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わかる! 使える! 契約書の基本

契約書は経営、起業・独立、副業に必須のスキルです! 自分で契約書がつくれると楽しいですよ

プロバイダは発信者の情報を開示すべきか? (おもしろい判例)

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情報開示請求をめぐって、

いわゆるレンタルサーバーの「ペーパーボーイ」が、
かの有名な「プラス株式会社」から提訴された事例。
内容は・・・

プロバイダは発信者の情報を開示すべきかどうか?

というおなじみの論点だけど、

不正競争防止法から、
開示を受けるべき正当な理由ありと認めた例。


不競法が根拠って、
すこしめずらしいかもしれない。


---


平成24年6月28日判決言渡 同日原本領収 裁判所書記官
平成23年(ワ)第37057号 発信者情報開示請求事件
口頭弁論終結日 平成24年5月8日

判 決
東京都港区<以下略>

原 告 プ ラ ス 株 式 会 社
同訴訟代理人弁護士 朝 比 奈 秀 一
東京都渋谷区<以下略>

被 告 株式会社paperboy&co.
同訴訟代理人弁護士 佐 藤 明 夫
糸 井 千 晴
江 鳩 孝 二
大 澤 康 泰


主文
被告は,原告に対し,別紙発信者情報目録記載の情報を開示せよ。
訴訟費用は被告の負担とする。

事 実 及 び 理 由

第1 請求
主文同旨

第2 事案の概要

本件は,原告が,被告のレンタルサーバに記録されたウェブページによって権利を侵害されたと主張して,被告に対し,特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律(以下「プロバイダ責任制限法」という。)4条1項に基づき,被告のレンタルサーバに上記ウェブページの情報を記録した者について,被告が保有する発信者情報の開示を求める事案である。

1 前提となる事実(証拠等を記載したもの以外は当事者間に争いがない。)

(1) 原告は,オフィス家具,オフィスインテリア用品,文具,事務用品等の製造,販売等を行う株式会社である(甲16)。

(2) 被告は,インターネットを利用した情報提供,ドメイン取得サービス,レンタルサーバの提供等を行う株式会社であり,インターネット上で不特定の者に対する送信をすることを目的とするレンタルサーバを保有しているが,平成23年8月ころまでに,被告のレンタルサーバに別紙ウェブページ目録記載1ないし5のウェブページ(以下「本件ウェブページ」という。なお,それぞれは,同目録記載の番号に従い「本件ウェブページ1」のようにいう。)の情報が記録された(甲1の1ないし5及び弁論の全趣旨)。

(3) 本件ウェブページ1は,トップページであり,本件ウェブページ2ないし5は,これにリンクされたページであって,その内容は次のとおりである(甲1の1ないし5,4)。

ア 本件ウェブページ1
最上部に「あなたらしさを大切にする,人材派遣。」との文字,複数の人の写真,花の絵等と別紙標章目録記載1の標章(以下「本件標章1」という。)から構成されたマーク(以下「本件マーク」という。)が掲載され,その下に,「人材派遣サービス「Plus」(別紙標章目録記載3の標章(以下「本件標章3」という。))は,自分らしさを大切にするあなたを応援します」との記載がある。

本文には,「おすすめ情報」との見出しの下に,「new! 新台モニター/時給2500円/」として,時間帯,勤務地,仕事内容についての記載があり,また,「人材登録」との見出しの下に,「あなたに合ったお仕事をご提案いたします」,「定員になり次第,応募は締切らせていただきます。」,「まずは,登録!」等の記載がある。

イ 本件ウェブページ2ないし5
いずれも,最上部に本件マークが,最下部に別紙標章目録記載2の標章(以下「本件標章2」という。本件標章1及び3と併せて,以下「本件各標章」という。)が掲載されている。

本文は,本件ウェブページ2では,「よくある質問」との見出しの下に,仕事の内容等に関する質問と答えが記載され,本件ウェブページ3では,「スタッフからの声」との見出しの下に,仕事の体験談や感想が記載され,本件ウェ ブページ4では,「会社概要」との見出しの下に,「株式会社インパクト」として,設立,資本金,業務内容,住所が記載され(なお,ここに記載されている会社は実在しない。),本件ウェブページ5では,「個人情報保護」との見出しの下に,「お客様情報」の管理の方針についての記載がされている。

(4) 本件ウェブページは,レンタルサーバに係る契約に基づき,情報が送信されて被告のレンタルサーバに記録されたものであり,被告は,本件ウェブページの発信者に係る別紙発信者情報目録記載1ないし4の各情報を保有している(弁論の全趣旨)。



2 争点及びこれについての当事者の主張


争点は,本件ウェブページによって原告の権利が侵害されたことが明らかであるか否かであり,これについての当事者の主張は次のとおりである。

(1) 原告の主張
原告は,次のいずれかの事由により,その権利を侵害されたものであり,このことは明らかである。

ア 商標権侵害
原告は,別紙商標目録記載の商標(以下「本件商標」という。)につき,指定役務を商標法施行令別表第35類「広告,経営の診断又は経営に関する助言,市場調査,商品の販売に関する情報の提供,ホテルの事業の管理」とする登録第5048849号(平成18年9月12日出願,平成19年5月18日設定登録)の商標権(以下「本件商標権」という。)を有しているところ,本件ウェブページに掲載された情報は,求人広告で派遣先の企業の情報を提供する広告であって,本件ウェブページ上で提供する役務は,本件商標権の指定役務である広告と同一又は類似の役務であり,本件各標章は,本件商標に類似するから,本件ウェブページによって本件商標権が侵害されたことは明らかである。

イ 不正競争防止法(以下「不競法」という。)2条1項1号の不正競争行為
「PLUS」の表示(以下「原告商品等表示」という。)は,原告の商号の略称で,全国規模で長期間継続して使用され,また,第三者によっても紹介された結果,わが国の取引者,需要者の間に広く知れ渡っているところ,本件各標章は,原告商品等表示に類似し,取引者,需要者が,本件ウェブページを閲覧した場合には,原告あるいは原告と緊密な営業上の関係を有する企業が求人をしているかのように誤認するおそれがあるから,本件ウェブページによって原告の営業上の利益が侵害されたことは明らかである。


ウ 不競法2条1項2号の不正競争行為
原告商品等表示は,原告の代表的な出所標識として著名な表示であるところ,本件各標章は,原告商品等表示に類似するから,本件ウェブページによって原告の営業上の利益が侵害されたことは明らかである。



(2) 被告の主張
本件ウェブページによって原告の権利が侵害されたとの主張は争う。


ア 商標権侵害
原告が本件商標権を有していること,本件各標章が本件商標に類似することは認めるが,本件ウェブページ上で提供する情報は,主として,これを記録した者自身及びこの者が紹介する業務の一般的な説明で,採用を希望する企業の紹介やその広告は含まれていないから,本件ウェブページ上で提供する役務は指定役務に類似しない。

イ 不競法2条1項1号の不正競争行為
本件各標章が原告商品等表示に類似することは認めるが,原告商品等表示が周知の表示であることは知らない。

ウ 不競法2条1項2号の不正競争行為
本件各標章が原告商品等表示に類似することは認めるが,原告商品等表示が著名な表示であることは知らない。



第3 当裁判所の判断
1 本件ウェブサイトによって原告の権利が侵害されたことが明らかであるか否かについて


⑴ 前記前提となる事実に,証拠(甲8,9の1,2,10ないし16)及び弁論の全趣旨を総合すれば,次の事実が認められる。


ア 原告は,昭和23年2月に創業した株式会社であって,オフ ィス家具,オフィスインテリア用品の製造販売,文具,事務用品,OA,PC関連商品,事務機器の製造販売等を事業内容にしている。


イ 原告は,創業当時から原告商品等表示を使用し,昭和39年12月からは原告商品等表示を付した商品カタログを発行してきた。原告の商品や役務は,一般紙,経済紙,地方紙,雑誌,テレビ,ラジオ等の媒体を通じて紹介されることがあるが,平成22年5月21日から平成23年5月20日までを例にとって,この間に紹介された媒体を集計してこれを広告費に換算すると,16億8333万円余りに及ぶ。


ウ 社団法人全日本文具協会が平成6年に発行した「日本国における文具有名商標集 1994」は,日本における文具関係の有名商標を外国にアピールするとともに,周知商標の立証の一助にする目的で発行されたものであるが,この中に原告の商標として原告商品等表示が掲載されている。また,社団法人国際工業所有権保護協会日本部会(AIPPI JAPAN)が発行する「日本有名商標集」は,特許庁の商標法4条1項10号,11号,15号又は19号の審査において,「需要者の間に広く認識されている商標」に関する審査を円滑かつ統一的に行うために利用する資料の一つであるが,その平成10年版及び平成16年版には,いずれも原告の商標として原告商品等表示が掲載されている。


(2) 上記(1)の認定事実によれば,平成23年8月までには,原告商品等表示は原告の営業を表示するものとして需要者の間に広く認識されていたものと認められる。


(3) 本件各標章の要部は,「PLUS」あるいは「Plus」の部分であって,本件各標章は周知の原告商品等表示に類似するから(このことは,被告も認めるところである。),本件ウェブページ上でその営業を表示するものとして本件各標章を使用する行為は,不競法2条1項1号に該当し,原告の営業と混同を生じさせるものということができる。そして,本件において,特段の事情があることは窺えないから,本件ウェブページ上で本件各標章を使用する行為によって原告の営業上の利益が侵害されたものと認められる。


(4) 被告のレンタルサーバは,インターネット上で不特定の者に対する送信をするのであるから,本件ウェブページに掲載された情報の流通によって原告の権利が侵害されたことは明らかである。


2 上記1に判示したところによれば,原告が損害賠償請求権を行使するためには,被告のレンタルサーバに本件ウェブページの情報を記録した者の発信者情報が必要であるから,原告にはその開示を受けるべき正当な理由があると認められる。


第4 結論

よって,原告の請求は理由があるから,これを認容することとして,主文のとおり判決する。


東京地方裁判所民事第47部
裁判長裁判官 高 野 輝 久
裁判官 三 井 大 有
裁判官 小 川 卓 逸


発 信 者 情 報 目 録

平成23年8月ころ被告のレンタルサーバにおいて,別紙ウェブページ目録記載1ないし5のウェブページを開設していた者に係る次の1ないし4の各情報

1 氏名又は名称
2 住所
3 電子メールアドレス
4 IPアドレス
ウェブページ目録
1(1)URL http://<以下省略>
(2)内容 人材募集の概要
2(1)URL http://<以下省略>
(2)内容 よくある質問Q&A
3(1)URL http://<以下省略>
(2)内容 スタッフからの声
4(1)URL http://<以下省略>
(2)内容 会社概要
5(1)URL http://<以下省略>
(2)内容 個人情報保護

参考:プロバイダ責任制限法4条


特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律

ï¼ˆç™ºä ¿¡è€…情報の開示請求等)
第四条  特定電気通信による情報の流通によって自己の権利を侵害されたとする者は、次の各号のいずれにも該当するときに限り、当該特定電気通信の用に供される特定電気通信設備を用いる特定電気通信役務提供者(以下「開示関係役務提供者」という。)に対し、当該開示関係役務提供者が保有する当該権利の侵害に係る発信者情報(氏名、住所その他の侵害情報の発信者の特定に資する情報であって総務省令で定めるものをいう。以下同じ。)の開示を請求することができる。

一  侵害情報の流通によって当該開示の請求をする者の権利が侵害されたことが明らかであるとき。

二  当該発信者情報が当該開示の請求をする者の損害賠償請求権の行使のために必要である場合その他発信者情報の開示を受けるべき正当な理由があるとき。


おしまい


---

すっきりした判例になってます。

まあ4条の趣旨から、
商標権侵害の事実があると認められれば
そこからの帰結で
開示請求に理由ありとされてしまうということですが。

問題となったホームページは、
人材派遣の広告だったので、
ここだけみると、たしかに、
指定役務には類似しないからいいんじゃない?
というところでせめていく作戦になるのだろう。

でも「プラス」が非常に有名な商品表示であったことから、
不競法2条1項1号に該当し,原告の営業と混同を生じさせるものということができる。 
と判断されて、
結果的に権利の侵害はもんだいなく導かれている。