わかる! 使える! 契約書の基本

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グリーとディー・エヌ・エー “釣りゲーム” をめぐる戦い 8

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イ トップ画面について
原告作品と被告作品のトップ画面は,タイトルが記載されていること,湾の形を
した釣り場全体を描いたイラストの下に釣り場選択画面へのリンクが貼られている
こと,日誌画面,攻略法画面,釣具画面及びショップ画面へのリンクが配置されて
いること,イベント等告知画面へのリンクや特定のユーザーの紹介画面へのリンク
が配置されていること等の点において共通している。
しかし,ゲームのトップ画面にタイトルやイラストが記載されることは,ありふ
れたものといわざるを得ないし,携帯電話機用釣りゲームにおいて,釣り場選択画
面へのリンクが配置されるのも,釣りゲームの展開上,ありふれたものである。ま
た,日誌画面,攻略法画面,釣具画面及びショップ画面へのリンクの配置について
も,釣りゲームにおけるユーザーの主要な行動パターンとして,釣具を購入するな
どして装備し釣りをすること,釣りの記録を見ること,釣りに関する情報(釣り方
や攻略法)を知ること及び伝えることがあり,それが現実の釣り人の基本的な行動
パターンと共通することに照らすと,上記「日誌」,「攻略法」,「釣具」及び「シ
ョップ」へのリンクを,携帯電話機向けウェブページのトップ画面にまとめて配置
することは,利用者がよく利用するページへのリンクを上方にまとまりよく配置す
るという利用者の便宜を考慮した,ありふれたものといわざるを得ない。なお,原
告作品と被告作品とでは,上記タイトル,イラストや各リンクの具体的な文言,図
柄,配置等が異なっているなど,具体的表現において多数の相違点が存在する。

ウ 釣り場選択画面について
原告作品と被告作品の釣り場選択画面は,海の側から釣り場のある湾を上空から
の視点で,海と山を描き,砂浜は白砂で,海面に白波を立たせ,灯台を置いたイラ
ストに,釣り場の名前が合計4つ配置されていること,ユーザーが行ける各釣り場
の名称に貼られた各釣り場のキャスティング画面へのリンクと,ユーザーが行けな
い釣り場の名称が,並べて配置されていること,「釣りの準備をする」として,釣
具えらび,釣具を買う,攻略を見る及び魚の釣り方のリンクが配置されていること,
「釣り場情報」として,各釣り場のイラスト・名称や,「キャスティング画面」へ
のリンク,その釣り場で大きい魚を釣ったユーザーのランキングを示す画面へのリ
ンク,攻略・雑談掲示板の画面へのリンクなどが配置されていること等において共
通する。

しかしながら,釣り場をイラストにより掲載することはアイデアにほかならず,
両作品の釣り場選択画面のイラスト自体は全く異なるものである。また,複数の釣
り場の中から釣り場を選択して釣りをするゲームにおいて,釣り場のある湾を上空
からみたイラストで表示することや,釣り場に山,白砂,白波及び灯台を表すこと
は,他の釣りゲームにおいても多数存在する,ありふれたものである。また,原告
作品は,一般的な海釣りの釣り場のうち,港や防波堤,砂浜,小磯周り及び河口の
各釣り場を,ひめみ港,すさの浦,つるぎ岬及びかがみ橋という4つの釣り場で表
現しているのに対し,被告作品は,海釣り施設,港や防波堤,砂浜及び小磯周りに
対応する釣り場を,はまな公園,あさしお堤防,みかづき浜及びしまかぜの磯とい
う釣り場に対応させて設置しているところ,これらの釣り場は,いずれも,海釣り
の釣り場として一般的に想定される釣り場であり(乙17,36),釣りの経験を
積むにしたがって,海釣り施設,防波堤,砂浜,そして磯へと,より難易度の高い
釣り場にチャレンジしていくことは釣り人の常識である。
また,釣具えらび,釣具を買う,攻略を見る及び魚の釣り方のリンクの配置も,
釣りゲームにおけるユーザーの具体的な行動パターンに合致する,ありふれた配置
である。

SNSのようなコミュニティサイトにおいて,特定のトピックごとに掲示板を備
え,トピックに興味関心を持ったユーザーが自由にコメントを書いていくことが一
般的に行われ,攻略掲示板や雑談掲示板を設けること自体は,ゲームの攻略サイト
や携帯電話機向けのウェブページ閲覧機能を用いるゲームでは一般的に行われてい
るものであることは,前記(1)エ認定のとおりである。また,ランキングを設けるこ
と自体はアイデアであり,また,前記(1)ウ認定のとおり,コレクションゲームにお
いてユーザーが収集を行う場所別のランキングを設けるものも複数存在する。これ
らのことからも,掲示板やランキングを設けることや,それらのリンクを配置する
ことは,ありふれたものというべきであり,また,その具体的な掲示板の画面やラ
ンキングの画面の表現も,異なっている。

エ キャスティング画面について
原告作品(海の釣り場の場合)と被告作品のキャスティング画面は,釣り人の姿
は表示されないが,釣り人からの目線で,画面の上段に空,中段に水面,下段に釣
り人の立っている場所が表現されていること,キャストする目標を指し示すマーク
が決まった動きをし,ユーザーが決定キーを押すと,釣り竿を振る動きがアニメー
ションで表現されるとともに,その箇所にルアー又は仕掛けがキャストされること
において,共通する。

しかし,いかなる視点から画面を描くかはアイデアの範疇に属する上,釣り人の
視点で釣り場を描いた釣りゲームも存在する(乙110,135)。また,その具
体的表現には,イラスト,キャストする場所を示す矢印,釣り竿の表示及びキャス
トしてから魚が餌等に食いつくまでの影像,魚が釣り針にかかったことを示す文字
の表示等,印象的な画面において多数の相違点が存在する。
オ 魚の引き寄せ画面について
原告作品と被告作品の魚の引き寄せ画面については,前記1のとおりである。な
お,原告作品のキャスティング画面から魚の引き寄せ画面への遷移は,従前の釣り
ゲームに同様のものが存在するのに対し,被告作品においては,魚影の現れ方等,
具体的表現が異なる。

カ 釣果画面(釣り上げ成功時)につい㠁¦
原告作品と被告作品の釣果画面(釣り上げ成功時)は,画面最上部に,釣り上げ
た魚のイラスト,名前,大きさ,評価を示す「☆」印,釣果記録のポイントが記載
されていること,もう一度釣る画面へのリンクや釣具,ショップ,攻略法や日誌の
各画面へのリンクが配置されていることにおいて共通する。
しかしながら,釣り上げた魚のイラスト,名前,大きさ,ユーザーが当該魚を釣
ることによって獲得したポイントの全部又は一部を表示することが,他の釣りゲー
ムにも存在することは,前記(1)ウ認定のとおりであり,ありふれたものである。そ
して,両作品の具体的表現は異なっている。また,トップ画面以外にも,釣具の装
備や購入,釣りの記録を見たり,釣り方を知り,釣りの攻略法を知り,伝えたりす
るといった目的を達するためのリンクを配置することは,利用者の便宜を考慮した,
アイデアというべきものである。

キ 釣果画面(釣り上げ失敗時)について
原告作品と被告作品の釣果画面(釣り上げ失敗時)は,「?」印を中央部に付し
た魚影の影像,釣り上げに失敗した魚の種類とおよその大きさを表示していること,
キャスティング画面,釣り場選択画面,釣具,ショップ及び攻略法の画面へのリン
クを配置していることにおいて共通する。
しかしながら,コレクションゲームにおいて,収集に失敗した対象物の名称,お
よその大きさ,対象物の影像や,「?」を表示するものが存在することは,前記(1)
ウ認定のとおりであり,実際の釣りの場面での釣り人の行動を反映したありふれた
ものである。また,トップ画面以外にも,上記リンクを配置することは,アイデア
というべきものである。

ク 本質的な特徴の直接感得について
以上のとおり,被告作品の画面の変遷並びに素材の選択及び配列は,アイデアな
ど表現それ自体でない部分又は表現上の創作性がない部分において原告作品のそれ
と同一性を有するにすぎないものというほかなく,また,具体的な表現においては
相違するものであって,原告作品の表現上の本質的な特徴を直接感得することはで
きない。

ケ 第1審原告の主張について
(ア) 第1審原告は,非主要画面においても類似点が多数存在するものであり,
主要画面の遷移の共通性とあいまって,被告作品から原告作品の表現上の本質的な
特徴を直接感得することができる旨主張する。
しかしながら,第1審原告は,他方において主要画面の共通性を強調しているの
であり,それが翻案といえないことは,前記のとおりである。そして,第1審原告
が上記非主要画面において類似点であると主張する点も,単なるアイデアであるか,
又はありふれたもので創作性のない部分であり,非主要画面の素材の選択と配列に
ついても,原告作品と被告作品とは,アイデアないし表現上の創作性のない部分に
おいて類似しているにすぎない。

(イ) 第1審原告は,創作性は著作物を全体的に観察して判断されるもので,一
つのまとまりのある著作物を個々の構成部分に分解して,パーツに分けて創作性の
有無や,アイデアか表現かを判断することは妥当ではないとも主張する。
しかしながら,著作物の創作的表現は,様々な創作的要素が集積して成り立って
いるものであるから,原告作品と被告作品の共通部分が表現といえるか否か,また
表現上の創作性を有するか否かを判断する際に,その構成要素を分析し,それぞれ
について表現といえるか否か,また表現上の創作性を有するか否かを検討すること
は,有益であり,かつ必要なことであって,その上で,作品全体又は侵害が主張さ
れている部分全体について表現といえるか否か,また表現上の創作性を有するか否
かを判断することが,正当な判断手法ということができることは,前記1のとおり
である。

なお,原告作品と被告作品との共通点それ自体がアイデアや創作性のないものに
とどまる場合であっても,これらのアイデア等の組合せが作品の中で重要な役割を
担っており,これらのアイデア等の組合せが共通することにより,被告作品に接す
る者が原告作品の表現上の本質的な特徴を感得することができるのであれば,翻案
と認められることがあり得ないではないとしても,本件において,個々の画面は異
なり,具体的な表現も異なるものであり,表現上の本質的な特徴を直接感得するこ
とができるとまではいえない。

(ウ) 第1審原告は,原告作品の主要画面であるトップ画面から,釣り場選択画
面,キャスティング画面,魚の引き寄せ画面及び釣果画面への遷移のいずれの表現
も,他の釣りゲームには見られない表現であり,主要画面の選択と配列の共通点に
ついては,原告作品のようにする必然性はなく,他の選択もあり得るが,第1審原
告は,あえて原告作品のような主要画面の選択と配列を選択し,遷移を個性的に表
現したものであるところ,被告作品はこれと同様の画面の選択と配列をしたもので
あると主張する。

表現に選択の余地がない場合には,その表現が共通するとしても著作権侵害とは
いえないが,逆に,選択の余地があるからといって,必ずしも常にそれが著作権侵
害といえるわけではない。そして,著作権法上,著作物として保護されるのは,そ
のような選択に関するアイデア自体ではなく,具体的表現である。したがって,画
面の選択や配列に選択の余地があったとしても,実際に作成された表現がありふれ
たものである限り,それが共通することを理由として,翻案権侵害ということはで
きないし,具体的な表現が異なることにより,表現上の本質的な特徴が直接感得で
きなくなる場合がある。

本件において,被告作品の画面の選択と配列から原告作品のそれの表現上の本質
的な特徴を直接感得することはできない。第1審原告が主張するような抽象化され
た視点やアングルに,表現上の本質的な特徴を認めることはできない。

コ まとめ
以上のとおり,被告作品の画面の変遷並びに素材の選択及び配列は,アイデアな
ã©è¡¨ç¾ãã‚Œè‡ªä½“ã§ãªã„éƒ¨åˆ†åˆã¯è¡¨ç¾ä¸Šã®å‰µä½œæ€§ãŒãªã„éƒ¨åˆ†ã«ãŠã„ã¦åŽ Ÿå‘Šä½œå“ã®ãã‚Œ
と同一性を有するにすぎないものというほかなく,これに接する者が原告作品の画
面の変遷並びに素材の選択及び配列の表現上の本質的な特徴を直接感得することは
できないから,翻案に当たらない。



(3) 小括
被告作品の画面の変遷並びに素材の選択及び配列の表現から,原告作品のそれの
表現上の本質的な特徴を直接感得することはできない。よって,第1審被告らが被
告作品を製作したことが,第1審原告の原告作品に係る翻案権を侵害するものとは
いえず,これを配信したことが,著作権法28条による公衆送信権を侵害するとい
うこともできない。また,同様に,第1審被告らが被告作品を製作したことが,第
1審原告の原告作品に係る同一性保持権を侵害するということもできない。


3 不正競争防止法2条1項1号に係る不正競争行為の成否(争点2)について

(1) 原告影像の周知商品等表示性
第1審原告は,原告影像が第1審原告の商品等表示として周知性を有するもので
ある旨主張する。
ア ゲームの影像が他に例を見ない独創的な特徴を有する構成であり,かつ,そ
のような特徴を備えた影像が特定のゲームの全過程にわたって繰り返されて長時間
にわたって画面に表示されること等により,当該影像が需要者の間に広く知られて
いるような場合には,当該影像が不正競争防止法2条1項1号にいう「商品等表示」
に該当することがあり得るものと解される。

しかしながら,ゲームの影像は,通常は,需要者が当該ゲームを使用する段階に
なって初めてこれを目にするものである。本件において,第1審原告が周知商品等
表示と主張する原告影像は,原告作品の冒頭に登場する画面ではなく,ゲームの途
中で登場する一画面又はそれに類似する画面にすぎないものであり,ゲームの全過
程にわたって繰り返されて長時間にわたって画面に表示されるものではない。また,
原告影像に係る画面は,原告作品の公式ガイドブックにおいても,表紙等に表示さ
れておらず,しかも同書はビニールカバーに入った状態で販売されている(乙10
4,139)。

イ 第1審原告は,テレビコマーシャル(甲13)において宣伝広告を行ったが,
原告影像は,多くの画面の中の1つとして宣伝されているにすぎず,15秒間のコ
マーシャルの中の約3秒程度放映されたにすぎない。さらに,第1審原告は,電車
内広告(甲12)や新聞・雑誌(甲14)により宣伝広告を行ったが,原告影像は,
複数のゲーム画面の一つとして宣伝に使用されているにすぎないし,影像が不鮮明
なものもある。

そのため,これらの宣伝広告によって,魚の引き寄せ画面に係る原告影像が,第
1審原告を表示するものとして,周知の商品等表示性を獲得したと認めることはで
きない。なお,岩手,鹿児島,静岡及び北九州地区では平成21年2月7日からテ
レビコマーシャルが行われたものの,上記宣伝広告のほとんどが,被告影像1及び
2の掲載後,すなわち被告作品が配信された同月25日より後に行われたものであ
る。

ウ また,第1審原告代表者の紹介記事に付された写真(甲81)によっても,
原告影像が周知の商品等表示性を獲得したと認めることはできない。
エ 以上のとおり,原告影像は,第1審原告を表示するものとして周知の商品等
表示性を獲得したと認めるに足りない。

(2) 類似の商品等表示
ア 被告影像1について
(ア) 被告影像1の態様は,以下のとおりである(甲16,弁論の全趣旨)。
被告影像1は,被告作品のユーザーとなっていないモバゲータウンの会員が,被
告作品を検索し被告作品のウェブページにアクセスした際に表示される初回トップ
ページにのみ表示される。
被告影像1は,単独で表示されたものではなく,被告影像1を含む4つの画像が
縦一列に並び,各画像の横に文章が掲載されている。その最上段に,「釣りゲータ
ウン2」の文字(ロゴ)と水中の魚を水平から描いた横長の長方形のイラストが表
示され,上記イラストのすぐ下部には,「無料で遊べる」,「釣りゲータウン2を
始める」,「大好評の釣りゲータウンが2になって再登場」というリンクが貼られ
ている。上記リンクの下部には,「ここが進化した釣りゲ2!!」という文字が記
載された欄の下に,被告影像1を含む4つの画像が掲載されている。4つの画像の
一番上段が被告影像1であり,その横に,「ゲームシステムが一新」,「確変シス
テムを導入したドキドキのワンボタンゲームに進化!」という文章が掲載されてい
る。

(イ) 上記認定のとおり,そもそも,被告影像1は,被告作品を検索して初めて
表示されるものである上,その掲載態様によれば,被告作品を表示するものとして
用いられているのは,同画面の最上段のイラストに掲載された「釣りゲータウン2」
のロゴ及びその下のリンクの「釣りゲータウン2」という文字であり,被告影像1
は,被告作品の内容を紹介するための画像の1つとして使用されているものにすぎ
ない。よって,被告影像1が,商品又は営業を表示し自他を識別する商品等表示と
して使用されているものと認めることはできない。


(ウ) また,被告影像1は,携帯電話機の画面上,小さく表示される上,鮮明な
画像ではないため,水色の背景に,緑色や紫色の円形のパネルが表示され,画面中
央部に黄色く「ファイト!」と表示され,画面下部に緑色で「Good」と表示される
程度にしか認識することができない。
このため,原告影像と被告影像1とが類似するとはいい難い。

イ 被告影像2について
(ア) 被告影像2の態様は,以下のとおりである(甲17,弁論の全趣旨)。
被告影像2は,第1審被告ORSOのホームページの被告作品紹介画面に掲載さ
れているところ,その最上段に「アイテム課金型ゲーム「釣りゲータウン2」」と
いう文字が掲載されている。

被告影像2は,上記文字のすぐ下部に掲載され,その右横には,「携帯総合ポー
タルサイト「モバゲータウン」にて配信中」としだ¦ï¼Œè¢«å‘Šä½œå“ã®ç‰¹å¾´ç­‰ã‚’紹介する
文章が掲載されている。

被告影像2及び上記文章の下部には,「釣りゲータウン2」の文字(ロゴ)と水
中の魚を水平から描いた横長の長方形のイラストが被告影像2よりも大きなサイズ
で掲載され,その横には,「釣りゲータウン2」との文字や,モバゲータウンのア
ドレス(URL),モバゲータウンを紹介する文章等が掲載されている。

(イ) 上記認定の被告影像2の掲載態様によれば,被告作品を表示するものとし
て用いられているのは,同画面の最上段の「釣りゲータウン2」という文字や同画
面の下部のイラストに掲載された「釣りゲータウン2」のロゴであり,被告影像2
は,同画像の右側に掲載された文章とあわせて,被告作品の内容を紹介するための
画像として使用されているものにすぎない。よって,被告影像2が,商品又は営業
を表示し自他を識別する商品等表示として使用されているものとは認められない。

(ウ) また,被告影像2は,水色の背景の中央に大きな円が表示され,円の下部
に青色のパネルが配置され,円の中央部に金色の背景に銀色の銛が表示されている
が,必ずしもこれが三重の同心円に見えるわけではない。そして,画面上部に緑色
で「Good」と表示され,画面下部に白色で「あとちょっと!」という文字が表示さ
れている。

そうすると,画面上部の引き寄せゲージ及び中央の三重の同心円と魚影が特徴的
な原告影像と,上記の被告影像2とは,必ずしも類似のものとはいえない。
ウ したがって,被告影像1及び2は,いずれも商品等表示として使用されてい
るとはいえないし,原告影像と類似のものということもできない。


(3) 小括
以上のとおり,原告影像が第1審原告を表示するものとして周知な商品等表示で
あるとはいえないし,被告影像1及び2が商品等表示として使用されているとはい
えないから,これを掲載することが類似の商品等表示を使用して混同を生じさせる
行為に該当するということはできない。原告影像の周知商品等表示性を根拠に被告
影像1及び2の掲載行為を対象とする第1審原告の不正競争防止法2条1項1号に
係る主張は,理由がない。


4 法的保護に値する利益の侵害に係る不法行為の成否(争点3)について
(1) 第1審原告は,必ずしも著作権など法律に定められた厳密な意味での権利が
侵害された場合に限らず,第1審被告らが,第1審原告が多額の費用を投じて開発
し多数の広告宣伝を行ってきた原告作品に明白かつ悪質な意図をもって依拠し,原
告作品の表現上の本質的な特徴を直接感得できる被告作品を全国に配信した行為
は,第1審原告に莫大な損害を与え,第1審原告の信用を毀損したことから,法的
保護に値する利益を侵害したものとして,不法行為を構成すると主張する。

しかしながら,著作権法は,著作物の利用について,一定の範囲の者に対し,一
定の要件の下に独占的な権利を認めるとともに,その独占的な権利と国民の文化的
生活の自由との調和を図る趣旨で,著作権の発生原因,内容,範囲,消滅原因等を
定め,独占的な権利の及ぶ範囲,限界を明らかにしている。また,不正競争防止法
も,事業者間の公正な競争等を確保するため不正競争行為の発生原因,内容,範囲
等を定め,周知商品等表示について混同を惹起する行為の限界を明らかにしている。
ある行為が著作権侵害や不正競争行為に該当しないものである場合,当該著作物を
独占的に利用する権利や商品等表示を独占的に利用する権利は,原則として法的保
護の対象とはならないものと解される。したがって,著作権法や不正競争防止法が
規律の対象とする著作物や周知商品等表示の利用による利益とは異なる法的に保護
された利益を侵害するなどの特段の事情がない限り,不法行為を構成するものでは
ないと解するのが相当である。

(2) 第1審被告らの被告作品の製作及び公衆への送信行為が,第1審原告の原告
作品に係る著作権及び著作者人格権を侵害したとはいえないことは,前記1及び2
に説示したとおりである。また,被告影像1及び2の掲載行為が,第1審原告の周
知商品等表示と混同を生じさせる行為であるとはいえないことも,前記3に説示し
たとおりである。

第1審原告は,第1審被告らの行為により,信用毀損が生じた旨主張する。しか
し,第1審原告の提出する証拠(甲18,19等)によっても,被告作品及び原告
作品のユーザーの一部に,両作品を混同している者が存在することが認められると
いうにすぎず,第1審原告の主張するように,第1審被告らが被告作品を配信した
ことで,全国の多数のユーザーが原告作品又は第1審原告と被告作品又は第1審被
告ディー・エヌ・エーとが同一であると誤認するなどして,第1審原告の社会的信
用と営業上の信頼に深刻な影響が出たということまで認めるに足りる証拠はない。

(3) したがって,仮に,第1審被告らが,被告作品を製作するに当たって,原告
作品を参考にしたとしても,第1審被告らの行為を自由競争の範囲を逸脱し第1審
原告の法的に保護された利益を侵害する違法な行為であるということはできないか
ら,民法上の不法行為は成立しないというべきである。
第1審原告の上記主張は理由がない。

5 結論
以上の次第で,第1審原告の請求はいずれも理由がなく,これを全部棄却すべき
ものである。これを一部認容した原判決は一部失当であり,第1審被告らの控訴は
理由があるから,原判決中第1審被告ら敗訴部分を取り消した上,同部分に係る第
1審原告の請求を棄却することとし,また,第1審原告の控訴及び当審における請
求の拡張部分は理由がないから,これを棄却することとして,主文のとおり判決す
る。


知的財産高等裁判所第4部
裁判長裁判官 髙 部 眞 規 子
裁判官 井 上 泰 人
裁判官 荒 井 章 光