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顧客情報の不正利用 競業的行為をやめさせる方法はあるか 3

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つづき


第3 当事者の主張

1 原審における主張
原審における当事者の主張は,審級に従って必要な読替えを行い,原判決8頁19行目「営業秘密の不正取得・使用の不正競争行為等に関して」を「不正取得行為又は図利加害目的による顧客情報使用(不正競争防止法2条1項4,5,7,8号)について」,同8頁20行目「争点①」を「争点1」,同11頁16行目「争点②」を「争点2」,同13頁2行目「争点③」を「争点3」,同16頁10行目「争点④」を「争点4」,同17頁12行目「信用毀損の不正競争行為等に関して」を「信用毀損(不正競争防止法2条1項14号)について」,同17頁13行目「争点①」を「争点5」,同18頁5行目「争点②」を「争点6」,同19頁4行目「争点③」を「争点7」,同20頁14行目「誓約書違反又は就業規則違反の債務不履行等に関して」を「債務不履行について」,同20頁15行目「争点①」を「争点8」,同21頁13行目「争点②」を「争点9」,同22頁4行目「争点③」を「争点10」,同23頁10行目「争点(因果関係・損害)について」を「争点11(因果関係及び損害)について」と,それぞれ改めるほかは,原判決8頁19行目ないし16頁21行目,同17頁12行目ないし20頁3行目,同20頁14行目ないし22頁19行目,同23頁10行目ないし25頁16行目に記載のとおりであるから,これを引用する。

2 当審における主張
(1) 争点1(1審原告らの顧客情報は,1審被告 Y1 及び同 Y2 の携帯電話や記憶に残っていたものも含め,1審原告らの営業秘密に該当するか)について

〔1審原告らの主張〕

ア 1審原告コミュニティは,1審原告ネクストの完全子会社であり,両者は,同一の執務空間で有機一体的に投資用不動産の販売(1審原告ネクスト)及びその
後の管理(1審原告コミュニティ)を業務として行っており,密接不可分の関係に
ある以上,顧客情報を一体として共有して管理することは,当然の帰結であって,当該顧客情報は,両者の双方に帰属する。1審原告らは,従業員に対し,上記顧客情報及びその記憶が営業秘密に該当するものとして,これらが漏れないように徹底した情報管理教育を行ってきた。また,1審原告ネクストの営業部員は,電話をかける連絡先等の情報や営業に要した実費を全て1審原告ネクストから得ているのであって,1審原告ネクストに終身雇用されていないからといって,当該情報が1審原告らのものでなくなり,あるいは1審原告らの従業員(1審被告 Y1 及び同 Y2ら)との共有となるものではない。

イ 1審原告ネクストの従業員が契約内容報告書の写しを保管していたとしても,
然るべき管理体制や従業員教育が行われていれば,顧客情報に秘密管理性は認められるし,顧客情報は,全体が一体として記録されることで情報資産となっているのであって,その一部を取り出して秘密管理性を検討すべきものではない。

ウ 1審被告 Y1 及び同 Y2 は,1審原告ネクストの元従業員という立場を利用
して,1審原告らの顧客に関する情報を集中的に不正利用したものであって,1審原告ネクスト在職中の職務を離れた人的関係を利用した営業などではなく,1審被告レントレックスの顧客の多くが現在でも1審原告らの元顧客であることから明らかなように,1審原告らの顧客情報は,その数の多寡を問わずに有用性がある。また,インターネット等の媒体を利用したとしても,1審原告らの顧客であるか否かや,ましてその携帯電話番号などは,入手できるものではないから,1審原告らの顧客情報は,非公知性がある。

〔1審被告らの主張〕

ア 1審原告ネクストの従業員は,1審原告ネクストから全ての営業先の連絡先
を得ていたわけではなく,その営業活動も,従業員独自の経済的負担においてされていたのであって,終身雇用制が崩壊したといわれる昨今,業務上知り得た取引先に関する情報が全て元勤務先に帰属すると解することは,職業選択の自由を著しく制限するものであ㠂‹ã€‚よって,1審原告ネクストの顧客情報は,1審原告ネクスト並びにその従業員であった1審被告 Y1 及び同 Y2 の共有であると解するのが相当である。

イ 1審原告ネクストは,顧客ファイルを一元管理していたとされるが,その従
業員も,契約内容報告書の写しを保管していたし,1審原告ネクストの顧客情報は,氏名,連絡先又は住所等が単独でも営業秘密として明示されている必要があるのに,そのような明示はされていないから,当該顧客情報に秘密管理性は認められない。

ウ 1審被告 Y1 及び同 Y2 は,名簿や登記事項要約書に基づき調査した結果連
絡先が判明した顧客を除き,1審被告 Y1 及び同 Y2 並びに元同僚らがその氏名や連絡先を記憶していた顧客か,あるいはその一部を記憶していた情報に基づきインターネット等を用いて連絡した顧客が多数である。そして,このようなインターネット等を利用して収集された1審原告ネクストのごく一部の顧客に関する情報は,それ自体,何ら有用性や非公知性が認められない。この点,原判決は,1審被告らが取得も利用もしていない,有機的一体的に機能することで有用性及び非公知性が認められる約7000名の本件顧客情報について有用性及び非公知性を認定しているにすぎず,1審被告らが利用した51名というごく一部の顧客に関する情報については,不正に複写するなどされていたと認めるに足りる証拠はないから,本件に即した判断をしていない。むしろ,1審被告 Y1 及び同 Y2 は,1審原告ネクストの従業員であったことに基づき,顧客との業務の枠を超えた人的関係を利用して営業活動をしたにすぎず(乙27,30,38),このことは,1審被告 Y1 及び同Y2 の携帯電話に登録されていた顧客の連絡先についても同様である。


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つづく