わかる! 使える! 契約書の基本

契約書は経営、起業・独立、副業に必須のスキルです! 自分で契約書がつくれると楽しいですよ

もしあなたが井戸を掘るなら 業務委託のトラブル防止策

オフィシャルサイトでは参考にしていただきたいビジネス契約書のサンプル集を無料でダウンロードできます。

業務委託(ぎょうむいたく)
というのは
たいへんにすぐれた契約類型である。

委託のしくみをつくれればこそ、
ビジネスはめざましく展開していく。

この考え方がなかったら、

ビジネスはなりたたない。
個人的には、
ビジネス界の大発明だと思っている。

なので、ビジネスパーソンとなれば
この契約類型はきわめなければいけない。

ところで、
民法には、
業務委託契約という類型はない。

だから業務委託契約というのは、
便宜的にそう呼ばれて通用しているだけである。

だからある会社がいうところの
業務委託契約と、
別の会社がおもっているところの
業務委託とが、
違うという可能性もあるのだ。


契約類型というはなしをだしたので、
念のため、
民法でいう契約類型とは
どういうことかというと、

たとえば「売買」ってのはこういう契約だぜ、
民法の条文で規定が書いてあるかどうかっていうはなしだ。


具体的には
どんなのがあるかというと、

贈与:ただで財産あげちゃうぜ
請負:仕事ちゃんとやりとげるから、やったら報酬をくださいね
交換:金目のものを交換しましょう
売買:あげますから金払って
消費貸借:お金貸します
賃貸借:利用料はらってくれたらなんかレンタルします。
使用貸借:ちょっと貸しますけどあとで返してね。
雇用:やとい、やとわれ。
寄託:これ預かっといてね。
組合:共同で事業やろうぜ。
和解:もう争いはおしまいだ。
終身定期金:死ぬまで定期的にお金とか面倒みるぜ。
委任:法律行為をしてやるぜ。

と、結構
いっぱいあるのだ。

それなのに
上記には、

「業務委託」という類型がはいってないことは、
みてのとおり。


ということは、
業務委託は民法でいうと、
何契約になるのか?
というはなしになってくる。


もちろん、

民法に規定がない契約、
あたらしい契約類型という可能性もある。
(非典型契約といったりする。)


もちろんそういうくくりかたをしたっていいんだが、
ただ、事実上は、業務委託と言った場合、
なにかしらのお仕事を、
相手方に頼んでやってもらう取引であるので、
上記で言うところの、
請負や委任に該当することがほとんどである。

請負:仕事ちゃんとやりとげるから、やったら報酬をくださいね
委任:法律行為をしてやるぜ。


どちらも、
だれかに依頼されて、何かしらの仕事を提供する、
という約束だからだ。

ところで、
普段は
「業務委託契約」をかわすときに、
それが民法で言うところのなんの契約なのか?
みたいな話はしないと思う。

そういう話をもちだしても、
スルーされるおそれすらある。


だが、
これらふたつの違いを知っておいて
損は無い。


自分の業務にあてはまりやすいというか、
自分にとって都合のいい方を選択する
あるいはそうなるように仕向けるのがいい。

つまり、
自社の業務にとっては、

請負と(準)委任は
どちらを選択すべきであろうか?
ということである。


ようやく本題であるが、


具体的に、
請負と(準)委任の
民法上の主なちがいをみてみよう。

まず、
仕事の完成義務があるかないか
という点がもっとも際立った違いだ。

つまり請負では、
業務を請負った人(受託者)は
仕事(受託業務)の完成の義務を負うのだ。

これにたいして、
(準)委任では
受託者は、
「善良な管理者の注意をもって委任事務を処理する義務」
は負うものの、
「仕事の完成」についての義務は、負わない。

すこしむずかしい言い方になっちゃったが、
完成させるということを約束するか、
せっせと働くこと自体を約束するかの違いである。

請負契約の方が、
結果主義の職人気質な感じがする。
がんばったかではなく、
あくまでも結果で判断されるのだ。

そんなわけだから、
請負に馴染むのは、

業務に着手する前の段階で
完成品(成果物)の内容が具体的に特定できる場合だ。

設計だとか、
家の建築(工事完了)だとか、

ホームページにしても完成形をはっきりさせられるものにかんしては、
請負で契約できる、
請負になじみやすいタイプのしごとだといえる。

逆に、
システム化の計画コンサルティングだとか、
なんらかの仕事を要件定義する段階の業務とか、
業務の完成が具体的に確定しておらず、
あるいはとりかかった段階では成果物が明確化できない性質のもの
は、
請負には馴染みにくく、
(準)委任が適切だろう。

これを請負でやろうとすると、
概念的には
いつまでたっても履行完了とならないおそれがあるからだ。



たとえば井戸を掘る仕事を
あなたが依頼されて、
依頼主と
業務委託契約をかわしたとしよう。

あなたは一生懸命井戸を掘ったのだが、
結果的に水がほとんど出なかったとする。

あなたは
手間賃をもらえるのだろうか?
もらえないのだろうか?


考えてみてほしい。





さて
完成義務の違いがあるということは、
瑕疵担保責任の有無もうまれる。
これも両者の特徴的な違いである。


請負では、
「仕事の完成義務」を負うわけだから、
完成されたものとして引き渡された成果物に
瑕疵があった場合、
無過失責任としての瑕疵担保責任を負う 。

すなわち、
このような場合民法(第634条乃至第640条)によれば、
注文者は修補や損害賠償を請求することができることになる。

また、
瑕疵により
契約の目的を達成することができないときは
契約を解除することができる。

これに対して、
(準)委任の場合は、
仕事の完成義務はないので、
請負のような瑕疵担保責任を負うことはない。

まあなにも責任がないというわけではなくて、
瑕疵担責任はないかわり、
事務処理に関して
善管注意義務違反」があったとら、
債務不履行責任
(不完全な履行を完全なものにすること や
損害賠償責任など)
を負うとされている。

請負と準委任には、
このような
法律上のちがいがある。

もちろん、
契約書に規定を設けることで、
自社の取引にあわせて
民法や商法の規定を修正することは
原則として可能
な場合が多い。

それとて、
まずは両者の違いを把握していないと、
調整のてがかりもつかみにくいだろう。

いちばんこわいのは、
業務委託契約をしたのはいいが、
肝心なところで請負型なのか
委任型なのかで、
結論がわかれるような場合である。

成果物の完成義務などは特に、
期待の擦れ違いが生じ、
いったとかいわなかったとかいう、
トラブルに発展しやすいからだ。

そうなると、
委託料の問題にも発展するかもしれない。

このように、
あるお仕事の依頼が、
請負契約なのか、
(準)委任契約なのかは、

実は結構重大な問題なのである。

あなたが井戸掘りをまかされたときに備え
ぜひ参考にしていただきたい。