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わかる! 使える! 契約書の基本

契約書は経営、起業・独立、副業に必須のスキルです! 自分で契約書がつくれると楽しいですよ

グリーとディー・エヌ・エー “釣りゲーム” をめぐる戦い 6

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つづき
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(4) 争点3(被告作品を製作し公衆に送信する行為は,第1審原告の法的保護に
値する利益を侵害する不法行為に当たるか)について

第1審原告の社会的信用と営業上の信頼に被害が生じたということはあり得な
い。

(5) 争点4(第1審原告の損害)について

著作権法114条2項を適用した誤り
(ア) 原告作品及び被告作品とも,無料で遊べるゲームであるために,原告作品
の魚の引き寄せ画面の使用により得べかりし利益に相当する損害はなく,被告作品
の魚の引き寄せ画面を使用することによる第1審被告らの利益もない。
よって,仮に,被告作品の魚の引き寄せ画面を被告作品のユーザーがダウンロー
ドすると,その分,原告作品の魚の引き寄せ画面をダウンロードするユーザーが減
るという関係にあったとしても,第1審原告の利益が減少するということにはなら
ないし,被告作品の魚の引き寄せ画面を使用したとしても,第1審被告らに利益が
発生することにはならないから,「侵害の行為により利益を受けているとき」には
当たらない。

(イ) 原告作品と被告作品とでは収益構造が全く異なっており,被告作品におい
て利益が上がったとしても,原告作品における利益が下がるという関係にはない。
よって,本件において,著作権法114条2項を適用する前提を欠く。

限界利益について

(ア) 支払手数料を支出していることは第1審原告も認めており,支払手数料の
割合は,売上げの13%である1億1232万円である(甲58の添付資料28)。

(イ) 公認会計士作成の意見書(乙132)に記載のとおり,平成21年2月か
ら平成23年7月までの被告作品の製造原価及び変動費のうち,サーバー購入費用,
労務費(乙72。第1審被告ORSO分),サーバー機器保守料及びサーバーハウ
ジング料は,合計1億8787万5900円である。

(ウ) 上記(ア)(イ)を売上げから控除しただけでも,被告作品の限界利益は,以下
のとおり,5億6380万4100円となる。
8億6400万円-3億0019万5900円=5億6380万4100円

ウ 寄与率

(ア) 被告作品においてこれだけの売上げを達成するためには,モバゲータウン
という著名なプラットフォームとしての寄与が不可欠である。モバゲータウンは,
平成18年2月7日に,高品質のゲームが無料で楽しめる携帯電話機専用ゲームサ
イトとして本格的に開始し,継続的なコンテンツの配信や積極的な宣伝広告活動等
から,爆発的な会員数の増加をみせ,被告作品が配信された当時である平成21年
3月末日でモバゲータウンの会員数は1344万人に達していた。このように,1
000万人を超えるモバゲータウンの既存の会員が存在していたからこそ,被告作
品のユーザーが獲得でき,これらのユーザーが「モバコイン」によってアイテムを
購入したのである。換言すれば,全く無名の業者が,被告作品を配信したとしても,
これにユーザーが集まるはずはないし,集まったとしても,金銭を支払うというこ
とはあり得ない。

(イ) 被告作品はソーシャルゲームであり,そのソーシャル性があるからこそ,
被告作品では収益を上げられる。ソーシャルゲームは,フラッシュで製作されるア
クション部分(本件でいう魚の引き寄せ画面)が重要なのではなく,アクション後
の成果についてソーシャル性を持たせることを重視しているゲームである。本件で
は,ソーシャルゲームである釣りゲームは,釣る過程を楽しむものではなく,釣っ
た成果を楽しむゲームなのである。かかるソーシャルゲームの特性を見過ごすと,
本件における魚の引き寄せ画面の寄与度の評価を誤ってしまう。

(ウ) ソーシャルゲームにおいてソーシャル性を有する部分は,魚の引き寄せ画
面とは全く無関係の部分によるものである。具体的には,ランキングの設定,自己
表現の場の設定,他者との協力の場の設定などの工夫を施すことによって,被告作
品ではこのようなソーシャル性を備え,収益に結びつけている。

(エ) ソーシャルゲームである釣りゲームでは,釣る過程は重要視せず,むしろ
簡単にしてしまっているため,ソーシャル性を持たせることが必須であるとともに,
他方で,ユーザーに様々な目標を設定することが重要である。被告作品においては,
釣りポイントの累積,段位を上げる,魚図鑑を埋める・コンプリートするなどの経
験値システムや,更に短期的な目標設定という仕組みが用意されており,被告作品
ではこれらの仕組みを採用した結果,ユーザーが継続してプレイをし,また,課金
アイテムを購入しているのである。

(オ) ソーシャルゲームでは,配信開始後の開発が売上げに大きく影響する。す
なわち,配信開始時に設定された目標はこれを達成してしまえば,ユーザーがこれ
以上ソーシャルゲームをプレイするインセンティブがなくなってしまう可能性があ
る。

(カ) 以上のソーシャルゲームとしての特殊性を加味すれば,魚の引き寄せ画面
の売上げに対する寄与度が30%という高い割合になるはずがない。原判決は,か
かるソーシャルゲームの特殊性を全く無視して魚の引き寄せ画面の売上げに対する
寄与度を認定したものであって,誤りである。
エ 平成23年7月8日以降の損害について

(ア) 平成23年7月から平成24年2月までの被告作品の売上げは,2273
万2666円である(乙143)。
(イ) 平成23年8月から平成24年2月までの被告作品の製造原価・変動費は,
1040万4908円である(乙144)。

(ウ) したがって,上記期間における被告作品の限界利益は,(ア)から(イ)を控除
した1232万7758円である。

(エ) 上記期間の被告作品の売上げは,被告作品のイベントの寄与が大きく,魚
の引き寄せ画面の寄与率は収益に結びついていない。

(6) 争点5(第1審被告らによる謝罪広告の要否)について
第1審原告の名誉,声望及び信用を害した事実はなく,そもそも謝罪広告の必要
性はない。


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