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わかる! 使える! 契約書の基本

契約書は経営、起業・独立、副業に必須のスキルです! 自分で契約書がつくれると楽しいですよ

「偽装請負」といわれないためにできること

契約書のつくりかたとルール
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めだかが好きで、
飼っているのだが、
彼らは、
水槽の内部の色によって、
体の色をわずかだけれど変化させている。

内側が黒っぽい容器で飼うと、
色がきれいに出るようだ。


思えば人間も、
環境によって微妙に、
感情や行動を変える
生き物だ。

進化の歴史上、
その方が環境に適応しやすいと
学んだのかもしれない。

そのように移ろいやすい人間の行動を、
紙に書いた契約というもので理解しようとするわけだから、
おのずと、どうしても誤差が生じてくる。


いくら均等にきりわけようとしても、
そうはいかず、
どうしても切れ端がのこってしまうようなものだ。


・・・なにがいいたいかというと、
業務委託契約のはなしである。


数年前から「偽装請負」という言葉が、
広まってきた。

偽装請負(ぎそううけおい)とは、

もじどおり請負を「偽装」することであるから、
つまり請負のようにみせておいて、
その実態は請負ではないことをいう。

なにがいけないのか、
という話であるが、
ようするに、
自分のところで雇用しているかのように、
指揮命令してはたらかせているが、
契約としては請負、
つまり実際は外注だということだ。

これだと、
労働者側の権利は、守られない。

なので労働局が問題にするのである。

外注というと、別会社がやるのだから、
指揮命令の問題は生じないんじゃないかと
思われるかもしれないけれど、

構内請負などといって、
発注者の工場内や、
作業所内にきてもらって、

お仕事をしていただくタイプの契約は、
実際によくある。

あるいはITベンダーなどで、
相手方の社内にエンジニアが常駐して
仕事をするタイプというのもよくあることで、
イメージしやすいのではないか。

これらは、
仕事場の様子をみただけでは、

誰が正社員で、
だれが外注先のスタッフさんなのかは、
わからない。

契約上は違う(雇用ではなく請負である)なら、
発注者側はきちんと区別して管理する必要がある。

逆に
このあたりが曖昧だと、

偽装請負の烙印をおされてしまうのである。


では、
ある会社の行為が、
偽装請負なのか、
適正な委託取引(請負)であるのか
境界線、さかいめは、

どこにあるのかということについては、
たくさんの説明がされているが、
重要なポイントは

「指揮命令、監督」



実態」である。

つまり、
本来であれば、
請負としての仕事は、
請負った側(受託者)が、
自分の従業員を指揮監督するのが
当然である。

対して、
事実上、

発注者が受託者(受注者)の従業員に
直接指示するなどして仕事をさせていれば、
これは偽装請負といわれる可能性が高い。

本来、
請負契約の受託者は、
受託者みずからの責任と判断とで、
従業員を監督することによって、
仕事を完成させるべきだからだ。

しかし、
「実態」
というところが非常に難しいポイントなのだ。

たとえば
受注者と発注者がおなじ現場で
作業してるのだから、
当然、指揮命令といわないまでも、
会話がうまれるし、
質問があるだろうし、
回答もされるだろう。

それが必要でもある。

それらの場合、
なにが「指揮命令」で、

なにがそれ以外のコミュニケーション(連絡事項とか回答とか)なのかは、
とても線引きの難しい問題である。

受託者側だって、
必要な指示やアドバイスであれば、
こまめに助言されたほうが仕事がやりやすいとか、
仕事の内容によっては、
そういった調整が不可欠なこともあるだろう。

そのため、
作業場所を明確に分けるとか、
業務管理者を決定するとか、
さまざまな手法が定義されているが、
これらにしても結局は「実態」で判断される話なので、
ほんとうは、
いくら形式上のことをチェックしてもあまり意味が無い

ただ、
実質、実態というのをチェックするのは
これまた非常にむずかしい。

しかし、
はんたいに、

やはり契約書の規定などは
すぐに目に見える部分である。

書いてあることだから、
非常にわかりやすい。
これを活用しない手は無いだろう。

そのような事情もあって、
私がもし労働局側の人間であれば、
まっさきに契約書の整備状況のチェックからはいるだろう。

もう少し具体的にはなすと、
たとえばITベンダなどが、
依頼主の現場に出向いて(従業員を出向かせて)作業する場合がある。

その際、
ベンダ側の従業員(開発担当者など)にたいしては、
あくまでベンダ側自身が指揮命令を行う必要がある。

それは
労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の就業条件の整備等に関する法律
労働者派遣事業法)

に抵触しないためでもある。

請負契約でありながら
実質的には派遣として働かせて利益を得ると、
労働者派遣事業法又は職業安定法上問題とされるおそれもあるからだ。

そんなわけで、
自社の請負取引が、
適正な請負なのかどうか、
雇用に該当しないかどうかについて心配なとき
は、
以下の資料を参照され、
判断されるのがいいと思う。


もしものときのために、
リンクをはっておこう。


「派遣と請負により行われる事業の区分基準」(昭和61年労働省告示第37号)

職業安定法施行規則第4条

東京都労働局「情報サービス業に於ける請負の適正化のための自主点検表」



さて
この問題に対応した、
契約書の整備という意味で、
発注者、受注者の
立場をより明確にするような趣旨で、
以下のような条文(確認規定)を
業務委託契約中に仕込んでおく
のがいいだろう。


「本件業務に従事するベンダの従業員(以下「業務従事者」という。)の選定については、ベンダが行う。
2. ベンダは、労働法規その他関係法令に基づき業務従事者に対する雇用主としての一切の義務を負うものとし、業務従事者に対する本件業務遂行に関する指示、労務管理、安全衛生管理等に関する一切の指揮命令を行うものとする。
3. ベンダは、本件業務遂行上、業務従事者が発注者の事務所等に立ち入る場合、発注者の防犯、秩序維持等に関する諸規則を当該業務従事者に遵守させるものとする。」

ようは、
発注者の事務所での作業をする場合を想定して、
ベンダが自分の従業員を指揮命令すること
(発注者がするのではないこと)を、
条文で確認しているのである。

ぜひ参考にしていただきたい。