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わかる! 使える! 契約書の基本

契約書は経営、起業・独立、副業に必須のスキルです! 自分で契約書がつくれると楽しいですよ

グリーとディー・エヌ・エー “釣りゲーム” をめぐる戦い 7

オフィシャルサイトでは参考にしていただきたいビジネス契約書のサンプル集を無料でダウンロードできます。

ようやく裁判所の判断。
これもまた長いため、
分割して掲載。

それにしても長い判例。
でも学ぶところの多い、おもしろいケースであるので、
がんばって全文読みこなしたい。


---

第4 当裁判所の判断

1 「魚の引き寄せ画面」に係る著作権及び著作者人格権の侵害の成否(争点1
-1)について

(1) 翻案権及び同一性保持権について
著作物の翻案とは,既存の著作物に依拠し,かつ,その表現上の本質的な特徴の
同一性を維持しつつ,具体的表現に修正,増減,変更等を加えて,新たに思想又は
感情を創作的に表現することにより,これに接する者が既存の著作物の表現上の本
質的な特徴を直接感得することのできる別の著作物を創作する行為をいう。そして,
思想,感情若しくはアイデア,事実若しくは事件など表現それ自体でない部分又は
表現上の創作性がない部分において既存の著作物と同一性を有するにすぎない著作
物を創作する行為は,既存の著作物の翻案に当たらない(最高裁平成11年(受)
第922号同13年6月28日第一小法廷判決・民集55巻4号837頁参照)。

また,既存の著作物の著作者の意に反して,表現上の本質的な特徴の同一性を維
持しつつ,具体的表現に変更,切除その他の改変を加えて,これに接する者が既存
の著作物の表現上の本質的な特徴を直接感得することのできるものを創作すること
は,著作権法20条2項に該当する場合を除き,同一性保持権の侵害に当たる(著
作権法20条,最高裁昭和51年(オ)第923号同55年3月28日第三小法廷
判決・民集34巻3号244頁参照)。

(2) 認定事実
第1審原告は,被告作品における「魚の引き寄せ画面」は,原告作品における「魚
の引き寄せ画面」の翻案に当たる旨主張する。そして,第1審原告は,原告作品に
おける「魚の引き寄せ画面」を原判決別紙比較対照表1の左欄記載の影像と特定し,
被告作品における「魚の引き寄せ画面」を同表1の右欄記載の影像と特定して,著
作権侵害を主張するのに対し,第1審被告らは,原判決別紙報告書(キャスティン
グ・魚の引き寄せ影像)1(3)及び2(2)のとおり主張するところ,以下,両作品の
「魚の引き寄せ画面」を対比する。

証拠及び弁論の全趣旨によれば,以下の事実が認められる(なお,書証には枝番
を含む。以下同じ)。

ア 原告作品における「魚の引き寄せ画面」
原告作品における「魚の引き寄せ画面」の影像は,次のとおりである(甲4,乙
1)。

(ア) ほぼ正方形の画面の上部約5分の1と下部約5分の1弱は黒地で,上部に
は引き寄せメーターが表示され,下部には「中央に来たらOKで引け!」という文
字等が表示されることがある。水中の影像の輪郭は,画面全体のうち約5分の3を
占める横長の長方形である。

(イ) 画面のうち水中の影像部分のほぼ中央部には円形の図形が配置され,水中
の影像の上下面に円の外周の上下部がわずかにはみ出して接している。円形の図形
は,中心からほぼ等間隔である三重の同心円である。

(ウ) 水中の画像は,水中を真横から水平方向の視点で描いたものであり,1匹
の黒色の魚影が,魚影を側面から見た形で描かれており,魚の口から画像の上部に
向かって紺色の直線の糸(釣り糸)が伸びている。魚影は,上記同心円よりも手前
に配置されている。

(エ) 水中の画面の左右両端及び下端に接して,上記同心円に沿うような形で岩
陰が描かれ,水草,他の生物,気泡等は描かれていない。岩陰は,上記同心円より
も手前に配置されている。

(オ) 水中の画像の色彩は,全体的に薄暗い青色であり,円の配色は,外側のド
ーナツ形状部分及び中心の円の部分には,水中を表現する青色よりも薄い色を用い,
上記ドーナツ形状部分と中心の円部分の間には,背景の水中画面がそのまま表示さ
れ,岩陰がやや濃い青色である。

(カ) 魚影は,円盤状の胴体と三角形の尾びれの組合せにより黒く描かれており,
釣り針にかかった魚影は,水中全体を動き回り,釣り糸と魚影は,振り子のような
動きをする。その際,同心円や背景画像は静止している。

(キ) 画面の上部の黒地には,緑・黄色及び赤のグラデーションで配色された引
き寄せメーター(ゲージ)が配置され,その左端上部に竿を持った白色の人が,そ
の内部に黒色の魚影が,それぞれ表示されている。

(ク) 魚影が中央の円にある際にユーザーが決定キーを押すと,「PERFECT」と
の表示がされる。同様に,中央の円と外側のドーナツ形状部分との間に魚影がある
際に決定キーを押した場合は「GREAT」,上記ドーナツ形状部分の内側に魚影があ
る際に決定キーを押した場合は「GOOD」,それ以外の時に決定キーを押した場合
は「BAD」と表示される。上記文字は,魚影の近くに小さく表示される。

(ケ) そして,魚が釣れると,水中画像の中央にオレンジと黄色で配色された
「GET!」の文字が画面いっぱいに拡大して表示され,上部の引き寄せメーターは
消えて黒地となり下部の文字も「OK」のみとなり,魚を逃がすと,水中画像の中
央に赤色の「Miss..」と白色の「逃げられた・・・」の文字が表示され,上部の引き寄
せメーターは消えて黒地となり下部の文字も「OK」のみとなる。
イ 被告作品における「魚の引き寄せ画面」
被告作品における「魚の引き寄せ画面」の影像は,次のとおりである(甲4,乙
1)。

(ア) ほぼ正方形の画面の下部には,細長いゲージ(引き寄せメーター)が表示
されるが,残りが水中の影像であり,水中の影像の輪郭はほぼ正方形である。
(イ) 画面のほぼ中央部には円形の図形が配置され,円形の図形は,大きさが変
化するが,それが最も大きいときでも,画面の上下左右に接することはない。円形
の図形は,中心からほぼ等間隔である三重の同心円で,その中心の円から放射状に
伸びる5本の仕切り線により11個のパネルに分割されている。

(ウ) 水中の画像は,水中を真横から水平方向の視点で描いたものであり,1匹
の黒色の魚影が,魚影を前面から見た形で描かれており,魚の口から画面の左上部
に向かって薄青色の直線の糸(釣り糸)が伸びている。魚影は,上記同心円よりも
奥に配置されている。

(エ) 水中の画面の左端及び右下側に,右端及び下端には接しない位置に岩陰が
描かれ,水草,他の生物,気泡等は描かれていない。岩陰は,上記同心円よりも奥
に配置されている。同心円が最も大きくなったときは,岩陰が同心円に重なる。
(オ) 水中の画像の色彩は,全体的に青色であり,円の配色は,放射状に仕切ら
れた11個のパネルの,中心の円を除いた部分に,緑色と紫色が配色される。上記
放射状の仕切り部分は,背景の水中画面がそのまま表示され,岩陰はやや濃い青色
である。上記同心円の大きさは,一定のパラメータ値に応じて9段階に変化し,同
心円の配色部分の数及び場所も,魚の引き寄せ画面ごとに異なり,同一画面内でも
変化する。また,同心円の中央の円の部分は,コインが回転するような動きをし,
緑色無地,銀色の背景に金色の釣り針,鮮やかな緑の背景に黄色の星マーク,金色
の背景に銀色の銛,黒色の背景に赤字の×印の5種類に変化する(原判決別紙報告
書(キャスティング・魚の引き寄せ影像)2(2)②のとおり)。
(カ) 魚影は,前面から見た形で,尾びれ,背びれ,胸びれを付けて黒く描かれ
ている。釣り針にかかった魚影は,水中全体を動き回るが,釣り糸は魚の動きにか
かわらず,常に画面の左上に向かって伸びている。その際,背景画像は静止してい
るが,同心円は大きさ等が変化する。

(キ) 画面の下部に,細長い凹型の白地を設け,青色のグラデーションで配色さ
れた引き寄せメーター(ゲージ)が配置され,その左端に黄色いリールが,その内
部に青色の魚が,それぞれ表示される。

(ク) 同心円の緑色で配色された部分に魚影がある際に決定キーを押すと,画面
上方に「Good」と緑色で表示される。同様に,同心円の紫色で配色された部分及び
同心円以外の部分に魚影がある際に決定キーを押すと,画面上部に「Out」と赤色で
表示される。上記文字は,画面上方に大きく表示される。また,中心の円の部分に
魚影がある際に決定キーを押すと,中央の円の部分の表示に応じて,「必殺金縛り」,
「確変」及び「一本釣りモード」などの表示がアニメーションとして表示される(原
判決別紙報告書(キャスティング・魚の引き寄せ影像)2(2)③のとおり)。

(ケ) そして,魚が釣れると,同心円が消えて「釣れた!」の黄色の文字が画面
上部から中央に向かって動いて表示され,魚を逃がすと,同心円及びゲージが消え
て画面中央に白色で「逃がした!」「決定キーを押してください」と表示される。
(コ) なお,被告作品の魚の引き寄せ画面の冒頭には,前記(イ)の同心円が現れる
前に,まず,水中の画面を魚影が右から左へ移動し,更に画面奥に移動する画面が
あり,その後に,同心円が表示され,魚影が奥から手前へ向かってくる画面がある
(原判決別紙報告書(キャスティング・魚の引き寄せ影像)2(2)①のとおり)。
ウ その他の釣りゲームの影像
(ア) 釣りバカ気分
平成15年12月に配信が開始された携帯電話機向けゲームアプリ「釣りバカ気
分 Second Stage」の魚の引き寄せ画面は,水中の魚が,釣り上げる
まで魚種が分からないように黒い魚影で表示され,魚影が画面中をランダムに動き
回るものであり,数字キーを連打することにより,魚を引き寄せ釣り上げるゲーム
である(乙5,乙112)。

(イ) ぬし釣りシリーズ
平成16年8月に配信された携帯電話機向けゲームアプリ「川のぬし釣り」,平
成18年1月に配信された「海のぬし釣り」及び同年12月に配信された「新・川
のぬし釣り」は,いずれも,魚の釣り上げの過程がキャスティング,アワセ及びフ
ァイトの3つの場面に分かれ,ファイト画面(魚の引き寄せ画面)では,水中の影
像は水面上を捨象して,水中のみが真横から水平方向の視点で描かれ,水中の背景
は全体に薄暗い青系統の色で描かれ,海底と岩陰のみを配置した影像が描かれてい
る。これらのゲームでは,魚の引き寄せのルールは,魚の動きに合わせてボタンを
押し,水中全体を動き回る魚の動きが止まったときにボタンを押すと引き寄せやす
くなるというものである(乙107)。

なお,上記各ゲームを含む「ぬし釣りシリーズ」の釣りゲームは,平成2年8月
以降家庭用ゲーム機向けゲームソフト等として16作品が発売されたが,魚の釣り
上げの過程はキャスティング,アワセ及びファイトの3つの場面に分かれ,ファイ
ト画面(魚の引き寄せ画面)では,水中の影像は水面上を捨象して,水中のみが真
横から水平方向に描かれ,水中の背景は全体に薄暗い青系統の色で描かれ,海底と
岩陰のみを配置した影像が描かれているものがあった。これらのゲームでは,魚の
引き寄せのルールも,上記と同様のものである(乙107,108)。

(ウ) フィッシュアイズ
家庭用テレビゲーム「フィッシュアイズ」のシリーズにおいても,魚の釣り上げ
の過程はキャスティング,アワセ及びファイトの3段階に分かれ,ファイト画面(魚
の引き寄せ画面)では水中の視点で魚を引き寄せている(乙110)。

(エ) その他の携帯電話機向け釣りゲーム
水中のみを描き,水平方向からの視点で水面及びその上を描写しない釣りゲーム
は,原告作品及び被告作品以外に,「川のぬし釣り」及び「海のぬし釣り」のほか,
「THE バス釣り」,「川釣りパラダイス」及び「バス釣り支店河口湖」等が存
在し(甲3),アワセを行った後に水中の影像に移行するゲームも多数存在し,魚
の引き寄せの影像が魚を水中から見る視点での影像となっているものもある(乙1
09)。

また,水中の背景を,水を含め,全体的に青系統の色を使って描いているものは
多く,例えば,「THE バス釣り」,「THEマグロの一本釣り」及び「バス釣
り支店河口湖」等が存在する(甲3)。

ã•ã‚‰ã«ï¼Œé‡£ã‚Šä¸Šã’ã«æˆåŠŸã™ã‚‹ã¾ã§ã®é­šã®å§¿ã‚’é­šå½ ±ã§æãï¼Œé‡£ã‚Šç³¸ã‚‚描いているゲ
ームとして,原告作品及び被告作品以外に,「川釣りマスター」,「GOGO!フ
ィッシング2」及び「海釣りマスター」等があるが,これらは,水上からの視点で,
水中にあるものの様子として魚影を描いたものである(甲3)。

釣り人と魚の距離を表す引き寄せメーターのある魚釣りゲームとして,原告作品
及び被告作品以外に,「THEマグロの一本釣り」及び「バス★フィッシング」等
が存在する(甲3)。

釣りゲームでは,逃げようとする魚の動きを表す影像変化にそれぞれ差違がある
が,逃げようとする魚の動きを,向きを変えながら左右方向を往復する魚の姿で現
す「EX FISHING DAYS」及び「THE バス釣り」や,釣り針の周り
で向きを変える魚の姿により表現する「バス釣りにいこう」及び「ポケットフィッ
シング3D」が存在する(甲3)。

(オ) 原告作品配信後の類似ゲーム
なお,三重の同心円を描く釣りゲームは,原告作品配信前にはなく,原告作品配
信後に,水中に同心円を配置した「釣り★タウン」及び「釣りコレDX」等が配信
された。これらの釣りゲームは,三重の同心円のほか,黒い魚影,釣り糸及び引き
寄せメーター等,原告作品と類似する点が多い(乙6)。
第1審原告が,両ゲームの配信元に配信停止を求めていたところ,「釣りコレD
X」は平成22年8月13日に配信を停止し,当時は配信を停止していなかった「釣
り★タウン」も,平成24年5月31日をもって配信を停止した(甲45,46,
86)。
その他,「NEO釣り倶楽部」及び「釣りとも」でも,同心円を採用している(乙
6)。
エ 当たりを判定するフラッシュゲーム
「当たり判定」とは,シューティングゲームや対戦型格闘ゲームなどのアクショ
ンゲームで,ディスプレイ上に表示された自キャラクターや敵キャラクターにおい
て攻撃を受け付ける範囲,又はショットなどの攻撃においてそれが対象物に命中し
たとみなされる範囲の大きさのことをいうゲーム用語であり(乙115),原告作
品の魚の引き寄せ画面では,同心円内に魚影の頭の部分がある時に決定キーを押す
と「当たり」となるルールが採用されている。

点と円など,対象物が一定の範囲に入った場合に「当たり」と判定する携帯電話
機向けフラッシュゲームは,弓道をモチーフにした「弓道正射必中」,アーチェリ
ーをモチーフにした「ラウスポアーチェリー」及び「ケータイアーチェリーVer
2」,射撃をモチーフにした「狙撃の凡人」,ダーツをモチーフにした「DART
S!」などがあり,それらのゲームにおいては,同心円の的を用いたものも存在し
ている。また,現実には存在しない仮想の円を描いたゲームとして,「ハエたたキ
ング」,「THE昆虫採集」及び「ゴーストゲッター」といった的当てゲームがあ
る(乙6,119,121)。

フラッシュゲームにおいて,タイミングを計ってボタンをクリックするというゲ
ームのルールがあり,一定の範囲に対象物が入った場合にクリックすることは,上
記ルールのうち,ある対象物と他の対象物が重なるようにタイミングを計ってクリ
ックするパターンで,一方の対象物が固定で他方の対象物が移動するパターンに属
するルールである(乙42,121)。

(3) 翻案の成否
ア 原告作品と被告作品とは,いずれも携帯電話機向けに配信されるソーシャル
ネットワークシステムの釣りゲームであり,両作品の魚の引き寄せ画面は,水面よ
り上の様子が画面から捨象され,水中のみが真横から水平方向に描かれている点,
水中の画像には,画面のほぼ中央に,中心からほぼ等間隔である三重の同心円と,
黒色の魚影及び釣り糸が描かれ,水中の画像の背景は,水の色を含め全体的に青色
で,下方に岩陰が描かれている点,釣り針にかかった魚影は,水中全体を動き回る
が,背景の画像は静止している点において,共通する。

イ しかしながら,そもそも,釣りゲームにおいて,まず,水中のみを描くこと
や,水中の画像に魚影,釣り糸及び岩陰を描くこと,水中の画像の配色が全体的に
青色であることは,前記(2)ウのとおり,他の釣りゲームにも存在するものである上,
実際の水中の影像と比較しても,ありふれた表現といわざるを得ない。

次に,水中を真横から水平方向に描き,魚影が動き回る際にも背景の画像は静止
していることは,原告作品の特徴の1つでもあるが,このような手法で水中の様子
を描くこと自体は,アイデアというべきものである。

また,三重の同心円を採用することは,従前の釣りゲームにはみられなかったも
のであるが,弓道,射撃及びダーツ等における同心円を釣りゲームに応用したもの
というべきものであって,釣りゲームに同心円を採用すること自体は,アイデアの
範疇に属するものである。そして,同心円の態様は,いずれも画面のほぼ中央に描
かれ,中心からほぼ等間隔の三重の同心円であるという点においては,共通するも
のの,両者の画面における水中の影像が占める部分が,原告作品では全体の約5分
の3にすぎない横長の長方形で,そのために同心円が上下両端にややはみ出して接
しており,大きさ等も変化がないのに対し,被告作品においては,水中の影像が画
面全体のほぼ全部を占める略正方形で,大きさが変化する同心円が最大になった場
合であっても両端に接することはなく,魚影が動き回っている間の同心円の大きさ,
配色及び中央の円の部分の画像が変化するといった具体的表現において,相違する。
しかも,原告作品における同心円の配色が,最も外側のドーナツ形状部分及び中心
の円の部分には,水中を表現する青色よりも薄い色を用い,上記ドーナツ形状部分
と中心の円部分の間の部分には,背景の水中画面がそのまま表示されているために,
同心円が強調されているものではないのに対し,被告作品においては,放射状に仕
切られた11個のパネルの,中心の円を除いた部分に,緑色と紫色が配色され,同
心円の存在が強調されている点,同心円のパネ㠃«ã®é…è‰²éƒ¨åˆ†ã®æ•°åŠã³å ´æ‰€ã‚‚,魚の
引き寄せ画面ごとに異なり,同一画面内でも変化する点,また,同心円の中心の円
の部分は,コインが回転するような動きをし,緑色無地,銀色の背景に金色の釣り
針,鮮やかな緑の背景に黄色の星マーク,金色の背景に銀色の銛,黒色の背景に赤
字の×印の5種類に変化する点等において,相違する。そのため,原告作品及び被
告作品ともに,「三重の同心円」が表示されるといっても,具体的表現が異なるこ
とから,これに接する者の印象は必ずしも同一のものとはいえない。

さらに,黒色の魚影と釣り糸を表現している点についても,釣り上げに成功する
までの魚の姿を魚影で描き,釣り糸も描いているゲームは,前記(2)ウのとおり,従
前から存在していたものであり,ありふれた表現というべきである。しかも,その
具体的表現も,原告作品の魚影は魚を側面からみたものであるのに対し,被告作品
の魚影は前面からみたものである点等において,異なる。

ウ 以上のとおり,抽象的にいえば,原告作品の魚の引き寄せ画面と被告作品の
魚の引き寄せ画面とは,水面より上の様子が画面から捨象され,水中のみが真横か
ら水平方向に描かれている点,水中の画像には,画面のほぼ中央に,中心からほぼ
等間隔である三重の同心円と,黒色の魚影及び釣り糸が描かれ,水中の画像の背景
は,水の色を含め全体的に青色で,下方に岩陰が描かれている点,釣り針にかかっ
た魚影は,水中全体を動き回るが,背景の画像は静止している点において共通する
とはいうものの,上記共通する部分は,表現それ自体ではない部分又は表現上の創
作性がない部分にすぎず,また,その具体的表現においても異なるものである。
そして,原告作品の魚の引き寄せ画面と被告作品の魚の引き寄せ画面の全体につ
いて,同心円が表示された以降の画面をみても,被告作品においては,まず,水中
が描かれる部分が,画面下の細い部分を除くほぼ全体を占める略正方形であって,
横長の長方形である原告作品の水中が描かれた部分とは輪郭が異なり,そのため,
同心円が占める大きさや位置関係が異なる。また,被告作品においては,同心円が
両端に接することはない上,魚影が動き回っている間の同心円の大きさ,パネルの
配色及び中心の円の部分の図柄が変化するため,同心円が画面の上下端に接して大
きさ等が変わることもない原告作品のものとは異なる。さらに,被告作品において,
引き寄せメーターの位置及び態様,魚影の描き方及び魚影と同心円との前後関係や,
中央の円の部分に魚影がある際に決定キーを押すと,円の中心部分の表示に応じて
アニメーションが表示され,その後の表示も異なってくるなどの点において,原告
作品と相違するものである。その他,後記エ(カ)のとおり,同心円と魚影の位置関
係に応じて決定キーを押した際の具体的表現においても相違する。なお,被告作品
においては,同心円が表示される前に,水中の画面を魚影が移動する場面が存在す
る。

以上のような原告作品の魚の引き寄せ画面との共通部分と相違部分の内容や創作
性の有無又は程度に鑑みると,被告作品の魚の引き寄せ画面に接する者が,その全
体から受ける印象を異にし,原告作品の表現上の本質的な特徴を直接感得できると
いうことはできない。


エ 第1審原告の主張について
(ア) 第1審原告は,原告作品には,水中のみを画像として水中の真横から水平
方向の視点で描き,視点が固定されている点に表現上の本質的な特徴がある旨主張
する。
しかしながら,前記のとおり,水中のみを描き,水平方向からの視点で水面及び
その上を描写しない釣りゲームは,原告作品及び被告作品以外に少なくとも5作品
は存在するのであるから(甲3),上記のように水中を描くことは,ありふれたも
のということができる。

(イ) 第1審原告は,原告作品は,中心からほぼ等間隔である三重の同心円が描
かれ,同心円の中心が画面のほぼ中央に位置し,最も外側の円の大きさは,水中の
画像の約半分を占める点において表現上の本質的な特徴がある旨主張する。
上記のうち,三重の同心円を描くことは,従前の釣りゲームにおいて見られない
特徴であり(甲3),被告作品においても,三重の同心円を採用したことから,第
1審被告らは,この点につき原告作品からヒントを得たものであると推測される。
しかしながら,釣りゲームに三重の同心円を採用することは,アイデアというべき
ものであり,同心円の具体的態様は,前記イのとおり,表現が異なる。よって,同
心円を採用したことが共通することの一事をもって,表現上の本質的な特徴を直接
感得することができるとはいえない。なお,被告作品における同心円は,大きさが
9段階に変化し,常に,水中の画像の約半分を占めるわけではない。

(ウ) 第1審原告は,原告作品には,背景の水中の色が全体的に薄暗い青で,水
底の左右両端付近に同心円に沿うような形で岩陰があり,水草,他の生物,気泡等
が描かれていない点において表現上の本質的な特徴がある旨主張する。
しかし,釣りを描く上において,海や川の水の色が青系の色で表現されることや,
水中の背景に岩陰を描くことは,ありふれた表現である(乙108,110)。し
かも,原告作品の青色に比べ,被告作品の青色は,やや明るい色調であり,同一の
青色を用いているわけではないし,両作品において岩陰の具体的な描き方及びその
位置も必ずしも同一とはいえない。

(エ) 第1審原告は,原告作品は,魚の姿を黒色の魚影とし,魚の口から影像上
部に伸びる黒い直線の糸の影を描いている点において表現上の本質的な特徴がある
旨主張する。

しかし,釣りゲームにおいて,魚や釣り糸を表現すること自体は,ありふれたも
のというべきである。そして,魚を具体的な魚の絵ではなく,魚影をもって表現す
ること自体は,アイデアの領域というべきものであるし,従前から,魚を魚影によ
り表現したゲームも存在したものである(甲3,乙112)。しかも,原告作品に

おける魚影は,円盤状の胴体と三角形の尾びれとの組合せにより側面からみた魚で
あるのに対し,被告作品における魚影は,尾びれ,背びれ及び胸びれを描いた前面
からみた魚である点において,具体的表現は異なっている。なお,釣り糸について
も,原告作品では,魚と連動して動くのに対し,被告作品では,魚の動きにかかわ
らず,釣り糸が常に画面左上に伸びている点においても,その具体的表現が異なる。
(オ) 第1審原告は,原告作品には,同心円や背景画像は静止し,釣り針にかか
った魚影のみが,頻繁に向きを変えながら水中全体を動き回る点において表現上の
本質的な特徴がある旨主張する。

しかしながら,被告作品においては,同心円は静止しているわけではなく,大き
さやパネルの色等が変化するのであって,釣り針にかかった魚影のみが動き回ると
はいえない点において,原告作品とは異なるものである。
(カ) 第1審原告は,原告作品には,静止した同心円と動き回る魚影の位置関係
によって釣り糸を巻くタイミングを表現している点において表現上の本質的な特徴
がある旨主張する。

しかしながら,前記(2)エのとおり,フラッシュゲームにおいて,タイミングを計
ってボタンをクリックするというゲームのルールがあり,一定の範囲に対象物が入
った場合にクリックすることは,上記ルールのうち,ある対象物と他の対象物が重
なるようにタイミングを計ってクリックするパターンで,一方の対象物が固定で他
方の対象物が移動するパターンに属するルールである。すなわち,静止した同心円
と動き回る魚影の位置関係によって釣り糸を巻くタイミングを表現することは,ゲ
ームのルールであり,画面全体を素早くかつ不規則に動き回る対象物が,画面上に
設けられた一定の枠内にあるときに決定キーを押すことを成功とし,一定回数成功
した場合等に当該ステージをクリアとすることは,ゲームのルールにほかならず,
いずれもアイデアの範疇に属するものである。そして,前記(2)ア(ク),イ(ク)のと
おり,原告作品においては,中央の円に魚影がある際に決定キーを押した場合は
「PERFECT」,中央の円と外側のドーナツ形状部分との間に魚影がある際に決定キ
ーを押した場合は「GREAT」,上記ドーナツ形状部分の内側に魚影がある際に決定
キーを押した場合は「GOOD」,それ以外の時に決定キーを押した場合は「BAD」
と表示されるのに対し,被告作品においては,同心円の緑色で配色された部分に魚
影がある際に決定キーを押した場合は「Good」,同心円の紫色で配色された部分及
び同心円以外の部分に魚影がある際に決定キーを押した場合は「Out」と表示される
のであって,具体的な位置関係は異なっており,どの位置でタイミングを表現する
かが共通するわけではない。

(キ) 第1審原告は,個々の要素がそれぞれバラバラでは表現上の創作性を有し
ない場合でも,複数の要素が全体として表現上の創作性を有することがあるから,
一つのまとまりのある著作物を個々の構成部分に分解して,パーツに分けて創作性
の有無や,アイデアか表現かを判断することは妥当ではないと主張する。

しかしながら,著作物の創作的表現は,様々な創作的要素が集積して成り立って
いるものであるから,原告作品と被告作品の共通部分が表現といえるか否か,また
表現上の創作性を有するか否かを判断する際に,その構成要素を分析し,それぞれ
について,表現といえるか否か,また表現上の創作性を有するか否かを検討するこ
とは,有益であり,かつ必要なことであって,その上で,作品全体又は侵害が主張
されている部分全体について,表現といえるか否か,また表現上の創作性を有する
か否かを判断することは,正当な判断手法ということができる。

本件において,魚の引き寄せ画面全体についてみると,被告作品においては原告
作品にない画面やアニメーションの表示が存在することや,水中が描かれた部分の
輪郭が異なり,そのため,同心円が占める大きさや位置関係が異なること,同心円
の大きさ,配色及び中心の円の部分の図柄の変化,魚影の描き方及び魚影と同心円
との前後関係等の具体的表現が異なっていることにより,これに接する者が魚の引
き寄せ画面全体から受ける印象を異ならせるものである。

(ク) 第1審原告は,あくまで第1審原告が設定した枠内での対比をすべきであ
り,訴訟物の範囲外の,無関係の画面を持ち出すのは失当であると主張する。
翻案権の侵害の成否が争われる訴訟において,著作権者である原告が,原告著作
物の一部分が侵害されたと考える場合に,侵害されたと主張する部分を特定し,侵
害したと主張するものと対比して主張立証すべきである。それがまとまりのある著
作物といえる限り,当事者は,その範囲で侵害か非侵害かの主張立証を尽くす必要
がある。

しかし,本件において,第1審原告は,「魚の引き寄せ画面」についての翻案権
侵害を主張するに際し,魚の引き寄せ画面は,同心円が表示された以降の画面をい
い,魚の引き寄せ画面の冒頭の,同心円が現れる前に魚影が右から左へ移動し,更
に画面奥に移動する等の画面は,これに含まれないと主張した上,被告作品の魚の
引き寄せ画面に現に存在する,例えば,円の大きさやパネルの配色が変化すること
や,中央の円の部分に魚影がある際に決定キーを押すと,「必殺金縛り」,「確変」
及び「一本釣りモード」などの表示がアニメーションとして表示される画面等を捨
象して,原判決別紙比較対照表1における特定の画面のみを対比の対象として主張
したものである。このように,著作権者が,まとまりのある著作物のうちから一部
を捨象して特定の部分のみを対比の対象として主張した場合,相手方において,原
判決別紙報告書(キャスティング・魚の引き寄せ影像)1(3)及び2(2)のとおり,ま
とまりのある著作物のうち捨象された部分を含めて対比したときには,表現上の本
質的な特徴を直接感得することができないと主張立証することは,魚の引き寄せ画
面の範囲内のものである限り,訴訟物の観点からそれが許㠁•ã‚Œãªã„と解すべき理由
はない

なお,本件訴訟の訴訟物は,原告作品に係る著作権に基づく差止請求権等であっ
て,第1審原告の「魚の引き寄せ画面」に関する主張は,それを基礎付ける攻撃方
法の1つにすぎないから,第1審被告らの上記防御方法が,訴訟物の範囲外のもの
であるということはできない。仮に,本件訴訟の訴訟物が原告作品のうちの「魚の
引き寄せ画面」に係る著作権に基づく差止請求権等であると解するとしても,第1
審被告らの上記防御方法は,上記訴訟物の範囲外のものであるということはできな
い

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つづく