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わかる! 使える! 契約書の基本

契約書は経営、起業・独立、副業に必須のスキルです! 自分で契約書がつくれると楽しいですよ

契約解除の有効性?! まるでドラマな面白い判例 6

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前回からのつづき。

主張が入り乱れ、
ついに裁判所の判断。


まるで小説。

---

(2) 争点2
(本件通常実施権設定契約は架空のもの(虚偽表示ないし不存在)か)について

[原告の主張]

本件通常実施権設定契約は,被告MFI社が,本件特許権について通常実施権の設定登録を受けた●(省略)●を信用させるため,多数の通常実施権者がいるようにみせるよう,架空の登録を行ったものである。

本件通常実施権設定契約の締結に当たって,原告と被告イレブン社らとの間では,●(省略)●作成されておらず,原告に対して契約料も支払われていない。
また,被告イレブン社らのうち,被告イレブン社はDの会社であるが,既に破綻しているようであり,他の4社についても,いずれも,本件通常実施権の設定当時,その本店所在地が被告イレブン社と同一の住所であり,極めて近接した日時に設立され,資本金も極小であることから,Dの支配する会社であったと考えられる。

Aも,平成21年11月22日に,Bら及び原告代理人らがAの事務所を訪れた際,この点について,「丙区順位2番以下の登録はDさんの依頼により多数の通常実施権者がいるようにみせかけるため協力したものです。丙区順位2番以下の各社に実体上通常実施権を付与することを承諾したものではありません」と述べ,その旨を記載した書面(甲28の2,3)を作成している。

[被告らの主張]

●(省略)●ことから,今後,他の企業も本件特許を使ってのビジネス展開が有益にされることが想定され,通常実施権設定の契約金も高騰していくことが予想されたことから,本件特許に関心を示した被告イレブン社らと被告MFI社は,本件通常実施権設定契約を締結したものである。

しかしながら,その後,被告MFI社が本件訴訟に巻き込まれたことから,被告イレブン社らは,具体的に通常実施権の実施に至ることができず,また,被告MFI社としても,このような事態を踏まえ,本件訴訟の解決が図られるまでは,各社に対して通常実施権の実施料の支払を猶予せざるを得ず,今日に至っている。
なお,被告イレブン社らは,本件通常実施権設定契約の締結当時,同一所在地である長崎市<以下略>を住所地としていたが,当地は,第三者の所有する地上10階建てのマンション及び総合テナントビルである。

被告イレブン社らは,このビルの各テナントであるが故に,住所地が同一であるにすぎない。

第3 当裁判所の判断

1 争点1(本件専用実施権設定契約は,本件解約通知から2か月が経過したことにより終了したか)について

(1) 認定事実ア 前記争いのない事実等に加え,証拠(甲1~3,6~13,17,19,甲24の1~4,甲25,26,甲28の1~3,甲29,30,甲32の1~5,甲33の1~3,甲34の1,2,甲35~39,47~49,52,53,55,乙4の10~16,乙6~9,乙15の1,2,乙16,証人A,原告代表者,被告MFI社代表者(D))及び弁論の全趣旨によれば,以下の事実が認められる。

(ア)
 ï¼¡ã¯ï¼Œæ—¥æœ¬ä¿¡è²©æ ªå¼ä¼šç¤¾ã«åœ¨è·ä¸­ï¼Œå‹äººã¨ã¨ã‚‚に原告を設立し,原告が日本信販株式会社を退職後の平成11年ころ,友人が保有していた原告の株式を譲り受けることによって,原告の全株式を取得し,原告の代表取締役に就任した。

 ï¼¡ã¯ï¼Œå¹³æˆï¼‘1年8月に原告を特許権者として特許登録された本件特許権1を活用して特許料収入を得たいと考え,タイヘイコンピュータ株式会社と交渉し,平成14年10月10日ころ,同社との間で,本件特許権1について通常実施権許諾契約を締結した。

(イ)
 ï¼¡ã¯ï¼Œå¹³æˆï¼‘5年ころ,Dと知り合った。
Aは,Dから,本件特許権を利用する企業から特許の使用料を取得するというビジネスモデルを提案され,これに応じることとした。

Dが代表取締役を務める被告イレブン社と原告は,平成14年11月25日,「特許権の専用実施権設定に係わる基本契約書」(甲7。以下「原告・被告イレブン社間の専用実施権設定契約書」といい,同契約書に基づく契約を「原告・被告イレブン社間の専用実施権設定契約」という。)を締結し,原告が本件特許権について被告イレブン社に対して専用実施権を設定する旨を約した。

原告・被告イレブン社間の専用実施権設定契約書では,専用実施権の適用範囲及び適用期間について,次のとおり定められた。

第3条(専用実施権の適用範囲)
1. 当該特許における専用実施権の適用地域
は,九州各県,沖縄県及び山口県並びに各県下の離島に限定する。2. 省略

第4条(専用実施権の適用範囲期間)
1. 専用実施権の適用期間は,平成15年1月1日から当該特許権の有効期間内とする。ただし,実施料については,1年ごとに見直すこともできる。2. 第1項にかかわらず,各当事者は他方当事者に対し,2か月前までに書面による契約終了の意思表示を行い,他方当事者の書面による合意のもと,本契約を終了させることができる。

原告及び被告イレブン社は,平成15年2月14日,上記専用実施権の範囲について,地域を「九州各県,沖縄県,山口県及びこれらの離島」,期間を「全部」,内容を「全部」とする,専用実施権の設定登録手続を行い,同月26日,同設定登録がされた(甲1,2)。

被告イレブン社は,平成15年7月に,株式会社中村ストアーとの間で,本件特許権1について通常実施権許諾契約を締結し,原告は,これを承諾した。

(ウ)
 ã‚µã‚¤ãƒ¢ãƒ³ã‚ºç¤¾ã¯ï¼Œï¼¡ã®çŸ¥äººã§ã‚るFが平成14年12月25日に設立した,共通ポイント利用システムの構築と運営に関する業務等を目的とする株式会社である。
原告とサイモンズ社は,平成15年11月25日,「特許権の専用実施権設定に係わる基本契約書」(原告・サイモンズ社間の専用実施権設定契約書」)を締結し,原告が本件特許権についてサイモンズ社に対して専用実施権を設定する旨を約した。

åŽŸå‘Šãƒ»ã‚µã‚¤ãƒ¢ãƒ³ã‚ºç¤¾é –“の専用実施権設定契約書では,専用実施権の適用範囲及び適用期間について,次のとおり定められた。

第3条(専用実施権の適用範囲)
1. 当該特許における専用実施権の適用範囲は,乙(判決注:サイモンズ社)の事業範囲内とする。2. 省略

第4条(専用実施権の適用範囲期間)
1. 専用実施権の適用期間は,平成15年12月1日から平成17年11月30日までの2年間とする。ただし,契約締結日の30日前までに甲(判決注:原告)乙より他方当事者に対し,書面による契約終了の通知がされなかった場合は,本契約の内容及び有効期間は更に1年間延長されるものとし,以後の延長についても同様とする。
2. 第1項にかかわらず,各当事者は他方当事者に対し,2か月前までに書面による契約終了の意思表示を行い,本契約を終了させることができる。
第5条(ロイヤルティ料)乙は甲に対し,次のロイヤルティ料を支払う。1. 平成16年3月31日までに,初回契約料として200万円(消費税別)を支払う。また,契約更新時に,契約料として100万円(消費税別)を支払う。2. 省略

原告及びサイモンズ社は,平成16年3月30日,上記専用実施権の範囲について,地域を「日本国内全域」(ただし,本件特許権1については,「九州各県,沖縄県,山口県及びこれらの離島を除く日本全国」),期間を「本特許権の存続期間中」,内容を「全部」とする,専用実施権の設定登録手続を行い,同年4月12日,同設定登録がされた。

(エ)
 åŽŸå‘Šã¯ï¼Œå¹³æˆï¼‘9年ころ,Dの要望を受けて,Dが全株式を保有している被告アップ社に対し,本件特許権につき,対象地域を全国とする専用実施権を付与することとした。そこで,原告は,平成19年7月25日付け通知書(甲10)により,サイモンズ社に対し,原告・サイモンズ社間の専用実施権設定契約の第4条第2項に基づき,同書面到達日より2か月経過をもって同契約を解約することを通知した。原告とサイモンズ社は,同年9月1日,両者の合意により原告・サイモンズ社間の専用実施権設定契約を解約した(甲56)。
原告と被告アップ社は,平成19年10月1日,原告・被告アップ社間の専用実施権設定契約を締結し,専用実施権の設定登録を行った。また,その際,被告イレブン社及びサイモンズ社の専用実施権の設定登録は,いずれも抹消された。

(オ)
 ãã®å¾Œï¼Œï¼¡ã¯ï¼Œï¼¤ã¨ç›¸è«‡ã®ä¸Šï¼Œç¨Žé‡‘対策として,法人税率の低いシンガポール共和国に被告MFI社を設立し,本件特許の専用実施権を被告アップ社から被告MFI社に移すことにした。

被告MFI社と原告は,平成20年7月10日,本件専用実施権設定契約を締結し,被告アップ社から専用実施権の移転登録を受けた。

被告MFI社は,●(省略)●円を受領した。

また,原告は,平成19年ころから,本件特許権について使用料を取得する交渉を,G弁護士及びE弁理士に依頼した。

(カ)
 ï¼¡ã¯ï¼Œå¹³æˆï¼’1年5月ころ,日本総合企画株式会社(以下「日本総合企画社」という。)に対し,それまで被告MFI社,G弁護士及びE税理士が手をつけていなかった,中小企業に対する本件特許権の通常実施権設定契約締結交渉を委託し,日本総合企画社から契約金として1000万円を受領した。
ペンジュラム社は,そのころ,日本総合企画社から上記契約に関する相談を受け,本件特許権の存在を知った。

ペンジュラム社は,本件特許について調査したところ,同特許が非常に有用なものであると考えたことから,日本総合企画社に対し,上記契約金について資金援助を行った。

(キ)
 ãƒšãƒ³ã‚¸ãƒ¥ãƒ©ãƒ ç¤¾ã¯ï¼ŒåŽŸå‘ŠãŒãã‚Œã¾ã§ã«è¡Œã£ã¦ããŸæœ¬ä»¶ç‰¹è¨±æ¨©ã®å®Ÿæ–½è¨±è«¾äº¤æ¸‰ã«ã¤ã„て調査したところ,原告から特許権侵害請求を受けた大手企業40社の間では,本件特許は「いわくつきの特許」と噂されており,被告MFI社は「反社会勢力」と色眼鏡で見られていることから,このままでは,新たに実施許諾交渉を進めることは難しいと考えた。

そこで,ペンジュラム社は,Aに対し,同社の作成した平成21年9月18日付け提案書(乙4の10,11)を示し,①ペンジュラム社が,Aから,原告の株式の90%を買い取る,②被告MFI社の専用実施権を原告が買い取る,③第三者割当増資等により,大手上場企業(複数社)に各1%ないし3%ずつ資本参加させる,という提案をした。

なお,ペンジュラム社は,この時点では,Aから本件専用実施権設定契約の具体的な内容を聞いていなかった。

(ク)
 ï¼¡ã¯ï¼Œãƒšãƒ³ã‚¸ãƒ¥ãƒ©ãƒ ç¤¾ã®ä¸Šè¨˜ææ¡ˆã«ç†è§£ã‚’示し,平成21年9月28日ころ,ペンジュラム社に対し,本件専用実施権設定契約書を示した上,同契約は当事者が2か月前に予告することにより一方的に解除することができ,原告・サイモンズ社間の専用実施権設定契約もそのようにして解除したと説明した。

また,Aは,ペンジュラム社に対し,DやE弁理士との関係を穏便に終わらせたいので,その説得期間として2週間及び予算1億円(2か月を待たずに専用実施権を解除するためのDやE弁理士らへの和解金)が欲しい旨の申し出をした。

ペンジュラム社は,Aの上記説明を聞き,同社が原告を買収すれば,本件専用実施権設定契約の第4条に基づき本件専用実施権設定契約を解約することができると認識し,平成21年9月30日,Aとの間で,Aの保有する原告の株式200株のうち180株をペンジュラム社に譲渡する旨の9月30日付け本件株式譲渡契約を締結した。

他方,ペンジュラム社は,被告MFI社に専用実施権が設定された状態では本件特許を活用することができないので,Aとの間で9月30日付け株式譲渡契約を締結するに当たり,決済日を同年10月13日とし,仮に,Aが,上記決済日までに本件専用実施権設定契約を解約して,被告MFI社の専用実施権の登録を抹消した場合は,Aに対する報酬として,2000万円及び平成21年9月30日以後に原告がパチンコ関連企業から取得する本件特許の使用料の20%を支払うことを約束した(本件合意書)。

また,ペンジュラム社は,本件合意書において,Aに対し,1年間に1300万円を本件特許権が失効するまでの間支払うことを約束した(なお,本件合意書の有効期間は,平成21年10月13日までと定められた。)

ペンジュラム社は,AとDとの話し合いが決裂した場合,被告MFI社に対し本件基本契約の解約を申し入れる方針であり,Aに対してもその旨を説明した。
Aは,平成21年 10月2日,ペンジュラム社に対し,本件専用実施権設定契約書の写しをFAX(甲39)で送付した。

(ケ)
 ã—かしながら,Aは,被告MFI社(D)の了解を得ずに9月30日付け株式譲渡契約を締結したため,被告MFI社は,専用実施権の抹消依頼に応じない意向を示した。

そのような状況の中で,Aは,Bらに対し,E弁理士と面談して欲しい旨を要請し,同年10月7日,Bらは,E弁理士と面談したが,その際,E弁理士からは,本件覚書に関する話は出なかった。

また,Bは,同月8日,Aの要請を受けてDに電話し,被告MFI社の専用実施権の抹消に応じて欲しいこと,
任意の抹消に応じない場合は本件専用実施権設定契約に基づき同契約を解約する意向である旨を伝えたが,Dは,これに応じない旨を回答した。
なお,上記電話の際,Dは,Bに対し,本件覚書が存在することを伝えなかった。

(コ)
 è¢«å‘Šï¼­ï¼¦ï¼©ç¤¾ã®åå¯¾ã‚’受けたAは,ペンジュラム社に対し,9月30日付け株式譲渡契約を白紙に戻したいとの申し出をするなどした。
これに対し,Bは,平成21年10月12日,Aと面談し,ペンジュラム社としては,後記(サ)のとおりパチンコ業界との間で本件特許権の使用許諾契約に関する交渉を進めており,その話がまとまることが確実視されており,この段階で9月30日付け本件株式譲渡契約が撤回されると莫大な損害を被ることになるなどと説明し,Aを説得した。

Aは,平成21年10月13日,ペンジュラム社との間で10月13日付け株式譲渡契約を締結した。

また,Aは,上記契約の締結に当たり,ペンジュラム社に対し,本件専用実施権設定契約は同契約第4条第2項に基づき解約することができることを保証する書面(甲26)を差し入れた。

Aは,10月13日付け株式譲渡契約を締結後,原告の代表取締役を退任し,同日,原告との間で本件顧問契約を締結した。

同契約では,Aが原告の顧問に就任し,顧問報酬を年800万円とすること,同契約の有効期間は契約締結の日から1年以内とし,有効期間満了の1か月前までに原告又はAが契約終了の通知をしない限り,契約は更に1年間有効となり,以後も同様とすることなどが定められた。

(サ)
 ãƒšãƒ³ã‚¸ãƒ¥ãƒ©ãƒ ç¤¾ã¯ï¼Œï¼™æœˆï¼“0日付け本件株式譲渡契約を締結した後,同日,森吉株式会社(以下「森吉」という。)との間で,パチンコメーカーに本件特許の専用実施権又は通常実施権を付与する交渉を委託する業務委託契約を締結し(甲35),同年10月27日,森吉に対し,上記業務委託契約の着手金として1億円を支払った(甲36)。

なお,ペンジュラム社は,その後,本件覚書の存在が判明したため,パチンコメーカーに本件特許の専用実施権を付与することができず,森吉に支払った着手金1億円については,7000万円の返還を受けることで,本件業務委託契約を解消した(甲37,38)。

(シ)
 åŽŸå‘Šã®ä»£è¡¨å–締役に就任したBは,就任後直ちに,被告MFI社に対して本件解約通知を行ったところ,被告MFI社は,本件覚書を原告に送付し,上記解約は無効であると主張した。

これに驚いたBらは,平成21年11月22日,原告代理人らとともにAの事務所を訪れ,本件覚書の作成経緯等について追及した。

これに対し,Aは,本件覚書を作成したことは覚えていない,本件覚書により本件専用実施権設定契約第4条第2項の規定が無効になるのであれば本意ではない旨を述べ,原告代理人らの求めに応じ,上記回答を記載した書面(甲28の1)を作成した(甲28の2,3)。

イ
被告らは,本件覚書は原告と被告MFI社がE弁理士の指摘を受けて平成20年8月ころに作成したものであり,また,ペンジュラム社のBらは,本件株式譲渡契約を締結する以前から,本件特許権につき被告MFI社による期間制限のない専用実施権が設定されていることを知っていたと主張し,Aの供述(乙8の陳述書を含む。以下同じ。)及びDの供述(乙9,16の陳述書を含む。以下同じ。)中には,これに沿う部分がある。

しかしながら,Aが,9月30日付け本件株式譲渡契約の締結に先立って,ペンジュラム社に対し本件専用実施権設定契約書を示していたこと,Aは,上記契約締結後の平成21年10月2日に,本件専用実施権設定契約書の写しをペンジュラム社にFAXで送付し,同月13日には,本件専用実施権設定契約の第4条第2項に基づき同契約を解除することができる旨の保証書を差し入れていることについては,上記認定のとおりである。

また,ペンジュラム社は,被告MFI社の専用実施権の適用期間について,Aから上記のような説明を受け,本件専用実施権設定契約書の内容を確認した結果,仮に,被告MFI社が専用実施権を任意で抹消登録することに応じなかったとしても,本件専用実施権設定契約の第4条第2項により同契約を解約することができると認識し,専用実施権の付いていない本件特許権を取得することができると考えていたからこそ,Aとの間で本件株式譲渡契約を締結し,Aと顧問契約を締結して顧問料の支払を約束したり,森吉との間で業務提携契約を締結し着手金として1億円もの金員を支払ったものと認められる。

以上のような事情に加えて,

① A及びDは,本件株式譲渡契約を締結する以前には,ペンジュラム社に対し
て本件覚書が存在することを告げなかったこと,


② ペンジュラム社は,本件株式譲渡契約締結後,Aから原告の保管している契約書等の資料の交付を受けたが,その中に本件覚書は含まれておらず,本件解約通知に対するDの回答によって,初めて本件覚書の存在を知ったこと,

③ 専用実施権設定契約において専用実施権の存続期間を一定期間に限定する場合,期間を更新する都度別途の登録が必要となる事務的な煩雑さを避けるために,専用実施権の期間を当該特許権の存続期間中として登録することは,実務上広く行われていることがうかがえること(本件でも,被告イレブン社,サイモンズ社及び被告アップ社の専用実施権の設定登録の際,同様の方法が採られている)からすると,E弁理士が本件専用実施権設定契約と専用実施権の設定登録とで存続期間が異なることを指摘することは,不自然であること,

④ 本件専用実施権設定契約の内容を本件覚書のとおり変更することにより,被告MFI社は変更前よりも相当有利な立場に立つこととなるが,本件専用実施権の設定登録の時点で,原告と被告MFI社との間に上記のように契約内容を変更しなければならだªã„特段の事情があったことはうかがえないこと,

などの事実関係を考慮すると,本件覚書が平成20年8月ころまでに作成されたものであると認めることはできず,ペンジュラム社が本件株式譲渡契約を締結する以前から本件特許権につき被告MFI社による期間制限のない専用実施権が設定されていることを知っていたものでもないというべきである。

A及びDの上記供述は,前掲各証拠に照らし採用することができない。

(2) 上記認定事実に鑑みると,本件覚書は,平成21年9月30日に本件株式譲渡契約(の準備契約)が締結された後,Aとペンジュラム社との間での顧問契約の内容等について不安を抱いたAが,Dと共謀して,ペンジュラム社がAの所有する株式を買収することを妨げる目的で作成したものと認められ,本件覚書を作成した当時,原告と被告MFI社との間において,本件覚書記載のとおり本件専用実施権設定契約の内容を変更する合意があったと認めることはできない。
したがって,本件覚書は,通謀虚偽表示(民法94条)により無効であるから,原告と被告MFI社との間の本件専用実施権設定契約は,同契約の第4条第2項に基づく解約により終了したものと認められる。



つづく (次回で最終回。)


---


状況から通謀虚偽表示をみちびいて、
合意の不存在または無効を結論している。

契約書はあくまでも合意のあったことを示す証拠だから、
合意そのものの存在をくずせば、
なかったことになるわけ。