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わかる! 使える! 契約書の基本

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契約の解除通知書の書き方・契約解除のポイント

ビジネスに役立つ契約書のコツ  契約書のつくりかたとルール
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契約を解除したいとき、絶対忘れたくないポイントとは?

 

  

 

竹永です。

 

 

業務委託契約などの継続的な契約で、まだ有効期間が残っているのに、途中でやめる、つまり契約関係を法律的に終了させてしまうことを、契約の「解除」といいます。

 

実務上どうやって契約解除をすすめたらよいでしょうか?

 

 

契約を「解除」するためには、その旨相手方に「通知」する必要があります。この通知文書は一般に「契約解除通知書」と呼ばれています。この契約解除通知書のつくりかたについて説明します。

 

解除通知書の内容自体はとても簡単です。

 

日付、宛先、自分の社名をいれ、タイトルは無難に「解除通知書」などとすれば、形式としてはできあがります。

 

あとは具体的な事情にあわせて本文を書けばOKです。この際のポイントとしては最低限、

 

 

①いつ締結した、なんという契約についての通知なのか? 契約を特定する文言

②結論としてはどうしたいのか? この場合、「解除したい」と伝える文言

 

の2点を書くことになります。

 

 

解除の「理由」を書くべきかどうか?

 

 

契約解除通知書という意味では、上記の2点だけでも足りるのですが、ちょっと悩むのは、解除の理由も書くかどうかです。

 

相手の立場にたってみると、なぜ解除なの? という疑問(というか反論)がでてくる可能性があるからです。 

 

契約解除というシチュエーションについてすこし想像してみると、よくあるのは相手方と契約内容についてもめてしまい、しかたなく契約を終わらせなければならなくなった、ということが考えられます。

 

ただ契約の解除というのは必ずしもトラブルになった場合だけではなくて、穏便な関係でいながらも、いくつかの契約のうち、ある一部の契約についてだけ協議の上で解除する、という場面もありえます。

 

ようするに解除はただでさえ慎重に対応する必要があるうえ、関係がこじれたわけではないときならなおさら、「丁寧な対応」がもとめられますので、解除通知には解除の理由も明記することが一般的であり、ある意味マナーのようなものです。

 

 

契約解除通知書の雛形

 

 

ではちょっとここで、話をより具体的にするために、実例をみてみましょう。

 

たとえば「広島県住宅供給公社」が作成した契約解除通知書の雛形によれば、

 

-------------------------------------------------------------------------

                  平成 年 月 日

 

      業務委託契約解除通知書

 

 

( 受 注 者 ) 様

            広島県住宅供給公社理事長

 

平成 年 月 日付けで貴社と委託契約を締結した次の業務について, 貴社が土木設計業務等委託契約約款第41条第1項第○号に該当すると認めたので,当該規定により当該委託契約を解除します。 ついては,土木設計業務等委託契約約款第41条第2項の規定により違約金 として,平成 年 月 日までに金○,○○○,○○○円を,別途送付 する納入通知書にしたがって支払ってください。

 

1 委託業務名

2 業務委託料

3 履 行 期 間  着手 平成 年 月 日  完成 平成 年 月 日

 

-------------------------------------------------------------------------

 

となっていました。

(実際はもっときれいにレイアウトされています。)

 

この通知書雛形には、セオリー通りまず「契約の特定」をしたうえで「貴社が土木設計業務等委託契約約款第41条第1項第○号に該当すると認めたので」契約を解除する、と、契約解除にいたった理由が書かれていることがわかります。

 

解除の判断をした理由は、そもそもの契約(約款)に根拠条文があり、それに抵触したからだ、というわけです。

 

解除の理由も書いたほうがよさそうだとわかったところで、そもそも契約解除の理由には、通常どんなものがあるのでしょうか?

 

すこし整理すると、三つあります。 

 

 

契約解除の理由とは?

 

継続的な契約を解除する場合の理由(解除原因)としては、

 

(1) 相手が約束を守らなかったから契約はもうやめたい

 

(2) 相手の商品にミスがあったから契約はもうやめたい

 

(3) その他の都合により、契約はもうやめたい

 

の三つが考えられますよね。

 

ただ、このまま書類に書くには表現が、少々幼いような印象があります。

 

そこで、これらを法的に表現しなおしてみましょう。

 

(1)は、相手が約束を守らなかったのだから解除したい、という場合です。

 

たとえば、納期が決めてあったのにそれよりも遅かったじゃないか、とかですが、こういった事情のことを民法の考え方で債務不履行と呼びます。

 

履行遅滞等による解除権)

第541条
当事者の一方がその債務を履行しない場合において、相手方が相当の期間を定めてその履行の催告をし、その期間内に履行がないときは、相手方は、契約の解除をすることができる。

 

(2)は、相手の商品にミスがあった、だから解除したいんだ、という場合ですね。

 

たとえば納品された品物をよくみてみたら不具合があった、不良品だったというような場合、民法には瑕疵担保責任という項目があります。

 

瑕疵担保責任とは、少々複雑な概念ですが「原則として売主がある程度、品物に関しての責任をとるべきだよね」みたいなルールです。

 

(請負人の担保責任)

第635条
仕事の目的物に瑕疵があり、そのために契約をした目的を達することができないときは、注文者は、契約の解除をすることができる。ただし、建物その他の土地の工作物については、この限りでない。

 

 

 

(3)は、まあ自己都合というものでしょう。

 

実はこれも民法は想定していて、請負契約の場合は641条という、わりと有名な規定があります。注文した人は請負人にたいして損害を賠償するかわりに契約を解除することができるというルールです。

 

(注文者による契約の解除)

第641条

 請負人が仕事を完成しない間は、注文者は、いつでも損害を賠償して契約の解除をすることができる。

 

 

解除理由を法律にあてはめて考えると、だいたい上記三つのグループに整理できるのではないでしょうか。

 

もちろん、みだりに契約をなかったことにできるわけではありませんし、法律とは異なる条件を当事者の間で契約している場合もあります。よって解除の具体的なやりとりは常に「条件付き」で考えなければなりません。

 

ということは、本来契約の解除通知を書くときは、

 

(ア)そもそも相手方との契約上、解除についてはどのように定めていたのか?

 

(イ)解除したい理由は、相手方の債務不履行なのか、瑕疵担保責任の追及なのか、あるいはまた賠償をともなう解約請求なのか?

 

という点を、事前に具体的に整理しておくべきだといえます。

 

 

解除の理由も書くメリットは?

 

契約の背景や解除原因が明確に整理できたとして、では、その解除原因をわざわざ通知書で明確にすることには、具体的なメリットはあるのでしょうか?

 

実は契約の解除というのは、立場がちがえば利益が反転する問題です。自分が解除したいときと、相手から解除を通知されたときとでは、同じ解除でも意味合いが違って感じられますよね?

 

つまり、解除に関してはたいていは発注者側と受注者側との都合、主張が食い違うのです。

 

たとえば、発注者側が、相手方(受注者)の納品が遅かったから、これを契約違反ととらえ、当該債務不履行を原因に「契約を解除したい」といったかと思えば、受注者側からは、そんなはずはない、実際には担当者間で契約後に新たな納期を決めたのだ、とかなんとかいう主張がもちあがり、水掛け論がはじまり、結局なかなか合意が得られないといったように、です。

 

債務不履行が認められないとすると、逆にこれは受注者の債務不履行ではなく注文者の自己都合の解除だから、民法641条(注文者による契約の解除)であって、注文者として解除にともなう相応の損害を賠償せよ、などという話になったりするかもしれません。(つまり解除原因の違いによって、賠償する側になるか、される側になるかが変わってしまうのです。)

 

あるいは、注文者の一方的な解除通知に怒った受注者が、後に注文者が契約の履行に協力しなかったから、これは契約違反なのでその損害を賠償せよ、という主張をしてくる可能性すらあります。

 

こうした可能性までもふまえると、解除通知書は、解除理由について明らかにし、それにより法律的にどの解除理由にあたるべきかを第三者が見てもある程度明確に判断できる程度に具体的な書き方をするのが望ましいと言えそうです。

 

たとえば、納期が遅れたのが解除の原因なのであれば、解除通知書にも、「契約書に書いてある納期は平成何年何月何日だが、貴社はこの納期に遅延しています」などと書けば良いわけです。

 

 

いつまでに契約を解除する、という期限はどう書くのか?

 

最後に、いつをもって解除と通知するか、解除の期限をいつに設定するべきかですが、これも、もともとの契約書に解除の規定があれば、その規定にしたがうことになります。

 

法律的にはどうなのでしょうか? 

 

民法541条の規定をもう一度見てみますと、「相当の期間」を定めて「催告」をしてから解除できる、と書いてありますね。

 

 

履行遅滞等による解除権)

第541条
当事者の一方がその債務を履行しない場合において、相手方が相当の期間を定めてその履行の催告をし、その期間内に履行がないときは、相手方は、契約の解除をすることができる。

 

 

これは たとえば「何日以内にやらないと解除しますよ」などと、事前に猶予期間の予告するような通知方法にせよ、という意味です。

 

この規定により、多くの解除通知書の雛形が、

 

「本書面を受領後、7日以内に、・・・・履行しない限り・・・・解除します」

 

とか

 

「本書面を受領した日から7日の経過をもって・・・・解除します」

 

などという、すこし猶予を与える表現になっています。

 

なぜ「7日」なのかは、別に厳密にそうせよと決まっているわけではないので、ここが「2週間以内に」や「8日以内に」などとなっていても、別に間違いではありません。

 

契約の内容によって適切な期間は変わってきますし、そもそも厳密になんの契約は何日の催告期間が必要、などというルールはありませんから、常識的な期間としておおむね一週間単位で、意思表示する側が主体的に決めてさしつかえないでしょう。

 

 

まとめ

 

1 契約解除通知書は、日付、タイトル、当事者名称を書く

2 そして、なんの契約を解除するのか特定する

3 具体的な解除理由も添えたほうが良い

4 相当の期間は一週間前後で任意に決めてOK

 

 

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蛇足:契約解除通知書の発送方法について

 

 当然ですが、通知書をつくったら相手方に届けなければなりません。

 

通知を送る方法として、最もよくあるパターンはやはり内容証明郵便で発送するという方法です。理由は、相手方に届いたことを確実に証明することができるからです。

 

ただし、理論上は普通の手紙でも、ファックスでも、電子メールによる通知でも、有効に契約解除通知が行えることは知っておいたほうがいいでしょう。この方がいろんな意味でコストがかかりませんね。

 

ただ、企業によってはわざわざアポを取って相手方へ出向き、面談のうえで、きちんと説明した後に書面を手渡しする慣習も根強く残っています。というか、本来はこちらの方が正式なやりかたではないでしょうか。

 

企業経営にとって、契約の解除手続きとは単純な、ひとつの作業ではありますが、契約の意味内容や経緯を理解して、そのシチュエーションに応じた通知方法を選択することは、後の紛争予防の重要な一端を担っている、とみることもできます。

 

上記のような予備知識により、コストをおさえたり、あるいはコストは多少かかるかわりに以後の関係性に配慮できたりする、という判断ができるのですから、通知書ひとつにも気の利かせどころが複数あるわけです。

 

コストや時間といった様々な制約の中で、何がベストか。幅広くかつ素早く検討することで、奥行きのある実務を目指したいものですね。

 

 

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