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わかる! 使える! 契約書の基本

契約書は経営、起業・独立、副業に必須のスキルです! 自分で契約書がつくれると楽しいですよ

顧客情報の不正利用 競業的行為をやめさせる方法はあるか 2

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つづき
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3 原判決の要旨

原判決は,原判決別紙顧客移動一覧表及び顧客勧誘一覧表記載の顧客番号1ないし65の66名の顧客(顧客番号49の顧客は2名と数える。以下,当該各一覧表に記載の顧客を,その番号に従って「顧客番号1」などという。)のうち,51名に対する不正競争防止法2条1項7,8号所定の図利加害目的による顧客情報使用を認定したほか,同じく66名の顧客のうち,10名に対する同項14号所定の信用毀損を認定し,同法4条に基づき,1審原告らの請求を1審原告ネクストについては,信用毀損による損害(100万円)及び弁護士費用(10万円),1審原告
コミュニティについては,逸失委託料相当額(303万3214円),信用毀損による損害(50万円)及び弁護士費用(40万円)及びこれに対する遅延損害金の支払を求める限度で認容した。これに対し,1審被告らは,原判決を不服として控訴し,1審原告らも,附帯控訴した。

4 前提となる事実(証拠を掲記したものを除き,当事者間に争いがない。)

(1) 1審原告ネクストの秘密管理・競業禁止に関する規定平成19年2月1日に実施された1審原告ネクストの就業規則(以下「本件就業規則」という。)には,次の規定がある(甲27の2)。

(服務上の厳守事項)
12条 社員は常に次の事項を守らなければならない。
15号 会社内外を問わず,在職中又は退職後においても,会社,取引先等の機密,機密性のある情報,顧客情報,企画案,ノウハウ,データ,ID,パスワード及び会社の不利益となる事項を第三者に開示,漏洩,提供しないこと,またコピー等をして社外に持ち出さないこと

(退職・解雇後の義務)
54条2項 退職し又は解雇された者でも,在職中に知り得た会社の業務上の機密を他に漏らしてはならない。

(競業避止義務)
55条 社員のうち役職者,又は企画の職務に従事していた者が退職し,又は解雇された場合は,会社の承認を得ずに離職後6ヵ月間は日本国内において会社と競業する業務を行ってはならない。また,会社在職中に知り得た顧客と離職後1年間は取引をしてはならない。

(金品等の返還等)
56条4項 退職し又は解雇された従業員は,退職し又は解雇された後も会社で知り得た機密を保持しなければならない。

(2) 1審被告 Y1 及び同 Y2 の誓約書の提出
1審被告 Y1 は,平成20年5月14日,1審被告 Y2 は,同年9月16日,いずれも1審原告ネクストに退職を申し入れるとともに,次の誓約事項を含む誓約書(以下「本件誓約書」という。)を提出し,以後各退職日までは有給休暇を取得した(甲4,5,66,乙62,63)。

1項 貴社在職中に知り得た貴社および貴社の顧客についての機密を保持します。この機密のなかには,貴社在職中知り得た個人情報を含みます。
2項 貴社在職中に職務遂行上の必要から交付を受けた業務上の資料および貴社顧客から貴社が交付を受けた機密情報並びにそれらの複製物の一切を貴社に返還し,何らこれらの機密情報を有していません。
3項 貴社在職中知り得た個人情報を記録した資料,電子ファイルは一切保有していません。
4項 貴社在職中に知り得た顧客その他の個人情報,機密情報もしくは業務遂行上知り得た特別の技術的機密を基に競合的あるいは競業的行為を行いません。

(3) 1審被告 Y1 及び同 Y2 のその後の活動等

ア 日刊新聞ゲンダイ(以下「日刊ゲンダイ」という。)は,平成20年11月7日,同月6日発行の同紙において,「どこまで続く不動産倒産」「PBR0.3以下 危険信号48社」という見出しの下に,「今年に入ってから上場会社の倒産は27社。そのうち建設・不動産が18社にのぼる。危ない業界の筆頭だ。」「PBR(純資産倍率)…0.5倍を切るような会社は実態とかけ離れ過ぎています。悪材料がひそんでいると判断したほうが賢明です。」「不動産を中心に市場が危険水域と判断する「0.5倍」より,さらに低い「0.3倍」以下を調べたところ48社もあった(別表)。」という記述部分や,PBRを0.25倍とする1審原告ネクスト等,PBRが0.3倍以下の上場不動産企業48社の一覧表を含む記事゠’掲載した(乙1)。
1審被告レントレックスは,平成20年12月頃から平成21年1月頃までの間,1審原告コミュニティの顧客らの一部に対し,この記事に基づき,「どこまで続く新築販売不振と不動産倒産」「上場不動産会社 危険信号48社!!」という見出しと「日刊ゲンダイ2008年11月6日号一部抜粋」という注釈の下に,倒産件数を加えた以外は,上記記述部分や上記一覧表と同旨の記述部分や一覧表を含む書面(以下「本件書面」という。)を送付した(甲8の1・2)。
イ また,1審被告レントレックスは,平成20年12月頃から平成21年2月頃までの間にかけて,原判決別紙顧客移動一覧表中の顧客氏名欄・住所地欄・解約届作成日欄・解約物件欄各記載のとおり,顧客番号1ないし62の63名(顧客番号49の顧客は2名と数える。)の1審原告コミュニティの顧客を代理して,1審原告コミュニティに対し,139件の投資用マンションに係る賃貸管理委託契約を解約するとともに,同別紙中の平成20年12月から平成21年2月頃までの1審被告レントレックス受託の有無欄記載のとおり,うち38名の顧客との間で,うち
82件の投資用マンションに係る賃貸管理委託契約を締結した(甲7,弁論の全趣旨)。



5 本件訴訟の争点

(1) 不正取得行為又は図利加害目的による顧客情報使用(不正競争防止法2条1項4,5,7,8号)について

ア 1審原告らの顧客情報は,1審被告 Y1 及び同 Y2 の携帯電話や記憶に残っていたものも含め,1審原告らの営業秘密に該当するか(争点1)

イ 1審被告 Y1 及び同 Y2 は,退職後に1審原告ら又は秘密保持義務を負った1審原告らの元従業員から取得した1審原告らの顧客情報を使用して1審原告らの顧客に連絡し,営業活動を行ったか(争点2)

ウ 1審被告 Y1 及び同 Y2 が1審原告らからその顧客情報を取得した場合,それは,不正の手段によるものか。仮に不正の手段によるものでない場合,1審被告Y1 及び同 Y2 が,1審原告らの顧客情報を1審原告らから示され,退職後に図利加害目的で1審原告らの顧客情報を使用して1審原告らの顧客に連絡し,営業活動を行ったといえるか,また,1審被告 Y1 及び同 Y2 が秘密保持義務を負った1審原告らの元従業員から1審原告らの顧客情報を取得した場合,それは悪意重過失によるものか(争点3)

エ 1審被告らの故意・過失(争点4)

(2) 信用毀損(不正競争防止法2条1項14号)について
ア 1審原告ネクストと1審被告らとは競争関係にあるか(争点5)
イ 1審被告らは1審原告らの顧客に対して1審原告らの営業上の信用を害する虚偽の事実を告知したか(争点6)
ウ 1審被告らの故意・過失(争点7)
(3) 債務不履行について
ア 本件誓約書・本件就業規則は公序良俗に反して無効か(争点8)
イ 1審被告 Y1 及び同 Y2 は退職後も1審原告らの顧客情報を保有してこれを基に競業的行為を行ったか(争点9)
ウ 1審被告 Y1 及び同 Y2 が退職後も1審原告らの顧客情報を保有してこれを基に競業的行為を行ったことに正当な理由があるか(争点10)
(4) 因果関係及び損害(争点11)


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つづく