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わかる! 使える! 契約書の基本

契約書は経営、起業・独立、副業に必須のスキルです! 自分で契約書がつくれると楽しいですよ

談合事件の事例 (請負い系の契約書の起案に結構重要)

オフィシャルサイトでは参考にしていただきたいビジネス契約書のサンプル集を無料でダウンロードできます。

ほんとにこういうのあるんだなっていう
談合にまつわる事例。


契約書でも、
違法行為があったら解除するよっ
あるいは損害賠償請求するよっていう条項は、
よくある。

だから、その根拠となる事件にからむ判例と言う読み方ができる。


ようは、
談合によって地方公共団体が被った損害の賠償の請求
という住民訴訟。


民訴法248条を適用して
各工事の落札価格の15%相当額の損害金の支払いを請求

例によって、
少し長いので何回かに分けて掲載します。


---

主 文
1 被告は,別紙2相手方一覧表の相手方欄記載の各相手方に対し,それぞれ同相手方一覧表の認定額欄記載の金額及びこれに対する平成21年6月6日から支払済みまで年5分の割合による金員を熊取町に支払うよう請求せよ。

2 原告らのその余の請求を棄却する。

3 訴訟費用は,これを3分し,その1を原告らの負担とし,その余
を被告の負担とし,補助参加によって生じた費用は,これを3分し,
その1を原告らの負担とし,その余を被告補助参加人らの負担とす
る。


事 実 及 び 理 由

第1 請求


被告は,別紙2相手方一覧表の相手方欄記載の各相手方(以下,併せて「本件
相手方ら」といい,同相手方一覧表の番号1から23までの相手方を併せて「本
件建設業者ら」という。また,本件相手方らについては,それぞれ同相手方一覧
表の略称欄記載の略称を用いる。)に対し,それぞれ同相手方一覧表の請求額欄記
載の金額及びこれに対する平成21年6月6日から支払済みまで年5分の割合に
よる金員を熊取町に支払うよう請求せよ。


第2 事案の概要
1 事案の骨子
本件は,熊取町の住民である原告らが,平成15年4月1日から平成20年
3月31日までの間に熊取町が発注した別紙3工事一覧表記載の157件の
公共工事(以下「本件請求対象工事」という。)に関し,熊取町の地元建設業
者によって組織されるA協同組合(以下「本件組合」という。)の理事であっ
た p1 及び p2 の主導により,本件建設業者ら(2個人を含む23者)の談合が
行われた結果,熊取町が損害を被ったとして,同町の執行機関である被告に対
し,地方自治法242条の2第1項4号に基づき,本件相手方らに対して不法
行為に基づく損害賠償請求をすることを求めた住民訴訟である。
2 前提となる事実(当事者間に争いのない事実並びに証拠及び弁論の全趣旨に
より容易に認定することのできる事実。なお,書証番号については特に断りの
ない限り枝番号を含む。また,当事者間に争いのない事実については認定根拠
を付していない。)


(1) 当事者等

ア 原告らは,いずれも熊取町の住民である。

イ 被告は,熊取町の町長であり,同町の執行機関である。

ウ 本件組合は,中小企業等協同組合法に基づき,昭和61年1月14日に
設立された事業協同組合であり,平成3年4月頃に官公需適格組合の証明
を受け,熊取町内の建設業者によって構成されていた。
本件組合は,平成20年3月22日,総会の議決により解散し,平成2
1年12月7日に清算結了し,同月22日にその登記簿が閉鎖された(弁
論の全趣旨)。

エ 本件建設業者らは,いずれも建設業を営む法人又は個人であり,本件組
合の加入業者であった者である。
オ p1 は,本件組合の設立当初は本件組合の専務理事,設立から2,3年後
から平成21年3月頃までは代表理事の立場にあった者であり,平成20
年5月2日以降,B建設の代表取締役の立場にある者である(甲4,5,
丙B3,弁論の全趣旨)。
カ p2 は,本件請求対象工事の入札が行われた各時期において,本件組合の
専務理事であった者であり,C組の代表者の子で同社の仕事に関与し,ま
た,D組の取締役を務めていた者である(甲4,丙A8,弁論の全趣旨)。
(2) 熊取町における指名競争入札の方法等

ア 本件組合加入業者に対する評点加算
熊取町が発注する公共工事に係る指名競争入札の参加資格に関し,平成
11年5月頃,熊取町建設工事等請負業者資格審査要領が改訂され,本件
組合の加入業者に対しては,経営事項審査の評点(以下「経審点」という。)
を200点加算することとされた。熊取町発注の公共工事を受注できる建
設業者の格付けには,AからDまでの4段階のランクがあり,建築一式工
事の場合,熊取町建設工事等請負業者資格審査要綱上,8億円以上の工事
についてはAランク(評点1500点以上),1500万円以上8億円未満
の工事についてはBランク(評点900点から1499点まで),300万
円以上1500万円未満の工事についてはCランク(評点800点から8
99点まで),300万円未満の工事についてはDランク(評点799点以
下)との格付けによって入札参加資格が定められていたところ,上記の経
審点加算により,本件組合加入業者はいずれもBランク工事の入札参加資
格を有することとなった(甲4,11,弁論の全趣旨)。
イ 最低制限価格の公表
熊取町は,平成15年4月から,熊取町実施の指名競争入札において,
最低制限価格の事前公表を開始した。また,予定価格については,事後に
公表することとした(弁論の全趣旨)。

(3) 本件請求対象工事に係る入札の実施等
熊取町は,平成15年4月1日から平成20年3月31日までの間に,別
紙3工事一覧表記載のとおり,本件請求対象工事(建設工事,道路工事,下
水道工事等)について,指名競争入札の方法により157件の入札を行い,
入札の結果,同一覧表の業者名欄記載の建設業者が,同一覧表の落札価格欄
記載の金額でそれぞれ落札した。熊取町は,落札した各建設業者に対して本
件請求対象工事を発注し,上記落札価格欄記載の金額に消費税を加算した金
額を工事代金としてそれぞれ支払った。
なお,熊取町においては,上 記157件の本件請求対象工事のほか,平成
15年4月1日から平成20年3月31日までの間に,指名競争入札の方法
により132件の公共工事に係る入札が行われた(甲13,弁論の全趣旨)。

(4) 熊取町営E住宅建替工事(第2期)(以下「E住宅第2期工事」という。)
に関する入札談合事件の経緯等

ア 大阪府警察は,E住宅第2期工事に係る指名競争入札に関する談合(以
下「E住宅第2期工事談合」という。)を被疑事実として,平成19年10
月,p1,p2,本件組合の事務職員であった p3 及び当時B建設の代表取締役
であった p4 を逮捕し,大阪地方検察庁は,同年11月9日,上記4名を刑
法96条の3第2項の談合罪で大阪地方裁判所に起訴した(甲3)。

イ 大阪地方裁判所は,平成20年3月28日,談合罪により,p1 に対し,
懲役1年6月,4年間執行猶予の判決を,p2 に対し,懲役1年2月,3年
間執行猶予の判決を,p3 に対し,懲役10月,3年間執行猶予の判決を,
p4 に対し,懲役10月,3年間執行猶予の判決をそれぞれ言い渡し,同判
決は,控訴期間の経過により確定した(甲6,弁論の全趣旨。以下,E住
宅第2期工事談合に関する上記刑事手続を「本件刑事事件」という。)。
上記判決において認定された罪となるべき事実は,以下のとおりである。
「被告人 p1 は,建築工事等を業とするB建設株式会社(以下「B建設」と
いう。)を実質的に経営し,同社が組合員として加入する建築工事の共同受
注等を業とするA協同組合(以下「組合」という。)の代表理事であったも
の,被告人 p2 は,組合の専務理事であったもの,被告人 p3 は,組合の事
務責任者であったもの,被告人 p4 は,B建設代表取締役であるが,大阪府
泉南郡熊取町が平成18年8月22日を入札日として執行する「熊取町営
E住宅建替工事(第2期)」の指名競争入札に関し,その指名通知を受けた
B建設に落札させようと企て,同入札の指名通知を受けた株式会社F工務
店代表取締役 p5 ほか指名業者3社の代表取締役ら数名と共謀の上,公正な
価格を害する目的で,同工事の指名競争入札に際し,同月21日ころから
同月22日までの間,同町 a○丁目△番×号所在のB建設事務所内及び同
町 b◎丁目■番▽号所在の熊取町役場付近において,B建設に同工事を落
札させることで合意するとともに,上記株式会社F工務店ほか3社の入札
金額をB建設の入札金額を超える金額とする旨協定し,もって入札の公正
な価格を害する目的で談合したものである。」


(5) 監査請求及び本件訴訟の提起
ア 原告らを含む21名の熊取町の住民らは,平成21年3月3日,熊取町
監査委員に対し,平成15年度(平成15年4月1日から平成16年3月
31日までの期間をいう。以下同様。)から平成19年度までに行われた指
名競争入札のうち,本件組合に所属する建設業者が落札した186件に関
して談合が行われ,熊取町に損害が生じたとして,建設業者らに対する損
害賠償請求等の必要な措置を請求することを求める住民監査請求を行った
(甲1)。
これに対し,熊取町監査委員は,平成21年5月1日,監査請求の対象
となった工事について談合が行われ,熊取町に損害が発生している可能性
を排除することはできないものの,その損害賠償請求額の算定は極めて困
難であることなどを理由に,上記監査請求を棄却した(甲2)。
イ 原告らは,平成21年5月28日,本件訴訟を提起した(顕著な事実)。


第3 争点

本件の争点は次のとおりである。

1 本件請求対象工事に係る談合行為の有無
2 熊取町に生じた損害の有無及び額
3 過失相殺の可否及びその割合


第4 争点に関する当事者の主張
1 争点1(本件請求対象工事に係る談合行為の有無)について


【原告らの主張】

(1) 談合事件における立証の程度について
原告らは,本件において,被告及び被告補助参加人らがいうところの「基
本的・抽象的合意」等というものを主張したこともないし,個々の本件請求
対象工事についてそれぞれ受注予定業者の決定がされたこと,個別の話し合
いにおいて決定された受注業者,入札において予め決定された受注業者が落
札したことについては主張立証を行っている。
談合に基づく損害賠償請求事件においては,個別の談合行為の正確な日時,
場所,内容を主張立証する必要はない。談合行為を実行する関係者が,個々
の工事に係る個別具体的な談合行為の存在を明確に示すような証拠を残して
おくことは通常考えられず,個別の談合行為の存在は,様々な間接証拠及び
間接事実によって合理的に推認できる範囲でその存在を認めることができれ
ば足りるというべきだからである。
そして,談合行為は,落札者の決定が複数関与者の協議によるものであり,
特定関与者間で談合行為が繰り返されるということを本来的な特質としてい
るのである。したがって,談合は単独では存在し得ず,談合が1件あるとい
うことは,そのグループの関与する入札は全て談合であるとの推定がなされ
るといっても過言ではない。
本件においては,以下に述べるような事情に照らし,本件請求対象工事に
おいて談合が行われたことは十分に推認されるというべきである。


(2) 本件組合における談合の方法について
本件刑事事件の判決確定後,原告らが本件刑事事件の判決書や確定記録を
入手したところ,E住宅第2期工事談合のほか,熊取町の公共工事の入札に
おいて,本件組合が,昭和61年の設立当初から,恒常的に自ら率先主導し
て談合行為を行ってきたことが発覚した。

すなわち,本件組合では,熊取町発注の建設工事等を,
予め定めた順番に従って順次落札し,
2巡目からは落札金額が低かった業者㠁‹ã‚‰é †æ¬¡è½æœ­ã™ã‚‹ã¨ã„うルールを定め,
組合員が均等に落札できるようにする一方,
チャンピオンと呼ばれる落札予定業者は,
町役場の担当部署に行き,
積算書類等を示しながらその示唆を得て
設計金額を探り出し(以下「ボーリング」という。),
これを基に予想される入札予定価格に近い入札金額を決め,他の指名業者にはこれよりも高額の入札金額を決めてこれで入札するように指示し,
あるいは,
各指名業者が提出する参考内訳書(工事見積書のまとめに相当する。甲4の1参照。)の原案を渡すという方法での談合を繰り返していたのである。
本件で問題となっている談合行為は,
本件組合が主導してきたものであり,
p1 及び p2 は,それぞれ本件組合の理事長,専務理事として,
いわゆる星取り表を作成するなどして,
持ち回りでチャンピオンを決める談合システムを運営してきた。


(3) 各談合行為の存在について
平成15年4月1日から平成20年3月31日までの間に熊取町が発注し
た公共工事(合計289件)のうち,別紙3工事一覧表記載の157件の建
設工事,道路工事,下水道工事等(本件請求対象工事)について,談合が行
われた。本件請求対象工事は,本件組合の構成員である建設業者が落札した
工事のうち,落札率(入札予定価格に対する落札価格の割合をいう。以下同
じ。)が95パーセントを超えるもの及び落札率が95パーセント以下であっ
ても,E住宅第2期工事に関する本件刑事事件の捜査過程において,p1,p2
らが談合行為の存在を認めた工事である。これらの工事に関する入札の結果,
別紙3工事一覧表記載のとおり,本件建設業者らがそれぞれ落札し,熊取町
とそれぞれ契約を締結し,熊取町は,同一覧表の落札価格欄記載の金額に消
費税を加算した額を工事代金としてそれぞれ支払った。


(4) 本件請求対象工事に係る談合の存在を示す事実等について
ア 本件刑事事件に係る捜査及び公判において,関係者が恒常的な談合の存
在を認めていること

本件刑事事件の関係者(p1,p2,p3,p4,p6,p7)は,E住宅第2期工
事以外にも恒常的に談合行為が行われていたことを認めており,恒常的談
合の事実を疑う余地はない。特に,談合の中心的役割を果たした本件組合
の代表理事であった p1,本件組合の専務理事であった p2,本件組合の事
務責任者であった p3 の供述内容は重要である。
また,本件刑事事件の判決においても,本件組合は談合を繰り返してき
た旨の事実が認定されており,同判決は控訴されることなく確定している。

イ 熊取町が自らの調査に基づき,E住宅第2期工事以外の工事についても
談合があったことを認めていること
本件請求対象工事の発注者である熊取町は,自らの調査結果を踏まえ,
平成19年11月12日,E住宅第2期工事の談合に関与した本件組合に
対して2年間,同工事を落札したB建設に対して2年間,同工事における
B建設以外の入札業者に対して6か月間の指名停止措置を講じるとともに,
本件組合に加入する他の建設業者18社(本件における被告補助参加人ら
を含む。)に対して3か月間の指名回避措置を講じており(甲9),本件組
合の主導でE住宅第2期工事に関する談合が行われたことのみならず,そ
れ以前から談合が行われていたことを明らかにした。

ウ 談合発覚前後の落札率の顕著な差
E住宅第2期工事談合が平成19年10月に発覚したため,それ以降は
談合ができなくなり,公共工事は自由な指名競争入札になった結果,平成
19年度の工事のうち同年10月以降の公共工事の落札率は平均76.7
パーセントとなった。また,平成20年度の公共工事の落札率は,最低制
限価格が設定されたものについて,平均80.9パーセントとなった。
このように,自由な指名競争入札になって以降の落札率は,本件請求対
象工事の落札率がほぼ95パーセント以上であったことと比較し,劇的に
低下したのである(甲12から15まで)。

エ 賦課金の徴収
本件組合の加入業者は,加入時に入会金170万円,出資金330万円
の合計500万円を支払い,会費として月2万円,公共工事を落札した場
合には,落札金額の1パーセントを賦課金として本件組合に支払うことが
取り決められていた。加入業者がこのような負担をしてまで本件組合に加
入するのは,談合により大きな利益を得るためであり,また,落札金額の
1パーセントの賦課金を支払うのは,本件組合主導による指名業者間の談
合のおかげで落札できたことに対する報酬を意味するものである。
被告補助参加人らは,賦課金徴収の趣旨について,経審点200点加算
の対価であるとするが,そうであれば,それは入札機会の拡大の対価であ
るから,各業者一律の年会費とすべきである。にもかかわらず,賦課金が
実際の落札価格に対する割合となっているのは,談合が成立して落札価格
が入るからである。

オ 談合事件発覚直後の本件組合の解散
平成19年10月にE住宅第2期工事に関する談合事件が発覚し,その
わずか5か月後に本件組合の解散決議がされている。
本件組合が組合員の技能の向上等の正当な目的を実現する組織であれば,
談合事件が発覚したからといって解散する必要は全くない。要は,長年に
わたり本件組合が談合の中心的役割を果たし,各組合員は談合による利益
を享受していたところ,E住宅第2期工事に関する談合事件の発覚により,
本件組合が以後談合の主導的役割,組合員間の調整機能を果たすことがで
きなくなり,組合員も何ら利益を享受できなくなることが明らかになった
ため,本件組合の存在意義がなくなって解散したのである。

カ いわゆる見え見え談合について
例えば,平成16年7月2日に入札が実施された公面汚水官渠第16-
3工区布設工事(別紙3工事一覧表番号48)をみると,落札価格と最高
入札価格との差は1.6パーセントの範囲内であり,極めて近接した価格
の中で14業者が入札している。この工事㠁«ã¤ã„て,落札業者であるG工
務店は,積算した実行価格に,予測し得ない障害要因に備えた12パーセ
ントから15パーセントの極めて大雑把な利益を上乗せして算出して入札
価格としているとのことであるが,その大雑把な価格が,他の業者の算出
金額と極めて近接するなど,あり得ないことである。
この他にも,別紙3工事一覧表記載の本件請求対象工事の中には,同じ
く落札価格と最高入札価格の差が極めて近接した範囲内であったり,全て
の入札が予定価格を超える高額な価格でされたりするなど,談合が見え見
えと思われるものが多く存在する(甲24)。

キ 非組合員の参加した入札について
別紙3工事一覧表記載の工事には,非組合員であるH及びIが入札に参
加している工事が4件(番号60,115,155,157)存在するが,
上記2業者は町内業者であり,本件組合あるいはその組合員の影響力が及
ぶ業者であるから,これらの業者が参加した入札においても,組合業者の
みが参加する入札と同様,談合が行われていた。

すなわち,上記4件の工事についての各業者の入札額は,落札価格から
数パーセント以内に集中しており,談合の存在が強く推認される。
【被告及び被告補助参加人らの主張(なお,被告は本件各談合行為の有無につ
いては不知と認否しており,この点に関する主張は被告補助参加人らの主張に
基づく。)】

(1) 談合事件における立証の程度について
競争入札において,事前に受注予定業者を決定していたことを主張して発
注者が入札参加業者に対して損害賠償を請求するためには,請求原因事実と
して,基本的・抽象的な談合の合意のみならず,個々の工事について,それ
ぞれ受注予定業者の決定がされたこと,個別の話し合いにおいて決定された
受注業者,入札において予め決定された受注業者が落札したことを主張立証
しなければならない(東京地判平成14年7月15日(平成6年(ワ)第183
72号)参照)。

しかしながら,原告らが談合行為が存在する根拠とするところは,①本件
組合は談合を目的として作られたものである,②本件刑事事件における供述
調書に,恒常的に談合があった旨の記載がある,③そもそも談合そのものが
特定関与者間で繰り返されるということを本来的な特質としているのである
から,談合が1件あればそのグループの関与する入札は全て談合であるなど
というものであって,以下に述べるとおり,いずれの根拠によっても,個々
の談合の存在を立証し得ないことは明らかである。

(2) 本件刑事事件記録について
本件組合は,談合を行うことを目的としていたものではなく,組合員の参
加した入札において恒常的に談合が行われていたということはない。
原告らの主張は,本件刑事事件記録である関係者の各供述調書に基づくも
のと思われるが,いうまでもなく,これらの供述調書はE住宅第2期工事談
合を立証するために作成されたものであり,本件組合の設立経緯や関係者の
加入目的等に関する供述は背景事情に関する供述にすぎない。E住宅第2期
工事談合に関する供述調書の中の抽象的かつ一般的な文言を捉えて,過去の
個々の入札行為について談合の存在を推測することは不当というほかない。
加えて,供述調書はいずれも取調官の作文であり,とりわけ身体拘束下に
おける被疑者の供述調書についてそのまま信用性を付与できるものではない。
本件刑事事件記録においても,供述者の認識と異なる事実が検察官のストー
リーに沿うように記載されており,信用性がない。

(3) 落札率の差について
原告らは,E住宅第2期工事談合が発覚した平成19年10月の前後にお
ける落札率の差をもって談合が存在したことの根拠とするが,平成19年1
0月の前後で社会の景気動向は異なっている。すなわち,平成16年から平
成18年頃は景気の拡大期であり,材料費,人件費ともに高値であったため,
工事予算は必然的に高額とならざるを得ず,最低制限価格ではとても利益が
出ない状況にあった。ところが,平成19年以降,国内の景気は急激な後退
傾向となり,現在もそれは回復するに至っていない。
また,平成19年10月の談合発覚以前は,熊取町発注のBランク工事に
おいて町外業者が指名されることはなかったため,談合の有無にかかわらず,
現実問題としてさほど競争が熾烈とはならないという状況があったが,談合
発覚後,熊取町は本件組合に加入していたほとんどの町内業者を指名停止あ
るいは指名回避としたため,これをチャンスと見た町外業者が軒並み最低制
限価格での入札を行い,以後,熊取町発注の工事では最低制限価格での入札
でなければ落札できない状況となっている。

そもそも,予定価格は,会計法29条の6,予算決算及び会計令79条,
80条によって,取引の実例価格,需給の状況,履行の難易,数量の多寡,
履行期間の長短等を考慮して適正に定めなければならないとされており,現
場の条件に照らして最も妥当性がある標準的な工法で施工するのに必要な価
格となっている。したがって,いかに企業努力を行っても,入札額が予定価
格を大きく下回ることはできず,正常な自由競争が行われていれば,落札額
が予定価格から大きく外れることはないのであって,95パーセント前後の
落札率はまさしく自由競争が行われていた証左である。現在の熊取町におい
て,最低制限価格に近い額で落札される状況が続いているというのは,正常
な競争が行われていない異常な状態というべきである。


(4) 賦課金の徴収について
本件組合は,加入組合員が200点の経審点加算という利益を享受してい
ることに鑑み,落札した際に組合運営費として1パーセントの賦課金を徴収
しているにすぎない。

本件組合は,事務所を設置し,事務員も雇用していたことから,その運営
には当然に日常経費が発生する。そのため,本件組合運営のために賦課金と
いう名目で運営費を徴収することは極めて自然なことで ある。仮に,各業者
一律に同額の経費を負担させるような制度とした場合には,たまたま年間を
通じて公共工事を落札しなかった業者や,小規模な工事しか落札しなかった
業者まで大きな利益を上げている業者と同額の経費を負担することになり,
かえって不公平な結果となることは明らかである。
なお,G工務店は,落札した3件の工事につき賦課金を徴収されていない。
(5) 談合事件発覚後の本件組合の解散について
E住宅第2期工事談合が発覚した約5か月後に本件組合が解散した点につ
いては,本件組合を舞台とする談合事件が発覚した以上,熊取町の本件組合
に対する信頼は失墜し,また,本件組合の存続は社会的責任という意味でも
適切ではなかったことから解散したものであり,本件組合が解散したことを
もって,恒常的な談合の存在を推認するのは論理の飛躍というほかない。
また,G工務店については,本件組合の解散決議に反対していたのである
から,G工務店が本件組合を利用して恒常的談合を行ったと認定することは
できない。

(6) 非組合員の参加した入札について
別紙3工事一覧表記載の工事のうち,番号60,115,155,157
については,本件組合の組合員ではないH,Iが入札に参加している。いう
までもなく,談合が功を奏するためには,入札に参加した業者の全員で価格
調整を行う必要があるのであって,非組合員が参加する入札においては,い
くら組合員間で価格調整を行っても,非組合員である業者の協力がなければ,
受注予定者を定める仕組みが成就しないことになるのであるから,不法行為
は成立しない。この点につき,原告らは,非組合員である業者らに対する具
体的な協力依頼の事実等について何ら主張立証をしない。


【G工務店の主張】
G工務店は,入札までの間に,現場説明会において交付される設計図書を詳
細に検討し,自社の過去の施工実績,市場の状況に照らして当該工事について
予想される実行予算(実際にかかるであろう経費をいう。)を入念に積算して
いる。

そして,入札価格は,かかる実行予算に企業の利益活動として是認され
る範囲の僅かな利益を乗せて決定している。

また,時には,工事実績を作ることを第1目標として,
利益を度外視し実行予算ぎりぎりの価格で入札を行ったこともある。

このように,G工務店は独自の積算によって入札価格を決定しているのであ
り,談合によって高い入札価格を設定したということはない。G工務店は,熊
取町職員に一切知己がないため,自らボーリングを行うことは不可能であり,
本件組合の理事やその他の加入業者に頼んでボーリングを行ってもらった事
実も一切ない。