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わかる! 使える! 契約書の基本

契約書は経営、起業・独立、副業に必須のスキルです! 自分で契約書がつくれると楽しいですよ

グリーとディー・エヌ・エー “釣りゲーム” をめぐる戦い 3

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つづき。
争点を細かく確認していく。
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第3 当事者の主張

1 原審における主張
原審における当事者の主張は,以下のとおり訂正するほか,原判決の事実及び理由第3(原判決6頁23行目~87頁5行目)のとおりであるから,これを引用する。

(1) 原判決49頁7行目から10行目を,「(3) 争点2(第1審被告らのウェブページに被告影像1及び2を掲載する行為は,不正競争防止法2条1項1号に該当するか)について」と改める。

(2) 原判決50頁6行目,10行目,52頁11行目,13行目,19行目,24行目及び53頁3行目の「被告作品の魚の引き寄せ画面(モバゲータウン)」を,「被告影像1」と改める。

(3) 原判決50頁14行目,19行目,53頁5行目及び9行目の「被告作品の魚の引き寄せ画面(被告ORSO)」を,「被告影像2」と改める。

(4) 原判決52頁22行目の「縦一列にに並べられ」を,「縦一列に並べられ」と改める。

(5) 原判決53頁15行目から54頁1行目までを,以下のとおり改める。「第1審原告が多額の費用を投じて開発し,多数の広告宣伝を行ってきた原告作品の魚の引き寄せ画面は,同業の第1審被告らによって明白かつ悪質な意図をもって依拠され,第1審被告らは,原告作品の表現上の本質的な特徴を直接感得できる被告作品を,全国に配信して第1審原告に莫大な損害を与えた。被告作品の配信により,全国のユーザーに,第1審原告(原告作品)と第1審被告ディー・エヌ・エー(被告作品)が同一会社であると誤信させ,ゲームの製作元が同一と誤認され,どちらが真似したか理解されていないなど,第1審原告の社会的信用と営業上の信頼に深刻な被害が生じている。」

(6) 原判決78頁8行目の「被告」を,「第1審被告ら」と改める。

(7) 原判決80頁14行目の「原被告作品」を,「被告作品」と改める。

(8) 原判決83頁19行目の「一般不法行為による損害」を,「法的保護に値する利益の侵害による許諾料相当の損害(予備的主張)」と改める。

(9) 原判決83頁23行目の「侵害したもののであるから」を,「侵害したものであるから」と改める。

(10) 原判決84頁8行目の「被告作品の魚の引き寄せ画像」を,「被告影像1及び2」と改める。

(11) 原判決84頁26行目の「魚の引き寄せ画面(初回トップページ)」を,「被告影像1及び2」と改める。

(12) 原判決85頁3行目の「無形損害」を,「法的保護に値する利益の侵害による無形損害」と改める。

(13) 原判決85頁5行目から9行目の「また」までを,「前記争点3に係る第1審原告の主張のとおり,第1審被告らは,第1審原告の法的保護に値する利益を侵害し」と改める。

(14) 原判決別紙3頁5行目の「携帯電話用インターネット・ゲームソフト」を,「携帯電話機用インターネット・ゲーム」と改める。

2 当審における主張

〔第1審原告の主張〕
(1) 争点1-1(被告作品における「魚の引き寄せ画面」は,原告作品における「魚の引き寄せ画面」に係る第1審原告の著作権及び著作者人格権を侵害するものか)について

ア 本質的な特徴
原告作品の「魚の引き寄せ画面」は,①画面から水面及びその上の様子が捨象され,水中のみを画像として,水平方向の視点で描き,視点が固定されている点,②中心からほぼ等間隔である三重の同心円が描かれ,同心円の中心が画面のほぼ中央に位置し,最も外側の円の大きさは,水中の画像の約半分を占める点,③背景が全体的に薄暗い青で,水底の左右両端付近に,同心円に沿うような形で岩陰が描かれ,水草,他の生物等は描かれていない点,④一匹の黒色の魚影が描かれており,魚の口から画像上部に向かって黒い直線の糸の影が伸びている点,⑤背景画像は静止し,釣り針にかかった魚影のみが,頻繁に向きを変えながら水中全体を動き回る点,⑥同心円と魚影の位置関係によって釣り糸を巻くタイミングが表現されている点に表現上の本質的な特徴があり,創作性がある。被告作品は,これらの表現上の本質的な特徴の同一性を維持し,原告作品の魚の引き寄せ画面が有する表現上の本質的な特徴を直接感得することができる。

イ 第1審被告らの主張について
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ウ 類似釣りゲームの配信停止
円を表示したゲームの中に,水中に同心円を配置した釣りゲームである「釣り★タウン」と「釣りコレDX」が含まれていた。そのため,第1審原告は両ゲームの配信元に配信停止を求めていたところ,「釣りコレDX」は平成22年8月13日に配信を停止し,「釣り★タウン」も,本件の第1審判決後の平成24年5月31日をもって配信を停止した。にもかかわらず,第1審被告らは,被告作品の配信を続けている。過去のゲーム業界は,開発者が工夫を重ねて面白いゲームを開発することで,新たなゲームが生まれ,発展してきた。更なるゲーム業界の発展のために求められるのは,このような開発者の創意工夫を正当に評価・保護し,かつ,安易な模倣行為を制約することである。ゲーム業界の発展のためには,被告作品のような模倣行為を放置すべきではない。

(2) 争点1-2(被告作品における主要画面の変遷は,原告作品における主要画面の変遷に係る第1審原告の著作権及び著作者人格権を侵害するものか)について

ア 主要画面の遷移と相違点の存在

(ア) 相違点の存在
原判決は,原告作品と被告作品との間に相違点が認められることを理由に挙げて原告作品の創作性を否定した。しかし,後発の被告作品と先行の原告作品との間に相違点があることは,両作品の共通性・類似性に関する論点には関係することがあっても,原告作品の創作性を否定する理由にはなり得ない。原判決が原告作品と被告作品との相違箇所として認定した,①船釣りの画面は,一時的に掲載されるだけの「トッピング」というべきものに留まるのであり,②キャスティング画面に遷移する前に決定キーを押す画面は,機能をそのまま文字に書いた表示であり,③海釣り又は川釣りを選択する画面も,原告作品と被告作品との間の共通性・類似性を否定する根拠にはならず,些細な差である。また,原告作品と被告作品のそれぞれの具体的な表現が完全に一致していることまでは,著作権侵害の類似性の要件とはされていないのであり,相違点があるというだけでは著作権侵害を否定できない。本件においても,主要画面の要素の選択・配置及び主要画面の遷移について存する原告作品と被告作品との相違箇所は,印象を大きく異ならせるに足るほどのものではないし,原判決が相違点として認定した要素があっても,原告作品の一部を変えたものと容易に認識できる程度に,原告作品が有する主要画面の要素の選択・配置及び主要画面の遷移における特徴・個性的な表現が被告作品には再現されている。

(イ) 他の携帯電話機用釣りゲームに設けられている画面の状況
原判決は,「主要画面の選択」だけを個別に取り出し,他の携帯電話機用釣りゲームにおいて設けられている画面の状況を根拠に,原告作品の主要画面の遷移の創作性を否定した。しかし,第1審原告は,ゲームをプレイする際に遷移する主要画面の選択・配列と,それぞれの主要画面中に描く素材の選択・配置の「全体」を創作性ある主要画面の遷移と主張しているのであって,上記の各主要画面の存在のみから創作性があると主張したのではない。携帯電話機用釣りゲームの主要画面となり得る画面は多種多彩にあり,主要画面とするにも画面の枚数には何ら制限がないのであり,ゲームをプレイする際に必ずたどる主要画面を,その作者には,どのように選択して配列するか多数の選択肢がある。さらに,各主要画面をそれぞれ見ても,1つの主要画面にどのような素材をどのように配置するかも多彩である。こうした多数ある選択肢の中から製作された原告作品の主要画面の遷移は全体として創作性を有している。


(ウ) 現実の釣り人の行動様式
原判決は,携帯電話機用釣りゲームを製作するに当たって,原告作品において1つの画面を選択,配列したことに創作性は認められないとしたが,自然であることや現実の釣り人の行動様式であることは,原告作品の創作性を否定する理由にはならない。表現の対象が何であっても創作性は認められ得るし,原告作品の主要画面の遷移は,現実の釣りでは通常ない展開もある。

(エ) 容易性・利便性からの制約「
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イ 主要画面の遷移(要素の選択・配置)の創作性

(ア) 主要画面の要素の選択・配置と遷移の創作性
携帯電話機用ゲームが,複数の画面の連続により構成される場合,数ある画面のうち,特にユーザーがゲームを行う際に必ずたどる画面(主要画面)は,ユーザーがゲームをするときに必ず目にする表現であり,ゲームの作者は,ユーザーに対してゲームで表現しようとするテーマや内容を主要画面において表現しようとする。まず,①ゲームを展開させる各主要画面の選択と配列(ゲームの骨格となる主要画面としてどのような画面を幾つ設け,どのように遷移させていくか)は,ゲームをプレイする全体の印象や,ゲームの手順・ストーリー等に大きく影響を与える。また,②主要画面1個に描く素材の選択と配列(展開する複数の主要画面の中の1つの主要画面だけを取り上げてみても,その1つの主要画面の中にどのような素材を選択してどう配置するか)も,それぞれの画面の表現内容と印象を左右し,ゲームの個性を特徴付ける。そのため,上記①②とも,ゲームの表現上の特徴を構成する重要な要素となるもので,多くの選択肢の中で,ゲームの作者・デザイナーらが工夫を凝らし創作性が発揮される。こうした画面に依拠して類似する他社の作品は翻案権を侵害するものとなる。

(イ) 主要画面の遷移に関する著作権侵害の判断基準
創作性は著作物を全体的に観察して判断されるもので,一つのまとまりのある著作物を個々の構成部分に分解して,パーツに分けて創作性の有無や,アイデアか表現かを判断することは妥当ではない。また,素材の選択と配列に関する著作物の侵害の有無を判断するにおいては,「素材の選択又は配列」の近似度だけでなく,選択又は配置された素材まで似ている場合,アイデアにとどまらず表現までも模倣されているといえるから,アイデアと表現の区別が意図する「創作の自由」は確保されている。アイデアか表現かの区別を,素材の内容をも加味した素材の選択と配列の総体のレベルで吟味するのであるから,「総体」として創作的表現が共通していれば足り,個々の素材の近似度は必ずしもそれ自体として単独で創作的表現の共通性の程度にまで達している必要もない。

ウ 原告作品の主要画面の遷移と要素の選択・配置の創作性の分析的検討創作性は主要画面の遷移・要素の総体で判断されるべきであるが,個別分析的に見ても,以下のとおり,いずれも工夫を凝らした具体的な表現であり,原告作品の主要画面の遷移(要素の選択・配置)に創作性がある。
①トップ画面から釣り場選択画面への遷移,②釣り場選択画面からキャスティング画面への遷移,③キャスティング画面から魚の引き寄せ画面への遷移,④魚の引き寄せ画面から釣果画面への遷移のいずれも,原告作品の表現は,他の釣りゲームには見られなかったもので,リンクの配置も,他の釣りゲームには見られない表現である。原告作品の主要画面の遷移(要素の選択・配置)には,具体的な表現に他社ゲームには見られない,製作者の思想が具体的に表れており,原告作品の主要画面の遷移(要素の選択・配置)には創作性が認められる。

エ 「非主要画面」の素材の選択・配置の創作性について
第1審原告が,原告作品の「展開する各画面の選択と配列」と「1個の画面中に描く素材の選択と配置」について創作性を主張してきたのは,原告作品の骨格をなしている,ユーザーがゲームを行う際に必ずたどる「主要画面」に関してのものである。非主要画面に仮に創作性がないとしても,原判決が,そのことによって創作性のある「主要画面」の要素選択・配置及び遷移の著作権侵害まで否定されるとしたのは背理である。

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つづく