をすることができる。
2 前項の不適合が買主の責めに帰すべき事由によるものであるときは、買主は、同項の規定による履行の追完の請求をすることができない。

 

そこでもし、こうした不確定要素を嫌がる場合、契約書で条文(改正民法562条1項ただし書)を排除しておく措置が考えられるでしょう。

 

催告はせずに代金減額請求できる?

次に、代金減額請求をしたい場合に、事前の追完の催告がポイントとなります。改正民法563条によると、代金減額請求は相当の期間を定めて履行の催告をして、その期間内に追完がないときに可能となります。委託者からみればわざわざ催告をして追完が無いことを確かめてからでないと、代金減額請求はできないという意味です。

 

(買主の代金減額請求権)
第563条
1 前条第一項本文に規定する場合において、買主が相当の期間を定めて履行の追完の催告をし、その期間内に履行の追完がないときは、買主は、その不適合の程度に応じて代金の減額を請求することができる。
2 前項の規定にかかわらず、次に掲げる場合には、買主は、同項の催告をすることなく、直ちに代金の減額を請求することができる。
一 履行の追完が不能であるとき。
二 売主が履行の追完を拒絶する意思を明確に表示したとき。
三 契約の性質又は当事者の意思表示により、特定の日時又は一定の期間内に履行をしなければ契約をした目的を達することができない場合において、売主が履行の追完をしないでその時期を経過したとき。
四 前三号に掲げる場合のほか、買主が前項の催告をしても履行の追完を受ける見込みがないことが明らかであるとき。
3 第一項の不適合が買主の責めに帰すべき事由によるものであるときは、買主は、前二項の規定による代金の減額の請求をすることができない。

 

委託者としては、催告などしないでいきなり代金減額請求をしたほうが都合がいい、ということもあり得るでしょう。そこで、契約書の方で、催告を待たずして代金減額請求を選択できるような規定を置くことも検討すべきです。

 

業務委託契約書の製造物責任条項の書き方とポイント

 

製造物責任法に基づいて、製品になんらかの欠陥があったことにより、誰かが怪我をするなどの損害を生じたら、受託者にはどのような責任があるのかを定めるために、製造物責任条項があります。

 

製造物責任法
(目的)
第一条 この法律は、製造物の欠陥により人の生命、身体又は財産に係る被害が生じた場合における製造業者等の損害賠償の責任について定めることにより、被害者の保護を図り、もって国民生活の安定向上と国民経済の健全な発展に寄与することを目的とする。

 

原則として、受託者は自ら製造した製造物について、法律上の製造物責任を負い、人の生命・身体・財産に損害が発生した場合に責任があることになります。ただ製造物責任法の趣旨は、受託者の委託者に対する責任ではなく、あくまでも製造物の欠陥によって「人」に与えた被害についての製造業者の責任を定めるものです。

 

つまり製造物責任法があるからといって放っておくと、委託者が負担させられるかもしれない様々な事故対応のコストは、どう補償されるか不明確になってしまいます。

 

そこで契約書によって当事者間でルールを設定します。

 

委託者は、万が一、製品の欠陥によってエンドユーザーに怪我を負わせてしまったりした場合に、受託者にたいしてできる限り責任を追及できるように、被害者との紛争解決にかかる費用や弁護士費用などを含めた損害が賠償されるような規定をおくべきでしょう。

 

受託者は、そうはいっても責任の範囲がやたらと拡大してしまうことのないようにしたいので、損害の範囲を限定する条項をいれます。よく手法としては「損害額の上限を定める」ことですが、損害の範囲を「欠陥に直接起因する損害のみに限定する」ことも検討に値します。たとえば次のような条文です。

 

受託者は、本製品の欠陥によって第三者の生命、身体又は財産に損害が生じ、かかる損害のうち、当該欠陥に直接起因しかつ現実に生じた損害についてのみ、賠償する責任を負う。

 

業務委託契約書の所有権の移転及び危険負担条項の書き方とポイント

 

請負契約は目的物を完成させる約束であり、受託者は完成した製品を委託者に引き渡す義務があります。そして引き渡されることで、受託者から委託者に所有権が移るといういい方もできます(ただし、委託者が材料の全部を提供した場合は製品の所有権は委託者に帰属します)。

 

所有権はいつ移転するのか?

所有権について、わざわざ契約書で定める理由は、完成した製品が委託者へ移転するプロセス中に、製品を物理的に引き渡した時、検収が終わった時、支払いが終わった時など、厳密には異なるタイミングが存在するために、そのいずれの時点で所有権が移転するのかを明確にさせる必要があるからです。委託者は早く所有権を自分に移転させたいと考え、逆に受託者はなるべく遅く自分から所有権を移転させたいというのが本音なので、具体的にどのタイミングで所有権が移転したことになるのかは重要な関心事です。

 

 委託者  ⇒ ? ⇒ ? ⇒ ? ⇒ 受託者

 

同様に、危険負担の移転時期も、委託者と受託者とで逆の思惑があります。危険負担とは、天災など、当事者のせいではない事由によって債務が履行できなくなった場合に、その反対債務(つまり典型的には代金を支払う義務)も消滅するかどうかという問題のことです。ようするに契約がダメになっても代金を支払わねばならない負担ですね。これを「危険を負担する」といういい方であらわしています。

 

製品がまだ受託者のもとにあるときは、危険は受託者が負担しています。製品が委託者のものになったときは、危険も委託者が負担します。では、製品が受託者から委託者に届けられる一連のプロセス(引き渡し、検査、支払いなどの流れのどこか) にある間は、どちらが危険を負担しているのでしょうか?

 

民法の債権者主義、債務者主義とは?

改正前民法の原則は債務者主義といって、危険は債務者が負担する、つまり天災などによって履行できなくなった目的物の代金支払は受けられないと定めていました。ただし例外的に、特定物を目的とする契約には債権者主義がとられ、この場合の危険は債権者が負担、つまり代金は支払うことになります。(この場合の「債務者」とか「債権者」というのは、天災等によって履行できなくなった債務の方を基準に言っています。つまり債務者主義と言った場合の債務者とは、履行できなくなってしまった引渡し債務の債務者という意味であって、代金支払の債務ではありません。)

 

この条項の役割は法律によらずにそれぞれの移転のタイミングを明確にすることですが、多くの場合、平等の観点から納得の得られやすい検収完了の時点を落としどころにして規定します。

 

所有権移転のタイミング

 (早い=委託者有利)

・製品を引き渡した(受領した)時

検収が完了した時

・代金が支払われた時

 (遅い=受託者有利)

 

危険負担移転のタイミング

 (早い=受託者有利)

・製品を引き渡した(受領した)時

検収が完了した時

・代金が支払われた時

 (遅い=委託者有利)

 

 

 

業務委託契約書の知的財産権の帰属条項の書き方とポイント

 

よくある誤解ですが、委託者が受託者に代金を払ったとしても、それだけで委託者にすべての権利が移転するわけではありません。知的財産権は原則として発明者や著作者など、その発明や著作物を生み出した人が取得するものだし、通常はそのままその人が権利者になるからです。

 

そこで、委託業務の過程で生じた知的財産権が意図したとおりに移転するように、あるいは当事者のいずれに帰属するべきかを明確にするための条項が知的財産権の条項です。当事者があとになって知的財産権をめぐってトラブルにならないために必要な条項とも言えます。

 

知的財産権の種類と特徴は?

ひとくちに知的財産権といっても種類があり、実際につくられる製品や委託業務の規模、種類、性質によって、問題になる権利は変わります。物の製造に関する業務であれば、作り方や形をマネされるなどといった特許権実用新案権意匠権の問題が生じやすく、納入される製品や成果物に文書やプログラム等の著作物があれば、表現をコピーされるという著作権の問題が重要になってくるというようにです。

 

「帰属を確認する」ための簡単な条項かもしれませんが、知的財産権の帰属条項はそれらの知的財産権のしくみが多岐にわたるため、特有の用語を正確に使用することが重要です。

 

知的財産基本法によれば、知的財産権には、

第2条 この法律で「知的財産」とは、発明、考案、植物の新品種、意匠、著作物その他の人間の創造的活動により生み出されるもの(発見又は解明がされた自然の法則又は現象であって、産業上の利用可能性があるものを含む。)、商標、商号その他事業活動に用いられる商品又は役務を表示するもの及び営業秘密その他の事業活動に有用な技術上又は営業上の情報をいう。

2 この法律で「知的財産権」とは、特許権実用新案権、育成者権、意匠権著作権、商標権その他の知的財産に関して法令により定められた権利又は法律上保護される利益に係る権利をいう。

 

などがあり、それぞれに制度上の特長があります。

 

特に「産業財産権と呼ばれる、特許権実用新案権意匠権、商標権については権利のタイプと存続期間に違いがあります。

 

特許権
自然法則を利用した技術的思想の創作のうちの高度なものである発明を独占的に実施することができる権利です。なお、特許権の存続期間は出願の日から原則として20年をもって終了します。


実用新案権
物品の形状、構造または組合せについての考案を独占的に実施することができる権利です。なお、実用新案権の存続期間は出願の日から原則として10年をもって終了します。

意匠権
物品の形状、模様、色彩またはこれらの結合であって視覚を通じて美観を起こさせるものである意匠を独占的に実施することができる権利です。なお、意匠権の存続期間は登録の日から原則として15年をもって終了します。


商標権
文字、図形、記号もしくは立体的形状、もしくはこれらの結合またはこれらと色彩の結合であって、特定の商品やサービスについて使用されるものを独占的に使用することができる権利です。なお、商標権の存続期間は登録の日から原則として10年をもって終了します。ただし、商標権の存続期間については、商標権者の更新登録の申請により更新することができます。

 

以上を踏まえて、特許権等の帰属を定める条項の例文をみてみましょう。

 

全ての権利を委託者に帰属させる場合の例

本件業務遂行の過程で生じた発明その他の知的財産又はノウハウ等(以下あわせて「発明等」という。)に係る特許権その他の知的財産権(特許その他の知的財産権を受ける権利及び著作権を含む。)、ノウハウ等に関する権利(以下、特許権その他の知的財産権、ノウハウ等に関する権利を総称して「特許権等」という。)は、すべて委託者に帰属するものとする。
2 受託者は、委託者に権利を帰属させるために必要となる手続(職務発明規定の整備等の職務発明制度の適切な運用、移転登録手続、譲渡手続などを含む。)を履践するものとする。

 

上記例文では、単純に委託者にすべての権利が帰属することにしていますが、場合によっては、当事者に帰属したままにして、必要に応じて委託者に権利を許諾していくというやりかたもあります。

 

その場合の注意点としては許諾の対価を明確にすることです。まず特許権等が発明者等に帰属していることを明確にしたうえで委託者に許諾することを規定し、その対価が別途支払われるのか、あるいは委託料に対価が含まれているのかを確認する条項を忘れないようにします。

 

たとえば、以下のような文案が考えられます。

 

権利を委託者へ許諾させる場合

本件業務遂行の過程で生じた発明その他の知的財産又はノウハウ等(以下あわせて「発明等」という。)に係る特許権その他の知的財産権(特許その他の知的財産権を受ける権利を含む。)、ノウハウ等に関する権利(以下、特許権その他の知的財産権、ノウハウ等に関する権利を総称して「特許権等」という。)は、当該発明等を行った者が属する当事者に帰属するものとする。
2 当事者が共同で行った発明等から生じた特許権等については、共有(持分は貢献度に応じて定める。)とする。この場合、各当事者は、共有に係る特許権等につき、それぞれ相手方の同意及び相手方への対価の支払いなしに自ら実施し、又は第三者に対し通常実施権を実施許諾することができるものとする。
3 受託者は、第 1 項に基づき特許権等を保有することとなる場合、委託者に対し、委託者が本契約及び個別契約に基づき本製品を使用するのに必要な範囲について、当該特許権等の通常実施権を許諾するものとする。なお、かかる許諾の対価は、委託料に含まれるものとする。
4 各当事者は、第 2 項、第 3 項に基づき相手方と共有し、又は相手方に通常実施権を許諾する特許権等について、必要となる職務発明の承継手続(職務発明規定の整備等の職務発明制度の適切な運用、譲渡手続など)を履践するものとする。  

 

著作権条項のポイント 

著作権とは、著作者が、自らの創作した著作物(思想または感情を創作的に表現した、文芸、学術、美術または音楽の範囲に入るもの)について、無断でコピーされたり、改変されたりしない権利です。

 

「思想又は感情を創作的に表現したもの」の対象は非常に幅広く、しかも申請や登録が必要ないという特徴があるので、たいていの表現は著作物に該当してしまいます。簡単にいうと他人はコピーしたり変更したりして使うことはできない権利なので、業務委託といえども納入されたものに著作物があれば、委託者はその利用に制限がかかるのです。

 

そのままでは不便なため一般的には成果物に著作権がある場合は、契約することで受託者から委託者へその著作権を譲渡するか、共有するか、利用許諾するというかたちをとります。

 

著作権を譲渡する場合の注意点は?

まず第一に検討するのは「譲渡」だと思いますが、契約書等で譲渡を定める場合の注意点は、譲渡の目的を「著作権法第27条及び第28条に定める権利を含む」と書くことです。もしこの一文が契約書に書かれていないと、二次的著作物の利用に関する原著作者の権利が譲渡されなかったとみられてしまうためです。例文は以下の通りです。

 

本業務遂行の過程で得られた著作権著作権法第 27 条及び第 28 条の権利を含む。)は、三者が従前から保有していた著作物の著作権を除き、すべて委託者に帰属するものとする。

2 受託者は委託者に対して、本業務の遂行の過程で得られた著作物に係る著作者人格権を行使しない。

 

また、著作者人格権だけは譲渡することができない権利とされているため、これに関しては譲渡ではなく著作者人格権の不行使という特約でカバーするのが一般的です。

 

業務委託契約書の契約の有効期間条項の書き方とポイント

 

業務委託取引基本契約書などの継続的な契約では、契約の有効期間は1年程度の単位で決めつつ、その後も自動更新にするのが一般的ですが、自動更新にも種類があります。

 

自動更新でいいのか?

たとえば契約の有効期間は1年間で、以後は更新とする場合に、契約期間満了の日のたとえば1か月前までに、なにも言わなければ更新されるパターンにするか、あるいはなにか申し出ることによって更新されるパターンにするかです。

 

なにもいわないと自動的に更新される、という規定は、放置するだけでよいので非常に楽で便利なのですが、それとひきかえにきちんと管理しないと契約の存続自体が忘れられて、形骸化したり、望まない契約が実は継続していたということもあり得ます。

 

そうやって形だけいつまでも残った契約を、なにかの都合(会社の成長や組織変更など様々なきっかけ)で一気に整理しなくてはならなくなったとき、思ったより手間取り、予想外のコストを強いられることがあります。

 

そこで、当事者の一方が申し出ることによって更新されるという、ひと手間をかけた規定も検討に値します。例えば以下のように規定します。

 

期間満了日の〇か月前までに、委託者から書面により本契約を更新したい旨の申し入れがあった場合に、当該書面の受領後10日以内に受託者が異議を述べなかった場合は、本契約は同一の条件でさらに1年間更新されるものとし、以後も同様とする。

 

おすすめの契約書更新管理の方法

いずれにしても契約書の更新管理というのは、なかなかに頭を悩ませる問題です。契約書の保管に特化した、専用のシステムを提供する会社もありますが、個人的には、キントーンを自分で簡単にカスタマイズしたり、キントーンの既存のアプリで管理する方法がいまのところ使えると思っています。自社のフローにあわせて、リマインダーを細かく設定できるので、更新が近づいたときにメールでお知らせが来るように設定するわけです。

 

または、クラウドサインなどの締結管理クラウドシステムをつかうことで、更新管理に役立てる方法もあります。

 

システムを使うこと自体がややこしく感じられる場合には、まるで付箋を貼るかのように直感的につかえるタスク管理アプリ(Trelloなど)を使って、有効期間中の契約書と終了した契約書を分けてカード管理するとよいでしょう。原始的ですが実はこれが一番使えているのではと思うときがあります。

   

業務委託契約書の契約解除条項の書き方とポイント

 

契約を残念ながら解除せざるを得ない場合があります。ところが、こちらがなんらかの理由で解除したくなったときに、相手もそうしたいとは限りません。

 

なぜ解除するのか?

仮に、委託者側から見て受託者の仕事に満足できなかったらどうでしょうか。相手の仕事に期待していたものの、いざ頼んでみたらスケジュールを守らない、クオリティも低かった、というようなケースです。これでは今後もよい関係は築けないと判断し「契約を白紙にもどしたい」と考えるでしょう。

 

受託者側はどう考えるかというと、なんとかして契約を(そして、そこから生じる売上を)維持したいと考えて、なんとかして取引の継続を望むかもしれません、場合によっては解除にともなう違約金などを主張して食い下がるかもしれません。これでは平行線です。

 

契約が円滑に継続することも大事ですが、必要なときに解除できることも同じくらい大事なのです。

 

ではどのような解除条項が望ましいのでしょうか? そもそも民法の規定では、相手方の履行遅滞を理由に解除するためには、相当期間を定めて履行の催告をすることが必要とされています。委託者にとっては、これをそのまま守っていると、ビジネスのスピードを落としてしまうでしょう。そこで契約書においては、一定の解除事由が生じた場合には催告しなくても解除できることを条件に入れておかなくてはなりません。

 

また、受託者側にも解除すべき状況はあります。たとえば委託者に債務超過などの信用不安が生じているという理由で、取引契約を解除したい場合も想定しておかないとなりません。

 

あとは、両当事者ともに、契約の継続が困難になるような出来事があった場合にそなえて、やはり契約を解除できるように解除事由を列記する方法が一般的です。

 

解除の意味合い

委託者  ⇒ 相手が約束どおりに仕事をしないリスク

受託者  ⇒ 信用不安により支払いが滞るリスク

両当事者 ⇒ なんらかの理由で契約継続ができなくなるリスク

 

これらを整理して、解除条項としてまとめます。例文は以下の通りです。

 

委託者又は受託者は、相手方に次の各号のいずれかに該当する事由が生じた場合には、何らの催告なしに直ちに本契約の全部又は一部を解除することができる。
① 本契約又は個別契約への違反、重大な過失又は背信行為があった場合
② 支払いの停止があった場合、又は仮差押、差押、競売、破産手続開始、民事再生手続開始、会社更生手続開始、特別清算開始の申立があった場合
手形交換所の取引停止処分を受けた場合
④ 公租公課の滞納処分を受けた場合
⑤ 解散、会社分割、事業譲渡又は合併の決議をした場合

⑥ その他前各号に準ずるような本契約を継続し難い重大な事由が発生した場合
2 委託者又は受託者は、相手方が本契約のいずれかの条項に違反し、相当期間を定めてなした催告後も、相手方の債務不履行が是正されない場合は、本契約の全部又は一部を解除することができる。
3 委託者又は受託者は、第1項各号のいずれかに該当する場合又は前項に定める解除がなされた場合、相手方に対し負担する一切の金銭債務につき相手方から通知催告がなくとも当然に期限の利益を喪失し、直ちに弁済しなければならない。

 

催告は「相当期間を定めて」おこなうものとしていますが、具体的に相当期間が何日間であるかは決まっていないので、いざ催告をしようとしたときになって、どれくらいの日数があればよいのか迷い、結果として念のため長期間の設定をすることになりかねません。そういうときのために催告期間をたとえば10日などと決めて、契約書に書いておくことも考えられます。

 

相手方に催告したにもかかわらず10日以内に是正されない場合は解除することができる。

 

また、上記は相手方に契約違反や信用不安が生じた場合に、それらを解除事由として契約を解除するための条項ですが、委託者が自らの都合により任意に個別契約を解除したいケースも考えられます。もしかしたらもうその製品が必要なくなるかもしれませんし、別の企業に発注したくなるかもしれないからです。その場合は受託者に通知をして契約を解消することになります。これをあらかじめ契約書でも確認しておくことで、無用の紛争を避ける意味合いがあります。

 

パターンとしては、いつでも解約できるように規定するか、あらかじめ〇日前とか〇か月前などと猶予期間を定めて通知することで解約できる、のように定めます。

 

委託者はいつでも個別契約を解約できる

委託者は前月までに通知することによって個別契約を解約できる

 

委託者にとってはこれで良いのですが、受託者としてはせっかく得た契約が、このように簡単に解除できてしまう条項はあまり歓迎できません。そこで、猶予期間を長くする方向で検討するか、あるいは予備投資などの合理的な理由があるときはそれを根拠に違約金を設定することも考えられます。

 

あるいは少なくとも、委託者が解除した時点で既に製造した製品があるなど途中までやり遂げた仕事が合理的に見積もれる場合には、その代金は支払ってもらえるように規定するべきでしょう。

 

つまり、受託者は委託者の任意解除権に対して、以下の3点を検討しておくべきといえます。

受託者は既に履行した業務について支払ってもらえる

受託者に損害が生じたときは、賠償してもらえる

受託者は違約金を請求できる

 

民法改正の解除条項への影響は?

ところで、民法改正によって解除条項は影響を受けるでしょうか? 大きな変更点として、債務不履行に基づく解除について、判例上、軽微な契約義務違反の場合や契約目的の達成に必須ではない付随的義務違反の場合に契約の解除が認められないという実態があり、改正民法もこれを明文化した経緯があります。

 

つまり改正民法によれば債務不履行が契約及び取引上の社会通念に照らして軽微であるとき」は催告しても解除できないことになります(改正民法541条ただし書)。

 

あくまでも「軽微な不履行」に限られるとはいえ、委託者としては、解除したいときに「軽微な不履行」を主張されて、解除がしにくくなることがわずかながら心配されます。そこであらたな起案上のテクニックとして、改正民法541条ただし書の影響を排除するような条項を付記することが考えられます。

 

また、改正民法無催告解除ができる場合(つまり例外的に、催告するまでもなく解除できる場合)を以下の通り認めていますので、この点は契約書にも確認的に記載しておく価値があるものと思われます。

 

改正民法542条 無催告解除の整理

(1) 履行の全部又は一部が不能であるとき。
(2) 履行の一部が不能である場合において、残存する部分のみでは契約をした目的を達することができないとき。
(3) 債務者がその債務の履行をする意思がない旨を明らかにしたとき。
(4) 契約の性質又は当事者の意思表示により、特定の日時又は一定の期間内に履行をしなければ契約をした目的を達することができない場合において、債務者が履行をしないでその時期を経過したとき。
(5) (1)から(4)までの場合のほか、債務者がその債務の履行をせず、債権者がその履行の催告をしても契約をした目的を達するのに足りる履行がされる見込みがないことが明らかであるとき。

 

 

改正民法の解除条項への影響のポイント

軽微な場合催告解除できない ⇒ 問題になりそうか判断し、必要なら除外

 

無催告解除の明文化 ⇒ 念のため参考にし、確認的に記載するか検討

 

 

業務委託契約書の損害賠償条項の書き方とポイント

 

相手方が契約に違反したことによって何らかの損害を生じた場合、それを賠償してもらえるような条項を入れておきたいものです。

 

もちろん民法にも、債務不履行に基づく損害賠償のルールがあります。これを踏まえて条項のポイントを考えます。

 

民法第415条
債務者がその債務の本旨に従った履行をしないときは、債権者は、これによって生じた損害の賠償を請求することができる。債務者の責めに帰すべき事由によって履行をすることができなくなったときも、同様とする。

 

つまり、仮に損害賠償条項が契約書になかった場合は、民法上のルールが適用されることになります。そこでまずは、法律上、債務不履行に基づく損害賠償のルールをおさえる必要があります。

 

債務不履行に基づく損害賠償の豆知識 

民法上、おさえておくべきポイントは、債務不履行、債務者の帰責事由、損害の発生と因果関係です。なぜならこれらの要件がそろったときに損害の賠償を請求することができるのが、民法の原則だからです。

 

債務不履行があった + 債務者に帰責事由あり + 損害が発生しており不履行との因果関係もある = 損害賠償請求権あり

 

 

債務不履行とは?

まず債務不履行とは具体的にどのような状態かというと、伝統的な通説では、履行遅滞」、「履行不能」、「不完全履行の3種類があると説明されています。学問的にはこれとは異なる分類もあるのですが、わかりやすいのでこの3分類で説明します。

 

履行遅滞とは、履行が可能であるのに履行期に履行がないことです。①確定期限がある場合にはその期限が経過した時、②不確定期限がある場合には(請求を受け取った時又は)債務者が期限の到来したことを知った時、③期限の定めがない場合は債務者が履行の請求を受けた時から、遅滞の責任を負います。ようするに、仕事の納期や、締め切りに間に合ってないという状態ですね。

 

履行不能とは、債務の履行が不可能となっていることです。そもそも仕事自体ができない状態です。そして不完全履行とは、一応履行はあったけれども、それが債務の本旨に従ったものとはいえない場合です。納品はあったけれどもなにか足りなかったというような場合ですね。

 

このように、納期に遅れているとか、納品できなくなったとか、納品しても何かが間違っていた場合、債務不履行になり得ます。

  

・債務者の帰責事由とは

さて次の要件として、債務者の帰責事由があります。帰責事由とは「債務者の責めに帰すべき事由」とか「故意または信義則上これと同視すべき事由」といわれています。ようするにわざとか、わざとではないにしても注意不足によって債務不履行を招いてしまうことですね。

 

ちなみに民法415条を読むと「債務者の責めに帰すべき事由によって履行をすることができなくなったときも、同様とする。」と書いてあるので、責めに帰すべき事由が必要なのは履行をすることができなくなったとき、つまり履行不能に限られるようにも見えるのですが、履行遅滞不完全履行についても帰責事由を要すると解釈されています。

 

ところで、わざとかどうか、注意不足だったかどうかはどうすればわかるのか、客観的にはなかなか難しいですね。結局は主張立証しあうしかないわけですが、このとき当事者のどちらが証明すべきかという意味で、立証責任というのがあります。帰責事由の立証責任については債務者の側にあります。ようするに自分がわざとではない、不注意ではないということ(故意過失または信義則上これと同視すべき事由がないこと)を立証しなければならないといわれています。

 

言い方を変えれば、債務不履行があったとして、債務者は自分でその帰責性がなかったと証明できないと、損害賠償責任を負うことになります。

 

 ・損害とは

 

債務不履行があり、帰責事由が認められたとして、ではいったいどんな損害が賠償の対象になるのでしょうか?

 

ここでいう損害の定義は、債務の本旨に従った履行がなされたならばあったであろう財産状態と、債務不履行の結果生じた財産状態との差を金額にあらわしたものです。やはりいくつかの分類的考察があります。覚えておきたい用語としては、積極的損害と消極的損害、履行利益と信頼利益、があります。

 

用語:「積極的損害と消極的損害」

積極的損害 ⇒ 債権者が現に受けた損失

消極的損害 ⇒ 逸失利益(不履行がなければ得られたであろう利益)

 

用語:「履行利益と信頼利益」

履行利益 ⇒ 履行されていれば債権者が得られたであろう利益

信頼利益 ⇒ 契約が無効または不成立であるのにそれを有効と信じたことによって債権者が被った損害

 

信頼利益がすこしわかりづらいのですが、ビジネスでいえば予備投資のようなもので、契約が成立することを見越して、事前に宣伝をしたとか、事前に準備をすすめたり必要なものを買ったりしたというようなコストの部分ですね。

 

・因果関係とは

因果関係とはもちろん、債務の不履行がその損害の原因になっているという意味ですが、民法416条によると、相当因果関係の原則が規定されています。

 

民法416条を引用すると、

 

(損害賠償の範囲)

民法第416条
1 債務の不履行に対する損害賠償の請求は、これによって通常生ずべき損害の賠償をさせることをその目的とする。
2 特別の事情によって生じた損害であっても、当事者がその事情を予見し、又は予見することができたときは、債権者は、その賠償を請求することができる。

 

とあります。

 

これはつまり、損害を通常損害と特別損害とにわけておいて、債務不履行があった場合は、通常損害が賠償され、特別損害については債務者の予見可能性を基準に賠償されるかどうかが判断されるということです。もしも純粋に事実的な因果関係を追いかけていくと、一つの原因から派生してどこまでも損害が拡大しかねないので、ある程度「通常生じるであろう損害」という枠組みを設定して「相当因果関係」と呼ぶことにしているわけです。

 

・なぜ債務不履行に対する「損害賠償」条項が必要なのか?

民法上、おさえておくべきポイントとして、債務不履行の種類、債務者の帰責事由、損害の発生と因果関係を確認しました。では、法律でここまでこまかく決まっているのに、わざわざ契約書に損害賠償条項を規定するのはなぜなのでしょうか? 

 

それは、契約で法律と異なる損害賠償のルールを決めておくことも、ある程度まで可能だからです。では損害賠償について、どのような規定があると自社にとって都合が良いでしょうか?

 

検討のポイントとして、債務者の責任の範囲、損害の範囲、賠償額、の3つを説明します。

 

損害賠償条項の検討のポイント

①債務者の責任の範囲

②損害の範囲

③賠償額

 

①債務者の責任の範囲

 

民法上、債務者は帰責事由がある場合に損害賠償の義務を負うとされていました。次の条文の違いをまず確認してください。

 

たとえば、

 

①委託者及び受託者は、本契約及び個別契約の履行に関し、損害を被った場合、相手方に対して、損害賠償を請求することができる。

 

 

と書いた場合と、

 

②委託者及び受託者は、本契約及び個別契約の履行に関し、相手方の責めに帰すべき事由により損害を被った場合、相手方に対して、損害賠償を請求することができる。

 

 

と書いた場合とで、より負担が大きいのはどちらの条文でしょうか?

 

 

どちらかといえば①の方が負担が大きく、②の方が①と比べれば責任の範囲が狭まっている分、理論上は負担が小さい規定です。なぜなら、②は帰責事由を要件として加えられているため、反対解釈すれば「責めに帰すべき事由」がなければ賠償義務を負わないといえるからです。

 

このように、帰責性を要件とするかしないかだけでも、責任の範囲は変わります。たったひとことですが、重要な言葉なのですね。

 

委託者の立場ですと、受託者の債務不履行に対しては、無過失で(過失があろうとなかろうと)賠償責任を負ってほしいと考えるでしょう。

 

しかし逆に受託者の立場で考えると、それをいわれると責任が過大になりすぎるデメリットがあります。業務の内容によっては、全く過失のない業務というものが実現しにくいものがありますし、あるいは製品によっては損害が大きすぎて、賠償したくてもできないというケースも想定されます。そこで、契約上は賠償の条件から「軽過失を免責する」という考え方がとられます。

 

つまり、帰責性があれば賠償するのが原則だけれども、軽過失に限っては債務不履行があっても債務者は賠償しなくていいことにするという条件をつけてしまうのです。

 

受託者は、本契約及び個別契約の履行に関し、委託者に損害を与えた場合には、受託者に故意または重過失のある場合に限り、委託者にその損害を賠償する責任を負う。

 

わざわざ損害賠償条項を規定するメリットとして、このように債務者の責任の範囲を限定できることが挙げられます。

 

②損害の範囲

次に、損害の範囲を広げるか、逆に絞ることが考えられます。損害の範囲が広いのはどちらの条文ですか?

 

①受託者は、本契約及び個別契約の履行に関し、委託者に損害を与えた場合には、〇〇〇の損害を含め、委託者にその損害を賠償する責任を負う。

 

②受託者は、本契約及び個別契約の履行に関し、委託者に損害を与えた場合には、〇〇〇の損害に限り、委託者にその損害を賠償する責任を負う。

 

②の方が、損害の範囲を広く設定できます。

 

範囲を広げる例としては、①の例文に弁護士費用を含めるとか、エンドユーザーへの謝罪対応にかかる経費を含めるなど、実際に起こりそうな対応への補償を含めることが考えられます。逆に絞る例としては、②の例文で通常の損害に限るとか、現実に生じた損害に限るなどとして、特別損害が含まれないように規定します。

 

このように損害の範囲を任意に調節することで、予測可能性を少しでも高められるのも、損害賠償条項を盛り込むメリットと考えられます。

 

 

③賠償額

 

もっとダイレクトに、賠償額そのものを先に「〇〇〇円」と予定してしまう条項もあります。つまり、万が一賠償が発生したとしても、現実の損害額によらずに一定の範囲に収めてしまおうというわけです。一種の違約金条項ですね。

 

民法も、損害賠償額の予定ができることは認めています。

(賠償額の予定)

民法第420条
1 当事者は、債務の不履行について損害賠償の額を予定することができる。この場合において、裁判所は、その額を増減することができない。
2 賠償額の予定は、履行の請求又は解除権の行使を妨げない。
3 違約金は、賠償額の予定と推定する。

 

実際に生じた損害がいくらだったのかは、立場が違えばおのずと見積額も異なるはずですから、賠償額を最初から決めておけるのは大きな利点といえます。しかし、予定するならするで予定金額についてはよく検討しないと、現実とのギャップが出たとき、受け取る側からすれば少ない賠償しか得られないリスクや、支払う側からすると大きすぎる賠償額を強いられるというリスクがあります。

 

違約金のようにある金額を決めてしまうこともできますが、賠償金額に上限を設定する方法もよくつかわれます。こちらの方が、個別に損害額を見積もる手間はありますが、必ずしも上限めいっぱいの賠償になるとは限らず、現実的です。

 

例えば次のように規定します。

 

損害賠償の累計総額は、帰責事由の原因となった個別契約に定める〇〇〇の金額を限度とする。

 

実際に上限となる金額をどうするかですが、「委託料」とか、「業務委託の対価」とか、「受領した金額」など、ようするに業務の受託にあたり受け取った金額を限度にすることが一般的です。ただこれは特に法令の根拠があるわけではないので、必ずしも委託料等の金額を上限にしなければならないわけではありません。

 

 

業務委託契約書の秘密保持条項の書き方とポイント

 

秘密保持条項はなんのためにあるかというと、ビジネスにとって貴重な情報を守るためです。しかしそもそも、ビジネスにとって貴重な情報を守るための法律がないのかというと、当然あるわけで、たとえば不正競争防止法を筆頭に挙げることができます。

 

つまりビジネスにおける営業秘密の保護に関しては、不正競争防止法のような公式ルールが存在するので、ひとまずは無法状態ではなく、一応の枠組みはすでに与えられているといえます。

 

もちろん、不正競争防止法等に頼りきりでいいかというと、そうではありません。もともと不正競争防止法上の営業秘密にあたるためには(つまりこの法律の保護の対象になりうるためには)、その情報が①秘密として管理されていること、②事業活動に有用な情報であること、③公然と知られていないものであること、という要件を満たさなければなりません。

 

つまり、そもそも営業秘密に該当するかどうかの時点で、結構ハードルが高いわけです。そこで、契約書によって当事者間の独自ルールを定め、そのなかで秘密情報の保護をはかっていこうというのが、秘密保持条項の存在意義となります。

 

ただし、本当に秘密保持条項が必要かどうかは、やはりケースバイケースです。そもそも業務委託をするから必ず多くの貴重な情報が、やりとりされると決まっているわけではありませんし、立場によっては、自社から相手方へはほとんど情報らしい情報は渡されないということもあり得ます。

 

そのようなケースにおいてまで、厳重な秘密保持条項を入れて契約を締結してしまうと、自社が相手方から渡された情報について厳格な義務を負うことになってしまい、結果的に負担が大きくなるリスクすらあります。やはり、実情をよく知ったうえで条項選択をすべきだと思います。

 

一般的な秘密保持条項は、以下のようなものがあります。

 

委託者及び受託者は、本件業務の遂行のため、相手方より提供を受けた技術上又は営業上その他業務上の情報のうち、相手方が書面により秘密である旨指定して開示した情報、又は口頭により秘密である旨を示して開示した情報で開示後〇日以内に書面により内容を特定した情報(以下あわせて「秘密情報」という。)を三者に漏洩してはならない。但し、次の各号のいずれか一つに該当する情報についてはこの限りではない。また、委託者及び受託者は秘密情報のうち法令の定めに基づき開示すべき情報を、当該法令の定めに基づく開示先に対し開示することができるものとする。
① 秘密保持義務を負うことなくすでに保有している情報
② 秘密保持義務を負うことなく第三者から正当に入手した情報
③ 相手方から提供を受けた情報によらず、独自に開発した情報
④ 本契約に違反することなく、かつ、受領の前後を問わず公知となった情報
2 秘密情報の提供を受けた当事者は、当該秘密情報の管理に必要な措置を講ずるものとする。
3 委託者及び受託者は、秘密情報について、本契約の目的の範囲内でのみ使用し、本契約の目的の範囲を超える複製、改変が必要なときは、事前に相手方から書面による承諾を受けるものとする。
4 委託者及び受託者は、秘密情報を、本契約の目的のために知る必要のある各自(本契約に基づき受託者が再委託する場合の再委託先を含む。)の役員及び従業員に限り開示するものとし、本契約に基づき委託者及び受託者が負担する秘密保持義務と同等の義務を、秘密情報の開示を受けた当該役員及び従業員に退職後も含め課すものとする。
5 本条の規定は、本契約終了後、〇年間存続する。

 

ポイントはなんといっても、①何が秘密なのか、そして②その秘密をどのように扱ってもらいたいのか、です。

 

①何が秘密なのか

なるべく汎用的な契約書にしようとして、なんでもかんでも秘密情報にしたいという心理になることがありますが、本来は何が秘密情報なのかを明確に特定すべきです。

 

また、情報を相手に提供することが多い場合は、秘密情報の範囲を広く定義する方が有利であり、逆に情報を受け取ることが多くなる場合は、秘密情報の範囲をより狭く限定的に規定する方が都合がよくなります。

 

望ましいのは・・・

情報を提供する側 ⇒ 秘密情報の範囲を広く定義する

情報を受け取る側 ⇒ 秘密情報の範囲を狭く限定する

 

なぜなら情報を受領した場合に、その受領した情報について契約上の義務を負うわけですから、自社にとって負担となるわけです。その場合になにが義務を負うべき秘密情報に該当するのかが、明確にわからなければ、対象のわからないものにたいして漠然と義務を負ってしまうことになり、非効率です。

 

情報の特定の方法として、開示の時に秘密であることを表示してもらうなどがあります。上記の条文例では、

 

本件業務の遂行のため、相手方より提供を受けた技術上又は営業上その他業務上の情報のうち、相手方が書面により秘密である旨指定して開示した情報、又は口頭により秘密である旨を示して開示した情報で開示後〇日以内に書面により内容を特定した情報

 

と定義していました。これはつまり、①書面で秘密だと言ってもらうか、②口頭で言った場合は後であらためて書面によってその内容を特定してくれたら、秘密情報に該当するということになります。

 

②その秘密をどのように扱ってもらいたいのか

 

では秘密情報の特定がされたとして、どのように秘密保持を義務付ければよいでしょうか。もちろん漏洩を防ぎたいわけですので、第三者への開示を禁止するというのが主目的です。では開示漏洩を防止する以外に、なにか禁止すべきことはないでしょうか?

 

ビジネスですから模倣、マネされるのがリスクということがあるので、情報の目的外使用の禁止という条項もよくつかわれています。

 

先ほどの記載例でいうと、

 

3 委託者及び受託者は、秘密情報について、本契約の目的の範囲内でのみ使用し、本契約の目的の範囲を超える複製、改変が必要なときは、事前に相手方から書面による承諾を受けるものとする。
4 委託者及び受託者は、秘密情報を、本契約の目的のために知る必要のある各自(本契約に基づき受託者が再委託する場合の再委託先を含む。の役員及び従業員に限り開示するものとし、本契約に基づき委託者及び受託者が負担する秘密保持義務と同等の義務を、秘密情報の開示を受けた当該役員及び従業員に退職後も含め課すものとする。

 

の部分ですね。

 

開示の禁止だけでよいのか?

 

他にも秘密保持条項に盛り込まれる義務として、情報管理体制を義務付けるものや、情報の返還を求めるものがあります。これは何か貴重な秘密情報を開示することが見込まれる場合に、開示者側にとって重要な義務になります。逆に、受領者側は、よく考えずにこうした義務の条項を認めてしまうと、大きな負担を負うことになるので、現実に必要な条項なのかよく検討した方が良いです。

 

たとえば情報管理体制を義務付けられたり、必要なら管理状況に関して開示者側が検査に立ち入ることができるとする条項がよくありますが、もしも情報漏洩が疑われた場合に、実際の漏洩が立証されなくても、管理体制の不備を理由に秘密保持条項違反が問われてしまうことになりかねません。

 

また情報の返還も、マニュアル資料や営業資料など、秘密情報に該当するか、自社の貴重なノウハウが含まれることが多く、きちんと返してもらう措置は有用です。契約書で規定する場合は、どの情報(資料など)を返還すべきなのかを明確にしないと、運用面で非常に不便なだけでなく、万が一の際に義務違反を主張、立証しにくくなりますから注意したいところです。

 

開示禁止以外の義務の例(必要かどうかよく検討して規定する)

管理体制を整える義務

情報を返還する義務

情報を破棄する義務

 

業務委託契約書の権利義務の譲渡禁止条項の書き方とポイント

 

権利義務の譲渡は、特約で禁止されることが一般的です。民法上は、原則として債権を自由に譲渡でき、譲渡に債務者の承諾が不要とされているため、逆に承諾なく譲渡されるのを防ぐためです。

 

(債権の譲渡性)

民法第466条
1 債権は、譲り渡すことができる。ただし、その性質がこれを許さないときは、この限りでない。
2 前項の規定は、当事者が反対の意思を表示した場合には、適用しない。ただし、その意思表示は、善意の第三者に対抗することができない。

 

債権がみだりに譲渡されると、突然見ず知らずの誰かが取引関係に入ってくるかもしれないわけで、混乱を招くかもしれません。これを回避したいと考える当事者にとって重要な条文です。

 

例文としては以下のようになります。

 

委託者及び受託者は、互いに相手方の事前の書面による同意なくして、本契約上の地位を第三者に承継させ、又は本契約から生じる権利義務の全部若しくは一部を第三者渡し、引き受けさせ若しくは担保に供してはならない。

 

逆に言うと、民法上は原則として債権の自由な譲渡が認められているのであって、もしそのほうが自社に有利な場合には「承諾なくして譲渡できる」という主旨の条項にすることも無理ではありません。つまり受託者側が将来的な譲渡担保の設定を見越して、委託者から承諾を得なくても金融機関に譲渡できるとする条項があってもおかしくないわけです。

 

譲渡禁止が当然なんだ、などと思わず、状況によっては常識的な範囲で少しでも自社に都合の良い条文の可能性を意識したいものです。

 

譲渡禁止の債権の譲渡は有効なのか?

 

ところで、契約で譲渡が禁止されている債権を譲渡した場合、その債権譲渡は有効なのでしょうか?

 

前述の民法466条は債権が自由に譲渡できることを定めた条文ですが、譲渡禁止特約の有効性も定めていました(第2項)。つまり譲渡禁止特約があるのに債権が譲渡された場合には、原則として譲渡が無効になるはずです。

 

しかし、この点については民法が以下のように改正されています。

 

改正民法466条

1 債権は、譲り渡すことができる。ただし、その性質がこれを許さないときは、この限りでない。
2 当事者が債権の譲渡を禁止し、又は制限する旨の意思表示(以下「譲渡制限の意思表示」という。)をしたときであっても、債権の譲渡は、その効力を妨げられない。
3 前項に規定する場合には、譲渡制限の意思表示がされたことを知り、又は重大な過失によって知らなかった譲受人その他の第三者に対しては、債務者は、その債務の履行を拒むことができ、かつ、譲渡人に対する弁済その他の債務を消滅させる事由をもってその第三者に対抗することができる。
4 前項の規定は、債務者が債務を履行しない場合において、同項に規定する第三者が相当の期間を定めて譲渡人への履行の催告をし、その期間内に履行がないときは、その債務者については、適用しない。

 

つまり、譲渡禁止特約などによって譲渡を制限する意思表示をしたとしても、原則として譲渡は有効に行えてしまうことになります。(例外としては、3項で、譲渡制限の意思表示があったことを知っている第三者に対しては履行を拒むことができることが規定されています。)これだと、譲渡禁止を確実にしたい当事者にとっては、せっかく譲渡禁止特約をいれたのに、その意味を弱めてしまう改正と言えるでしょう。注意が必要です。

  

業務委託契約書の不可抗力条項の書き方とポイント

 

天災地変の影響力を考慮せずにはいられない昨今ですが、大地震や水害などの現象によって契約が守れなかったときの免責を定めるのが、不可抗力条項です。

 

不可抗力とは、天災地変以外にも、戦争などの人為的現象を含めることがよくあります。何が不可抗力にあたるかを定めるのも、この条項の重要な役割です。よく議論になるのが「ストライキ」などの労働関係で、これが「いずれの当事者の責めにも帰すことのできない」現象かどうかは、解釈のわかれるところではないでしょうか。だからこそ契約書で定義しておく意義があります。

 

あるいはまた、「仕入先の債務不履行」が不可抗力とされ、議論になることがあります。たしかに受託側としては、仕入先が何らかの理由で資材の提供を滞らせた場合に、自社の業務が影響を受け、結果的に納品が遅れたりした場合、調達困難であったことが原因ならば責任を免除してほしいという気持ちはわかります。

 

ただこれを委託者側からみると、そうしたリスクも含めて仕入先を選定したり、プロジェクトマネジメントをするなどの努力でカバーしてほしく、不可抗力とまではいえないと考えるのもまた一理あると思えてきます。

 

結局このあたりは具体的な状況ごとのリスク判断と交渉で決めるしかないわけですが、少なくとも不可抗力条項をみて、不可抗力の定義に自社にとって納得のできない項目が含まれていないかを注意して読むようにしてください。

 

一般的な不可抗力条項の例は以下の通りです。

 

委託者及び受託者は、地震、台風、津波その他の天変地異、戦争、暴動、内乱、法令、規則の改正、政府行為その他の不可抗力により、本契約もしくは個別売買契約の全部または一部を履行できない場合であっても、互いに相手方に対し、その責任を負わない。

 

また、不可抗力を原因として発生した損害の取り扱いについて詳細に定めた事例も、参考までに引用します。これはより具体的に、不可抗力によって生じた損害を、各当事者がどのように処理すべきかをあらかじめ規定することで、予期せぬリスクへの対応に一定の指針を与える優れた条項例です。

 

(天災その他の不可抗力による損害)
目的物の引渡し前に、天災等(設計図書で基準を定めたものにあっては、当該基準を超えるものに限る。)で発注者と受注者のいずれの責めにも帰すことができないもの(以下「不可抗力」という。)により、既済部分、仮設物、検査済持込材料、支給材料、貸与品、発生品又は建設機械器具に損害が生じたときは、受注者は、その事実の発生後直ちにその状況を発注者に通知しなければならない。
2 発注者は、前項の規定による通知を受けたときは、直ちに調査を行い、同項の損害(受注者が善良な管理者の注意義務を怠ったことに基づくもの及び火災保険その他の保険等によりてん補された部分を除く。以下この条において「損害」という。)の状況を確認し、その結果を受注者に通知しなければならない。
3 受注者は、前項の規定により損害の状況が確認されたときは、損害による費用の負担を発注者に請求することができる。
4 損害の額は、次の各号に掲げる損害につき、それぞれ当該各号に定めるところにより、算定する。
⑴ 既済部分に関する損害
損害を受けた既済部分に相応する契約金額相当額とし、残存価値がある場合にはその評価額を差し引いた額とする。
⑵ 検査済持込材料、支給材料、貸与品又は発生品に関する損害
損害を受けた検査済持込材料、支給材料、貸与品又は発生品に相応する契約金額相当額とし、残存価値がある場合にはその評価額を差し引いた額とする。
⑶ 仮設物又は建設機械器具に関する損害
損害を受けた仮設物又は建設機械器具で通常妥当と認められるものについて、当該工事で償却することとしている償却費の額から損害を受けた時点における既済部分に相応する償却費の額を差し引いた額とする。ただし、修繕によりその機能を回復することができ、かつ、修繕費の額が上記の額より少額であるものについては、その修繕費の額とする。

 

業務委託契約書の合意管轄条項の書き方とポイント

 最後に合意管轄条項についてです。

 

よく見かける条項だと思いますが、以下のような例文が典型的です。

 

本契約及び個別契約に関し、訴訟の必要が生じた場合には、〇〇地方裁判所第一審の専属的合意管轄裁判所とする。

 

ようするに、契約の内容に関して万が一紛争になってしまった場合に備えて、あらかじめ裁判所を合意しておくための条項です。これを合意管轄といいます。

 

合意管轄が無かった場合は裁判に訴えられないのかというと、そんなことはありません。ただ、そもそもある訴えについてどの裁判所に提起されるのかは、法律上のルールがあります。これを法定管轄といいます。

 

ゆえに法定管轄にゆだねるのもひとつの方法なのですが、紛争になるまでどの裁判所で裁判になるかわからないリスクや、もしかすると自分にとって不利な管轄となった場合の追加的コストの問題(遠方の裁判所になってしまうかもしれない)といった負担を考えると、やはり管轄の合意をしておくことは一定のメリットがあります。

 

法定管轄とは何か

 

法定管轄には、職分管轄、事物管轄、土地管轄があります。

 

職分管轄とは、裁判の内容によって担当する裁判所の種類が違うことをいいます。たとえば三審制といって、第一審は簡易裁判所または地方裁判所、第二審は地方裁判所または高等裁判所、第三審は高等裁判所または最高裁判所というルール(審級管轄)が、職分管轄にあたります。あるいは人事訴訟は家庭裁判所が担当するのも、職分管轄の一種です。

 

事物管轄とは、第一審の訴訟手続を、簡易裁判所地方裁判所のどちらに担当させるかの定めです。ようするに訴額(訴訟の目的の価額)が140万円を超えない請求は簡易裁判所が担当し、訴額が140万円以上の場合は地方裁判所が担当するということです。ただし不動産に関する訴訟については、訴額が140万円を超えなくても、簡易裁判所および地方裁判所の双方が管轄権を有します(裁判所法24条1号、33条1項1号)。

 

土地管轄とは、地理的な場所を要素にした管轄で、被告の普通裁判籍の所在地を管轄する裁判所が管轄権を有するのを原則とします(民事訴訟法4条1項)。自然人の普通裁判籍は、原則として住所地であり(民事訴訟法4条2項)、法人の普通裁判籍は、原則として主たる事務所・営業所の所在地です(民事訴訟法4条4項)。つまり誰かを訴えようと思ったなら、相手の住所地の裁判所に訴えるのが原則ということになります。

 

ただし、土地管轄には普通裁判籍のほかに特別裁判籍という例外があります。主な特別裁判籍には、義務履行地があります。すなわち財産権上の訴えについては、義務履行地において訴えることができます。財産権上の訴えとは、たとえば業務委託契約に基づいて代金を支払えとかいった訴えであり、ビジネス上の訴えの多くはこれにあたると思われます。だとするとビジネス上の訴えの多くは特別裁判籍が認められ、相手(被告)の住所地の裁判所だけでなく義務履行地の裁判所(代金を支払えという請求なら、代金の受け取り手である売主の営業所の所在地)で訴えを起こせることになります。

 

管轄の合意を規定する際の注意点は?

 

このように法律で管轄は決まっているのですが、法定管轄にかかわらず、第一審に限って、当事者は管轄裁判所を定めることができます。ただし、一定の法律関係に基づく訴えに関し、かつ、書面でしなければなりらないと定められています。

 

(管轄の合意)

民事訴訟法第11条
1 当事者は、第一審に限り、合意により管轄裁判所を定めることができる。
2 前項の合意は、一定の法律関係に基づく訴えに関し、かつ、書面でしなければ、その効力を生じない。
3 第一項の合意がその内容を記録した電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られる記録であって、電子計算機による情報処理の用に供されるものをいう。以下同じ。)によってされたときは、その合意は、書面によってされたものとみなして、前項の規定を適用する。

 

必ず書面または電磁的記録により、一定の法理関係に基づく訴えに関して合意する必要がありますので、口約束ではだめですし、当事者間の紛争すべてに関して合意するといった、おおまかな規定でもだめです。書面または電磁的記録により、その契約に関する紛争について管轄を定めるものであることをはっきり書く必要があります。

 

合意管轄には専属的合意のほかに、付加的合意というものがあります。付加的合意といった場合は、法定管轄以外の裁判所に付加的に管轄権を付与する意味になりますから、相変わらず法定管轄の裁判所になる可能性を残してしまいます。そこで、契約書で合意する際は必ず専属的合意であることを明確にすべきです。

 

まとめ

 

以上、業務委託契約書の検討と作成のポイントを、ものづくりの業態を想定してまとめました。アウトソーシング業務があれば積極的に活用して、行き違いやトラブルのない取引、万が一トラブルになっても容易に回復できる取引をめざしましょう。

 

 

 

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