契約書業務マニュアル

平成15年から契約書だけをつくり続けてきた契約書専門の行政書士

そもそも契約とはなにか?

そもそも「契約」とはなにか? 
といえば、

法律的な約束ということになる。

たとえば
A社がB社から材料を100個購入する、
と約束をしたとき、
法的にはこれを「A社とB社との間に、売買に関する契約が生じている」
というぐあいに考えるわけだ。

ごくかんたんに
成立過程をかんがえると

①申込み   「材料を買いませんか?」という意思表示
②承諾    「材料を買います」という意思表示

のようなステップで
成立するといわれる。

つまり意思表示のやりとりだけで
契約は成立するということがわかる。

もちろん交渉の過程があったり、
意思表示しないまでも事実上約束が存在したとか、
研究の余地があるけれど、

基本的には、
意思表示が合致すれば、
「合意」が形成されるとかんがえる。

そうやって意思表示が合致した結果、
拘束力ある契約になるというので、
これを意思主義(Will Theory)といったりする。

形式論ではなく、まずは当事者の意思で、
契約を成立させることをみとめている。

じゃあ契約が成立すると、
どうなるのか?
というと、
これも法的にいえば
当事者間に債権及び債務が発生する。

つまり法的な意味で、
当事者たちは
義務を負い、
権利を取得する。

そもそも原則として
「契約は守らなければならない。」
わけなので、

もし契約の当事者
が、
特に理由も無く債務の履行をしなかった場合は、
裁判所(国家)による解決もあり得ることになる。

これを現実的履行の強制といったりするけれど、
契約解除の問題やら、
損害賠償といった、
民法上の「効果」もうまれるわけだ。

つまり、約束が契約として成立したからには、
法律の土俵にはいってくるよ、
というかんじだ。


口約束も契約の一種といえるのは、
こういうりくつがあってのこと。

契約にならない口約束も、
当然ながら存在する。

あまりにもばかげた約束とか、
嘘や冗談や社交辞令は、
契約になりえない。

心裡留保とかなんとか、
ロジックはともあれ、
ようするに社会常識で、
契約か、そうでないかは判断される。

でもビジネスで、
都合よく前言をひるがえされると、
こまったことになる。

売った買ったの口約束は、
どこかで責任ある契約にきちんと
着地させてもらわないと、
売主はたまったものではない。

契約書は、
約束がれっきとした契約であることを
客観的に示すための、
非常にすぐれたツールなわけだ。