契約書にする「署名」と「記名」って どう違うの?
竹永です。
こまかい
言い回しの違いってありますよね。
■契約書には署名する? 記名する?
あたりまえですが、
契約書には当事者がお互いにサインをします。
これが契約の締結ですね。
ただ 意外と迷うのが
そのハンコや署名ではないでしょうか。
どのハンコを押すんだっけ? などですね。
結論から言うと契約書には、
「署名」をして「実印」を押すのが
も望ましいです。
もちろんそれ以外すべて無効になるわけではありませんが。
署名と記名は、どう違うのかというと、単純で、
直筆かどうかが違います。
つまり本人が手で書いたのを署名といいます。
筆跡が残るはずだから、
署名は契約書にうってつけなのです。
■記名も一般的
でも一般的にビジネス契約書では
殆どがプリンターでの印字ですね。
これは署名ではなく「記名」と言います。
記名は誰でもマネできてしまうところから、
署名のような証明力は無いものとされています。
ようするに記名だけでは
その書類が本人のものによるとは信用されないわけです。
そこで、
特に記名の場合は必ずハンコが必要になってくるのです。
■契約書に実印を押す理由とは?
「実印」とは、
市区町村や法務局に 「印鑑登録してあるハンコ」のこと。
登録するわけですから、
当然住所氏名が証明できますね。
だから契約書にはやっぱり実印を使うべきだよね、
というのが常識になっています。
あくまで登録してあるかどうかの違いですから、
いかに立派な書体や豪華な印材が使われていたとしても、
登録されていなければただのハンコ(認め印)にすぎません。
実印というのがいつからあったのかわかりませんが、
明治時代の法律には、
「諸証書ノ姓名ハ自書シ実印ヲ押サシム」
(明治10年7月7日 太政官布告)
という用語が残っていて、
どうやらこのあたりが実印制度の出発点のようです。
■ビジネス契約書の署名欄の書き方
ビジネス契約の場合は、
実印といっても、
個人のではなくて、法人の代表印(丸いもの)が該当します。
結局、
ビジネス契約書の署名欄は、
住所(東京都・・・)
肩書(代表取締役など)
氏名(山田 太郎) + 法人代表印
と「記名」されたうえで法人代表印が押されている、
というのがパターンのひとつになっていますね。
(「署名」してももちろん構いません。)
ちなみにこの際、
「肩書」をつけ忘れないのも、
ポイントのひとつです。
当事者適格といって、
当事者がどういう立場、権限でサインしたのかは、
契約では重要だからですね。
ハンコと言えば、
欧米諸国にはサイン文化がありますから、
英文契約書のほとんどはハンコのようなものは押されてなくて、
サインだけです。
実は日本にしても、
もともとは署名することをもって
「 本人による文書であることの証明」
にしていたのです。
武士の手紙などには 花押(かおう)という、
漢字一文字を図案化したようなかっこいいマークが
署名代わりに入っていますよね。
ちなみにこれは豊臣秀吉の花押です。
加えて、少なくとも江戸時代には
町人文化のなかですでにハンコが広まっていたようなので、
ハンコの習慣も古くからあったといえそうです。
■デジタル化でハンコはなくなるのか?
今後は日本でも電子署名なども活用され、
技術的にさらに改善がすすめば
ハンコによる署名方法も変わってくると思います。
ただやはり紙の契約書に真っ赤なハンコが押されていると、
なんとも正式で、豪華な印象があり、
こうしたリアルな実感もまた馬鹿にできません。
慣れ親しんだ者にとっては、
紙への信頼は強く、代えがたいものがあります。
紙ベースの契約書にもまだまだ便利な要素もあり、
そう簡単に廃れるものでも無いような気がしています。