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従業員の発明は、会社の特許になるの?

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従業員が単独でした発明によって「特許」が取得できた場合、
その「特許」は当然に会社のものになるのか?
あるいは発明をした従業員のものになるのか?


という以前からある論点。

この問題について、
あたまの整理にちょうどいい判例を見つけたので掲載。


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平成24年5月31日判決言渡 同日原本領収 裁判所書記官
平成23年(ワ)第37073号 職務発明の再譲渡請求事件
口頭弁論終結日 平成24年4月17日

判 決
東京都八王子市<以下略>
原 告 A
東京都八王子市<以下略>
被 告 ラピスセミコンダクタ株式会社
訴 訟 代 理 人 弁 護 士 鈴 木 康 之
同 今 井 多 恵 子
同 藤 田 悟 郎
同 渡 邉 健 太 郎

主 文

1 原告の請求を棄却する。
2 訴訟費用は原告の負担とする。

事 実 及 び 理 由

第1 請求
原告と被告との間において,原告が,特願2001-178618号の発明につき,特許を受ける権利を有することを確認する。

第2 事案の概要

本件は,被告の元従業員である原告が,被告に対し,沖電気工業株式会社(以
下「沖電気工業」という。)が出願し,その出願人名義が被告に変更された特願2001-178618号(以下「本件出願」という。)の発明(以下「本件発明」という。)の特許を受ける権利が原告に帰属する旨主張し,その確認を求めた事案である。

1 争いのない事実等(証拠の摘示のない事実は,争いのない事実又は弁論の全趣旨により認められる事実である。)


(1) 当事者
ア 原告は,平成6年4月に沖電気工業に入社し,半導体事業部門に配属された後,平成20年10月1日,同社の事業部門の一部門が同社を新設分割会社,被告を新設分割設立会社とする新設分割(以下「本件新設分割」という。)により被告に分割されたことによって沖電気工業の労働契約を承継した被告の従業員となった。その後,原告は,平成21年4月10日,被告を退職した(甲31)。

イ 被告(旧商号・「OKIセミコンダクタ株式会社」,平成23年10月1日現商号に商号変更)は,平成20年10月1日に本件新設分割により設立された,半導体並びに各種電子部品の開発,製造,販売及び輸出入等を目的とする株式会社である。

(2) 本件出願の経緯等
ア(ア) 沖電気工業は,平成13年6月13日,発明の名称を「半導体記憶装置およびその製造方法」とする発明(本件発明)につき本件出願をした。

(イ) 本件発明は,原告が単独でした発明であるが,沖電気工業の業務範囲に属し,かつ,原告の職務に属するものであって,特許法35条1項所定の職務発明に当たる。

原告は,本件出願の出願時までに,沖電気工業が制定した工業所有権管理規程(以下「本件規程」という。)に基づいて,本件発明の特許を受ける権利(以下「本件特許を受ける権利」という。)を沖電気工業に譲渡した(乙1,4)。

イ 被告は,平成20年10月1日,沖電気工業から,本件新設分割により本件特許を受ける権利を承継し,同年11月26日,本件出願の出願人を被告に変更する旨の出願人名義変更届(一般承継)を提出した(乙7)。

ウ 被告は,平成23年9月7日付けで本件出願について拒絶理由通知を受けた後,同年11月14日付けで手続補正書及び意見書を提出した(甲5,乙8の1,2)。

本件出願は,本件口頭弁論終結日現在,出願審査中である。

(3) 本件規程の定め
本件規程は,昭和45年4月1日に制定された後,数次にわたる改正を経ているが,本件発明に適用される平成12年4月1日改正のもの(乙1)には,職務発明に関し,次のような定めがある。

「第5条(発明の届出)
従業員等が,会社の業務または自己の職務に関する発明を行ったときは遅滞なく会社に届け出なければならない。
2.前項の届出は,当該従業員等が所属するCO工業所有権担当部門に所定の届出書を提出することにより行う。」

「第6条(権利承継の決定および発明区分の認定)
会社は前条に定める届出をうけたときは,当該発明の特許を受ける権利を承継するか否かの決定を行い,その結果を発明者に通知する。ただし,会社が権利の承継を決定し,かつ発明者からこの規程で定める条件で特許を受ける権利を譲渡する旨の意思表示があったものについては,会社が当該発明の出願適否の判断に基づき行う処理結果をもって,この通知に代えるものとする。
2.前項における譲渡する旨の意思表示は,前条の届出にあたって届出書の所定欄に記名捺印することによって行う。」

「第7条(特許を受ける権利の帰属)
従業員等は,第5条の定めにより届け出た発明が職務発明であるときは,それに基づく特許を受ける権利を会社に譲渡しなければならない。

「第12条(特許権の放棄)会社は,出願中の発明および特許発明を不要と認めた場合には,あらかじめ発明者にその旨を通知し,これを放棄することができる。
2.発明者は,前項の通知を受けたときは希望によりその出願中の発明および特許権を会社より譲り受けることができる。」


2 争点
本件の争点は,本件特許を受ける権利が原告に帰属するか否かである。

第3 争点に関する当事者の主張

1 原告の主張

本件特許を受ける権利は,本件発明の発明者である原告から沖電気工業を経
て被告に承継されたが,原告が平成21年4月に「会社都合」で被告を退職したことにより,その退職の時点で,原告に再度帰属するに至ったというべきである。その理由の詳細は,別紙のとおりである。

2 被告の主張
原告は,本件訴訟において,本件特許を受ける権利を沖電気工業に譲渡したことについて自ら認めている上,これまで沖電気工業及び被告に対して本件特許を受ける権利の譲渡自体について何ら不服を申し立てたことはない。また,沖電気工業及び被告が本件特許を受ける権利を放棄したことはなく,被告が原告に対し本件特許を受ける権利を再譲渡した事実もない。したがって,原告の主張は理由がない。


第4 当裁判所の判断

1 原告は,別紙のとおり,原告が「会社都合」で被告を退職したことにより,その退職の時点で,本件特許を受ける権利が原告に再度帰属するに至った旨主張する。

しかしながら,本件規程には,従業員が「会社都合」で退職した場合に,当該従業員から「会社」に譲渡された職務発明に係る特許を受ける権利を当該従業員に譲渡し,あるいは帰属させることを定めた条項は存在しない。他に原告と被告間において原告の退職の時点で被告の本件特許を受ける権利を原告へ帰属させる旨の合意をしたことを認めるに足りる証拠はない。

また,原告が別紙において主張する諸点を勘案しても,原告の退職の時点で
本件特許を受ける権利が原告に帰属するに至ったことの法的根拠となるもの
ではない。

したがって,原告の主張は,理由がない。

2 以上のとおり,原告の請求は,理由がないからこれを棄却することとし,主
文のとおり判決する。

東京地方裁判所民事第46部
裁判長裁判官 大 鷹 一 郎
裁判官 上 田 真 史
裁判官 石 神 有 吾
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おしまい。

いやはや、とにかくかいつまんでいえば、
工業所有権管理規定って重要ですね。