わかる! 使える! 契約書の基本

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契約解除の有効性?! まるでドラマな面白い判例 7 (最終話)

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さいごに、
二つ目の争点にたいする、
裁判所の判断。

一件落着?



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争点2(本件通常実施権は架空のもの(虚偽表示ないし不存在)か)について

(1) 原告は,本件通常実施権設定契約は,被告MFI社が,本件特許権について●(省略)●多数の通常実施権者がいるようにみせるよう架空の登録を行ったものであると主張する。

(2) そこで検討するに,証拠(甲6,11,14~16,甲28の2,3,甲34の1,2,甲40~44の各1~3,甲45の1,2,甲46,証人A,原告代表者,被告MFI社代表者(D))及び弁論の全趣旨によれば,

① 被告イレブン社らは,上記通常実施権の設定登録当時,その本店所在地が同じであり,同住所地はDの現在の住所地と同じであること,

② 被告イレブン社は,Dが代表取締役を務める会社であり,被告アップ社は,Dが全株式を保有する会社であること,

③ 被告イレブン社らは,被告イレブン社以外,いずれも,平成19年3月から同年4月までの間に設立されたものであり,資本金も3万円にすぎないこと,

④ 被告らは,被告MFI社と被告イレブン社らとの間で通常実施権設定契約を締結し,通常実施権設定契約書(乙10~14)を作成したと主張するものの,被告イレブン社らは,同契約で定められた特許使用料を被告MFI社に支払っておらず,本件特許の実施もしていないこと,

⑤ 被告イレブン社らが具体的にどのような業務を行っているのかについて,本件証拠上,明らかでないこと,

⑥ Aは,平成21年11月22日にBら及び原告代理人らがAの事務所を訪れた際,被告イレブン社らに対する通常実施権設定登録について,「丙区順位2番以下の登録はDさんの依頼により多数の通常実施権者がいるようにみせかけるため協力したものです。丙区順位2番以下の各社に実体上通常実施権を付与することを承諾したものではありません」と述べ,その旨を記載した書面(甲28の2,3)を作成していること,などが認められる。

したがって,本件通常実施権設定契約は,通謀虚偽表示(民法94条)により無効である。


(3) 上記事実関係に照らすと,被告イレブン社らは,いずれもDの支配する会社であることがうかがえるものであり,本件通常実施権設定契約は,原告(当時の代表取締役はA)及び被告らが通謀して,本件特許権について多数の通常実施権者がいるようにみせかけることにより,本件特許権の価値が高いものように装い,●(省略)●に対して本件特許権の価値が高いものと信用させたり,被告MFI社らによる今後の通常実施権設定契約締結交渉を有利に進めることができるよう仮装したものと認められ,いずれも実体のないものといえる。



 以上のとおり,本件では,

①原告と被告MFI社との間の専用実施権許諾契約は,同契約書第4条第2項に基づく解約により終了したこと,

②被告MFI社とその他の被告らとの間の通常実施権許諾契約は,通謀虚偽表示により無効であること,

③原告と被告アップ社との間の専用実施権許諾契約は,原告と被告MFI社との間の専用実施権許諾契約が締結されたことによって合意解除されたこと,が認められる。

したがって,原告は,被告アップ社に対して上記専用実施権の設定登録の抹消登録手続を,被告MFI社に対して上記専用実施権の移転登録の抹消登録手続を,被告イレブン社らに対して上記移転登録の抹消登録手続に対する承諾を,それぞれ請求することができるといえる。


 よって,原告の請求はいずれも理由があるからこれを認容することとし,主文のとおり判決する。

東京地方裁判所民事第47部裁判長裁判官 阿 部 正 幸裁判官 山 門 優裁判官 小 川 卓 逸

別紙特 許 権 目 録1 登 録 番 号 特許第2965518号発明の名称 ポイント集計システム出願年月日 平成8年10月17日登録年月日 平成11年8月13日2 登 録 番 号 特許第3401228号発明の名称 ポイント総合管理システム出願年月日 平成12年3月6日登録年月日 平成15年2月21日以 上



おわり。
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読みごたえありましたね。

参考までに特許法の改正について。

平成23年法改正 1.通常実施権の当然対抗制度の考え方

「当然対抗制度」を導入したことにより、通常実施権の許諾を受けた者は、特許庁への通常実施権の登録を必要とせずに、特許権を譲り受けた者からの差止請求等に対抗できるようになりました。

旧特許法第99条第1項の規定に基づき効力を有していた「登録した通常実施権」は、新法施行日(平成24年4月1日)以後も引き続き第三者対抗力を持ち続けますので、新法施行日以後も特許権を譲り受けた者からの差止請求等に対抗できます。

新法施行日前の「登録していない通常実施権」は、特許権を譲り受けた者からの差止請求等に対抗することができませんが、新法施行日以後は、新特許法第99条の規定に基づき、第三者対抗力を有することとなります。