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わかる! 使える! 契約書の基本

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顧客情報の不正利用 競業的行為をやめさせる方法はあるか 7

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つづき

ウ 有用性・非公知性について

(ア) 次に,本件における有用性及び非公知性についてみると,証拠(甲22,原審証人 H )によれば,1審原告らの顧客は,1審原告ネクストの販売する投資用マンションを買い増しして1審原告コミュニティに賃貸管理を委託することが多いため,本件顧客情報を用いて営業活動を行えば効率的に投資用マンションの売買契約や賃貸管理委託契約を成立させ得ること,本件顧客情報は,1審原告ネクストの販売する投資用マンションを購入した約7000名の個人情報であり,一般には知られていないことが認められるから,本件顧客情報は,1審原告らの事業活動に有用な営業上の情報であって,公然と知られていないものといえる。


(イ) 以上に対して,1審被告らは,顧客の氏名や住所,電話番号,勤務先名・所在地が登記事項要約書やNTTの番号案内,名簿業者,インターネットから容易に入手することができるので,本件顧客情報は有用な情報でも非公知の情報でもない旨主張する。しかしながら,本件顧客情報は,単なる少数の個人に係る氏名等の情報ではなく,1審原告ネクストの販売する投資用マンションを購入した約7000名の個人に係る氏名等の情報であって,そのような情報を登記事項要約書やNTTの番号案内,名簿業者,インターネットで容易に入手することができないことは明らかである。また,1審被告らは,1審被告らが利用した51名というごく一部の顧客に関す
る情報については有用性及び非公知性について事案に即した判断をしていない旨を主張する。しかしながら,上記51名が上記約7000名の顧客に含まれるものであり,当該約7000名の顧客情報(本件顧客情報)に有用性及び非公知性が認められる以上,当該51名について個別に有用性又は非公知性について論ずる必要はない。よって,1審被告らの上記主張は,採用できない。


エ 小括
以上によれば,1審原告らの顧客情報である本件顧客情報は,1審被告 Y1 及び同 Y2 の携帯電話や記憶に残っていたものも含め,1審原告らの営業秘密に該当するというべきであって,1審被告 Y1 及び同 Y2 らは,その帰属主体ではないといわざるを得ない。


2 争点2(1審被告 Y1 及び同 Y2 は,退職後に1審原告ら又は秘密保持義務を負った1審原告らの元従業員から取得した1審原告らの顧客情報を使用して1審原告らの顧客に連絡し,営業活動を行ったか)について

(1) 認定事実
この点に関する当裁判所の認定事実は,原判決別紙顧客勧誘一覧表の顧客番号30の当裁判所の判断欄のうち事実認定部分の1行目を「面識がなかったが,1審被告 Y1 は,1審原告ネクストを退職後に顧客と面識を得た B の紹介で,平成20年末頃,顧客に電話連絡」と,同欄のうち顧客情報使用部分の「○」を「×」と改める一方,顧客番号43の当裁判所の判断欄のうち事実認定部分の1行目を「担当者だった1審被告 Y1 は,平成20年8月,1審原告ネクスト在職中に記憶していた顧客の住所に関する情報に基づきNTT番号案内で調べた顧客の自宅電話に」と
改め,当該部分7行目及び8行目を削除し,同欄のうち顧客情報使用部分の「×」を「○」と改めるほかは,同欄記載のとおりであるから,これを引用する。

(2) 検討
ア 前記認定の事実によれば,1審被告 Y1 は,1審原告ネクスト営業部の元同僚である A ,I ,B ,J , K 及び L から,1審原告コミュニティとの間で賃貸管理委託契約を締結していた顧客の紹介や情報提供を受けている。ところで,前記1(1)ア(ウ)に認定のとおり,1審原告ネクストの営業部所属の従業員は,見込み客との間で投資用マンションの売買契約を成立させると,併せて,1審原告コミュニティから授権された代理人又は使者として,顧客との間で賃貸管理委託契約の締結にも当たっていたこと,前記1(1)イに認定のとおり,1審原告らは,その双方の従業員に対して本件顧客情報を含む営業秘密の管理について研修等を実施しており,前記1(2)ア(ア)に認定のとおり,本件顧客情報は,1審原告らに帰属しているものである以上,1審原告ネクストの営業部所属の従業員又は元従業員(1審被告 Y1 及び同 Y2 を含む。)は,いずれも,1審原告ネクストに対して,本件就業規則に基づき本件顧客情報についての秘密保持義務を負うほか,併せて,1審原告コミュニティの代理人又は使者としての善管注意義務に基づき,1審原告コミュニティのために賃貸管理委託契約の締結に当たり開示される本件顧客情報について,秘密保持義務を負うものと解するのが相当である。

そして, A , I , B , J , K 及び L は,1審原告ネクストを退職した1審被告 Y1 に対して本件顧客情報を開示したのであるから,いずれも,1審原告ネクストに対する本件就業規則上の秘密保持義務違反が成立するのみならず,1審原告コミュニティに対する代理人又は使者の善管注意義務に基づく秘密保持義務違反が成立するというべきである。そうすると,前掲各証拠によれば,1審被告 Y1 及び同 Y2 は,原判決別紙顧客勧誘一覧表中の当裁判所の判断の顧客情報使用欄に○と記載された1審原告らの顧客については,①本件顧客情報のうち1審被告 Y1 及び同 Y2 ãŒè¨˜æ†¶ã—ã¦ã„ãŸé¡§å®¢ã®æ°åã‚„ä½æ‰€ï¼Œå‹¤å‹™å…ˆã®æƒ…å ±ã‚’åŸºã«ï¼Œï¼®ï¼´ï¼ ´ã®ç•ªå·æ¡ˆå†…やインターネットで顧客の自宅や勤務先の電話番号を調べた上で連絡したり,本件顧客情報のうち1審原告ネ
クスト在職中に顧客から教えてもらって自己の携帯電話に登録していた顧客の携帯電話番号を基に,顧客の携帯電話に連絡したり,②本件顧客情報のうち元同僚が1審原告らに対する秘密保持義務に違反して開示した情報を元に,顧客の電話に連絡したりして,投資用マンションの賃貸管理の委託先を1審原告コミュニティから1審被告レントレックスに変更するよう勧誘したものであると認められるから,①1審原告コミュニティから,又は,②1審原告コミュニティに対する代理人又は使者の善管注意義務に基づく秘密保持義務を負った1審原告ネクストの元従業員から,それぞれ取得した,1審原告コミュニティの本件顧客情報を使用して同1審原告の顧客に連絡し,営業活動を行ったものといわなければならない。なお,1審被告Y1 及び同 Y2 は,投資用マンションに関する賃貸管理の委託先を変更するよう勧誘したものであるから,1審原告ネクストの顧客に対する営業活動を行ったものとまでいうことはできない。


イ 他方,前掲各証拠によれば,1審被告 Y1 及び同 Y2 は,原判決別紙顧客勧誘一覧表中の当裁判所の判断の顧客情報使用欄に×と記載された1審原告らの顧客については,顧客の方から連絡を受けたり,知人からの情報提供,名簿業者から入手した名簿,不動産登記簿謄本とNTT番号案内の番号案内で知った面識のない顧客の自宅電話や携帯電話,勤務先の電話番号を基に連絡したりしたものであると認められるから,1審原告らや,1審原告らに対する秘密保持義務を負った1審原告らの元従業員から取得した本件顧客情報を使用して,1審原告らの顧客に連絡し,
営業活動を行ったものとまでいうことはできない。なお,顧客から連絡を受けた場合,顧客の氏名と電話番号以外の本件顧客情報を使用した可能性も考えられなくはないが,これを認めるに足りる証拠はない上,図利加害目的があるとはいい難く,上記判断を左右するものではない。

ウ 以上に対して,1審原告らは,顧客から1審被告 Y1 宛に電話がかかってきた事案(顧客番号1,6,9,11,21,41,42,48,51),面識がない顧客に対してNTT番号案内等で勧誘行為を行った事案(同20,31,58,64),及び「知人」を介して顧客情報を再取得した事案(同22)について,いずれも顧客情報が不正に使用されたものである旨を主張する。しかしながら,これらの各事案について,本件顧客情報が不正に使用されたと認めるに足りる的確な証拠はなく,1審原告らの上記主張は,採用できない。また,1審原告らは,顧客番号30についても, B が1審原告ネクスト在職中に得た顧客情報に基づいて1審被告 Y1 に紹介した旨を主張する。そこで検討すると,顧客番号30は,平成21年2月上旬以降に B を介して1審被告 Y1 と連絡をとった旨の陳述書(乙46)を提出しており,1審被告 Y1 の陳述書(乙62)の記載もこれに沿うものであるところ,当該顧客は,同年1月7日には1審原告コミュニティに対する賃貸管理委託契約解約届等を作成しており(甲7)1審被告 Y1 と連絡をとるようになった時期については,不正確な記載となっていることは否めない。しかしながら,顧客番号30の上記陳述書は,他の投資用マンション管理会社の倒産に関連して1審原告らに不安を抱いた上記顧客が自ら当該倒産会社の関連会社に勤務していた B に連絡をとったところ, B から1審被告 Y1 を紹介された経緯を詳細に記載しており,当該記載からは, B が当該顧客に関する情報を1審原告ネクスト在職中に1審原告らから開示されていたとまでは直ちに認め難いばかりか,他に B が当該情報を1審原告ネクスト在職中に1審原告らから開示されたと認めるに足りる証拠はない。よって,1審原告らの上記主張は,採用できない。


エ 他方,1審被告らは,多数の1審原告らの顧客に対して一括して資料を送付していないから,本件顧客情報を使用していない旨を主張するほか,1審被告らは,顧客の連絡先等が1審原告ネクストの従業員と顧客との間の人的関係を営む上で不可欠である以上,これに基づく顧客との接触が違法なものとはならない旨を主張する。

しかしながら,1審被告 Y1 及び同 Y2 は,前記アに認定のとおり,記憶していた顧客の氏名や住所,勤務先,携帯電話に登録していた顧客の携帯電話番号又は元同僚の紹介や情報提供を基に,原判決別紙顧客勧誘一覧表中の当裁判所の判断の顧客情報使用欄に○と記載された1審原告らの顧客(顧客番号43を含む。)に対して連絡したものであるところ,このような行為は,本件顧客情報の使用に該当することが明らかであって,その態様に照らすとき,1審被告 Y1 及び同 Y2 と顧客との間の人的関係に基づく接触にとどまるものとは到底評価できない。

よって,1審被告らの上記主張は,採用することができない。オ 1審被告らは,1審原告ネクストの従業員が1審原告コミュニティの代理人又は使者であったことを否認するほか,単に賃貸管理委託契約に署名捺印を求めるよう指導されており,全ての顧客との間で当該契約を締結していたわけではない1審原告ネクストの元従業員である1審被告 Y1 及び同 Y2 が,1審原告コミュニティに対する関係でも秘密保持義務を負うことはない旨を主張する。しかしながら,前記1ア(ウ)及び(エ)に認定の1審原告らの業態及び前記1イ(イ)に認定の従業員に対する研修の在り方に照らせば,1審原告ネクストの従業員が1審原告コミュニティのために賃貸管理委託契約の締結業務に当たっていたとの原審証人 H ã®ä¾›è¿°ã¯ï¼Œã“ã‚Œã‚’ä¿¡ç”¨ã§ãï¼Œï¼‘å¯©åŽŸå‘Šãƒã‚¯ã‚¹ãƒˆå¾“æ¥­å“¡ãŒã“ã®ã‚ˆã†ãªæ¥­å‹™ã‚’è¡Œã†ã“ã¨ã¯ï¼Œæ³•çš„ã«ã¯ä»£ç†äººåˆã¯ä½¿è€…ã¨è©•ä¾¡ã™ã‚‹ã®ãŒç›¸å½“ã§ã‚ã£ã¦ï¼Œã“ã‚Œã‚’è¦†ã™ã«è¶³ã‚Šã‚‹è¨¼æ‹ ã¯ãªã„ã€‚ãã—ã¦ï ¼Œå‰è¨˜ã‚¢ã®ã¨ãŠã‚Šï¼Œï¼‘審原告ネクストの営業部所属の従業員又は元従業員は,1審原告コミュニティに対し,代理人又は使者としての善管注意義務に基づき本件顧客情報についての秘密保持義務を負うものと認められるのであるから,これに反する1審被告らの上記主張は,採用できない。カ 1審被告らは, A が,1審原告ネクスト退職後に知り得た顧客情報を1審被告 Y1 に提供したものであって,在職中に知り得た顧客情報を提供したものではないから,秘密保持義務の対象とはならない旨を主張する。しかしながら, A (乙5)の陳述書の記載によっても, A は,1審原告ネクストを退職後も,1審原告ネクストから投資用マンションを購入した者の顧客情報を把握した上で,更に登記簿謄本等を入手して個別の顧客に対して連絡を取るなどしており,顧客番号15,23,26,35,38,39,44,45,50及び53ないし56の各顧客は,いずれも例外なく1審原告ネクストから投資用マンショ
ンを購入していた者であったことを併せ考えると, A は,これらの顧客に関する情報を1審原告ネクスト在職中に1審原告らから開示されて知っていたものと認めることができる。したがって,1審被告らの上記主張は,採用できない。

キ 小括
以上によれば,1審被告 Y1 及び同 Y2 は,1審原告ネクストを退職した後,別紙顧客勧誘一覧表中の当裁判所の判断の顧客情報使用欄に○と記載された顧客(顧客番号30を除き,顧客番号43を含む。)に対し,1審原告コミュニティ又は同1審原告に対する秘密保持義務を負った1審原告ネクストの元従業員から取得した1審原告コミュニティの営業秘密である本件顧客情報を使用して1審原告コミュニティの顧客に連絡し,営業活動を行ったというべきである。


つづく